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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (85)
2010.10.28 Thu
「はぁ…、も…大丈夫…?」
とにかく走って走って、駅前まで出ると、人の姿がそれなりにあるし、交番の灯りも見えて、依織はようやく足を止めた。
「はぁっ…はぁ…、アッキー…、…平気?」
「…ん…」
息を切らせながらも、瑛貴は頷いた。
依織は先ほど別れたときと同じ、女の子の格好をしていたが、必死に走ったせいか、髪が乱れていた。
「何で、依織…」
瑛貴は今の状況が信じられなくて、呆然と目の前の依織に尋ねた。
何で一体こんなことに?
だって今日は、酔っ払った七槻を連れるため片付けもしないで店を出て、そしたら女の子の格好をした依織と会って、真夕子と会って、別れを切り出されて、死にそうなくらい凹んでいたら、2人組の男に襲われ掛けて、依織に助けられて、
「…家、帰るトコだったから。したら何か誰か襲われ掛けてるし、ヤベェて思ったらアッキーだし、……後はもうよく分かんない」
「…そっか。…ありがと…」
今さらどんな顔で依織に会えばいいのかと散々頭を悩ませていたのに、こんな形で再会してしまって、瑛貴はどうしたらいいか分からなくて、そこから先の言葉に詰まった。
「…アッキー、タクシー乗るお金、ある?」
「、えっ…?」
何を話そうかと逡巡していた瑛貴は、依織の言葉にハッと視線を上げた。
「タクシー。危ないから、こんなトコで始発なんて待たないで、帰ったほうがいいよ。さっきのヤツら、多分俺らの顔なんて覚えてないとは思うけど、鉢合わせしたくないでしょ? それか、カプセルホテルとか探す?」
「…」
依織が瑛貴のことを心配してくれているのは分かったが、ふざけてでも、以前のように「俺んち来る?」とは言わなかった。
真夕子はあぁ言っていたけれど、やはり依織とは新しい関係になれそうもないみたい。
「…帰る」
「…………、…そう。お金は? 足りそう?」
「分かんない、けど…」
そういえば、真夕子にぶたれた頬、大丈夫なのだろうか。
気になって瑛貴は依織を見遣ったが、この暗がりの中では、その頬が赤いのかどうかも分からなかった。
「いくら掛かるか、聞いてみるね」
そう言って依織は、客待ちをしているタクシーのほうへと歩いていく。
瑛貴はその背中を見つめた。
こんなふうに依織の背中を見ているのは初めてで、それは、いつも依織が瑛貴のことを見送ってくれていたからなのだと、瑛貴は漸く気が付いた。
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とにかく走って走って、駅前まで出ると、人の姿がそれなりにあるし、交番の灯りも見えて、依織はようやく足を止めた。
「はぁっ…はぁ…、アッキー…、…平気?」
「…ん…」
息を切らせながらも、瑛貴は頷いた。
依織は先ほど別れたときと同じ、女の子の格好をしていたが、必死に走ったせいか、髪が乱れていた。
「何で、依織…」
瑛貴は今の状況が信じられなくて、呆然と目の前の依織に尋ねた。
何で一体こんなことに?
だって今日は、酔っ払った七槻を連れるため片付けもしないで店を出て、そしたら女の子の格好をした依織と会って、真夕子と会って、別れを切り出されて、死にそうなくらい凹んでいたら、2人組の男に襲われ掛けて、依織に助けられて、
「…家、帰るトコだったから。したら何か誰か襲われ掛けてるし、ヤベェて思ったらアッキーだし、……後はもうよく分かんない」
「…そっか。…ありがと…」
今さらどんな顔で依織に会えばいいのかと散々頭を悩ませていたのに、こんな形で再会してしまって、瑛貴はどうしたらいいか分からなくて、そこから先の言葉に詰まった。
「…アッキー、タクシー乗るお金、ある?」
「、えっ…?」
何を話そうかと逡巡していた瑛貴は、依織の言葉にハッと視線を上げた。
「タクシー。危ないから、こんなトコで始発なんて待たないで、帰ったほうがいいよ。さっきのヤツら、多分俺らの顔なんて覚えてないとは思うけど、鉢合わせしたくないでしょ? それか、カプセルホテルとか探す?」
「…」
依織が瑛貴のことを心配してくれているのは分かったが、ふざけてでも、以前のように「俺んち来る?」とは言わなかった。
真夕子はあぁ言っていたけれど、やはり依織とは新しい関係になれそうもないみたい。
「…帰る」
「…………、…そう。お金は? 足りそう?」
「分かんない、けど…」
そういえば、真夕子にぶたれた頬、大丈夫なのだろうか。
気になって瑛貴は依織を見遣ったが、この暗がりの中では、その頬が赤いのかどうかも分からなかった。
「いくら掛かるか、聞いてみるね」
そう言って依織は、客待ちをしているタクシーのほうへと歩いていく。
瑛貴はその背中を見つめた。
こんなふうに依織の背中を見ているのは初めてで、それは、いつも依織が瑛貴のことを見送ってくれていたからなのだと、瑛貴は漸く気が付いた。
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