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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (86)
2010.10.29 Fri
「アッキー、行き先どこ?」
助手席側の窓を開けてもらい、運転手と話をしていた依織が瑛貴を振り返った。
「アッキー!」
「…依織…、…………俺、真夕ちゃんと別れちゃった…」
「………………、…えっ?」
答えない瑛貴に、急かすように声を掛けた依織は、聞かれたこととは全然違うことを瑛貴が答えたので、一瞬、怪訝に思ったが、すぐにハッとして目を見開いた。
タクシーの運転手に、少し待っていてくれるように告げて、依織は瑛貴のもとに駆け戻る。
「アッキー、」
「俺、真夕ちゃんと別れちゃった…。別れよう、て言われ…」
「…………」
どうして瑛貴が突然、こんなことを打ち明けてくれたのか分からないが、依織はキュッと唇を噛むと、呆然としている瑛貴の手を掴んで、タクシーのほうへと引っ張って行く。
そして、成すがままの瑛貴をタクシーに押し込むと、自分もその隣に乗り込んだ。
運転手がルームミラー越し、訝しげに2人を見ていたが、依織は構わず行き先を告げる。
瑛貴は、依織の勝手な行動を咎める気にも、文句を言う気にもならず、ただぼんやりとタクシーに揺られていた。
しばらくしてタクシーが停まった先は、依織のアパートの前で、依織は料金を運転手に押し付けると、瑛貴を連れてタクシーを降りた。
「依織、何で、ここ…」
「アッキーが行き先言わないからでしょ? いいから行くよ?」
依織の部屋に向かうのを躊躇っている瑛貴の手をしっかりと握ると、依織は有無を言わさず連れて行く。
淡い色のマニキュアが塗られているだけの、シンプルな依織の爪が、手の甲に食い込んだ。
依織の部屋は、以前来たときと何も変わっていなかった。
所在なさげに突っ立っている瑛貴に、手を離した依織は「座れば?」と促した。
「何か飲む?」
その場に体育座りで座った瑛貴は、緩く首を振ってそれを断った。
スーツ姿でそのポーズてどうなの? と思いつつ、依織もその隣に座る。
「で、アッキー。さっきの、どういうこと?」
「…何が?」
「何がじゃない。彼女と別れたってどういうこと?」
少しも笑っていない依織に詰め寄られ、瑛貴は怯んで視線を落としたが、その正面に回り込んだ依織は、両手で瑛貴の頬を挟むと、顔を引き上げた、
どうやら、ちゃんと答えるまでは許してくれないようだ。
「……だって別れよう、て…。俺、真夕ちゃんのこと好きなのに、でも真夕ちゃん、俺は真夕ちゃんより依織のほうが好きだから、だからもう一緒にいられない、て…」
「そう言われたの? 彼女に?」
「言われ、た…」
言いながら切なさが込み上げてきたのか、瑛貴の瞳に涙が浮かぶ。
依織が頬を挟んでいた手の指で涙を拭ってやれば、瑛貴はグズッと鼻を啜った。
瑛貴にしたら、彼女のセリフは本当に思い掛けないものだったのだろう。
お互い相手のことが好きなのに、それでも別れるなんて、そんなこと想像もしていなかったに違いない。
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助手席側の窓を開けてもらい、運転手と話をしていた依織が瑛貴を振り返った。
「アッキー!」
「…依織…、…………俺、真夕ちゃんと別れちゃった…」
「………………、…えっ?」
答えない瑛貴に、急かすように声を掛けた依織は、聞かれたこととは全然違うことを瑛貴が答えたので、一瞬、怪訝に思ったが、すぐにハッとして目を見開いた。
タクシーの運転手に、少し待っていてくれるように告げて、依織は瑛貴のもとに駆け戻る。
「アッキー、」
「俺、真夕ちゃんと別れちゃった…。別れよう、て言われ…」
「…………」
どうして瑛貴が突然、こんなことを打ち明けてくれたのか分からないが、依織はキュッと唇を噛むと、呆然としている瑛貴の手を掴んで、タクシーのほうへと引っ張って行く。
そして、成すがままの瑛貴をタクシーに押し込むと、自分もその隣に乗り込んだ。
運転手がルームミラー越し、訝しげに2人を見ていたが、依織は構わず行き先を告げる。
瑛貴は、依織の勝手な行動を咎める気にも、文句を言う気にもならず、ただぼんやりとタクシーに揺られていた。
しばらくしてタクシーが停まった先は、依織のアパートの前で、依織は料金を運転手に押し付けると、瑛貴を連れてタクシーを降りた。
「依織、何で、ここ…」
「アッキーが行き先言わないからでしょ? いいから行くよ?」
依織の部屋に向かうのを躊躇っている瑛貴の手をしっかりと握ると、依織は有無を言わさず連れて行く。
淡い色のマニキュアが塗られているだけの、シンプルな依織の爪が、手の甲に食い込んだ。
依織の部屋は、以前来たときと何も変わっていなかった。
所在なさげに突っ立っている瑛貴に、手を離した依織は「座れば?」と促した。
「何か飲む?」
その場に体育座りで座った瑛貴は、緩く首を振ってそれを断った。
スーツ姿でそのポーズてどうなの? と思いつつ、依織もその隣に座る。
「で、アッキー。さっきの、どういうこと?」
「…何が?」
「何がじゃない。彼女と別れたってどういうこと?」
少しも笑っていない依織に詰め寄られ、瑛貴は怯んで視線を落としたが、その正面に回り込んだ依織は、両手で瑛貴の頬を挟むと、顔を引き上げた、
どうやら、ちゃんと答えるまでは許してくれないようだ。
「……だって別れよう、て…。俺、真夕ちゃんのこと好きなのに、でも真夕ちゃん、俺は真夕ちゃんより依織のほうが好きだから、だからもう一緒にいられない、て…」
「そう言われたの? 彼女に?」
「言われ、た…」
言いながら切なさが込み上げてきたのか、瑛貴の瞳に涙が浮かぶ。
依織が頬を挟んでいた手の指で涙を拭ってやれば、瑛貴はグズッと鼻を啜った。
瑛貴にしたら、彼女のセリフは本当に思い掛けないものだったのだろう。
お互い相手のことが好きなのに、それでも別れるなんて、そんなこと想像もしていなかったに違いない。
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粟津原栗子 ⇒ あぁー
まゆちゃんも辛い、いおりくんも辛い、あっきーも辛い。
みんなしんどいなぁ…
まゆちゃんも今頃泣きながら眠れない夜を過ごしてそう。
それにしても如月さんとこの女の子、素敵です。(いおりくん含む。笑)
あっきーを蹴り飛ばしてやりたいくらいすきです!!
みんなしんどいなぁ…
まゆちゃんも今頃泣きながら眠れない夜を過ごしてそう。
それにしても如月さんとこの女の子、素敵です。(いおりくん含む。笑)
あっきーを蹴り飛ばしてやりたいくらいすきです!!
- |2010.10.29
- |Fri
- |07:21
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >粟津原さん
みんないい子だから、切ない思いをさせるのが、書いてて一番つらかったです。
何よりも、真夕ちゃんが…。
彼女は、大人過ぎた分、より切ない思いをさせてしまった気がします。
アッキーのことを、嫌いになったわけではないから、なおさら。
アッキーよりいい男がいるよ! と応援してあげてください(笑)
> それにしても如月さんとこの女の子、素敵です。(いおりくん含む。笑)
ありがとうございます~。
「BLにおける女性の地位向上委員会」の粟津原さんに言ってもらえると、感慨もひとしおです! (私もぜひ委員に…!)
そしてそして。
アッキーへの愛、ありがとうございます!
こんな不器用で鈍感な子、見捨てられなくてよかったです~。
コメントありがとうございました!
何よりも、真夕ちゃんが…。
彼女は、大人過ぎた分、より切ない思いをさせてしまった気がします。
アッキーのことを、嫌いになったわけではないから、なおさら。
アッキーよりいい男がいるよ! と応援してあげてください(笑)
> それにしても如月さんとこの女の子、素敵です。(いおりくん含む。笑)
ありがとうございます~。
「BLにおける女性の地位向上委員会」の粟津原さんに言ってもらえると、感慨もひとしおです! (私もぜひ委員に…!)
そしてそして。
アッキーへの愛、ありがとうございます!
こんな不器用で鈍感な子、見捨てられなくてよかったです~。
コメントありがとうございました!