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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (82)
2010.10.25 Mon
心臓がバクバクとうるさくて嫌だ。
だってそんなの。
何で。
「ていうか、あたしが他の男と一緒にいたのなんて、知らないでしょ? アッキーは」
「えっ!? え、え、他に男!? て、え…」
焦った声を出す瑛貴に、真夕子は小さく笑った。
私のことでも、少しはそんな表情、してくれるのね。
「…嘘。そんな相手いないよ。でもそんなことも分かんないんでしょ? あたしのことは」
「そんなこと…」
そんなことはないと反駁したいのに、でもどうしても真夕子の言葉に言い返せない。
真夕子のことが好きなのに。
真夕子のことは好きだけど。
「アッキーがあたしのこと好きなの、分かる。それは分かるの。あたしもアッキーのこと、好きだから。でも、アッキーの中で、『好き』の順位が変わっちゃったら、恋人としては、一緒にはいられないでしょ?」
「……」
「だから、ね。アッキーの今一番好きな相手に『好き』て言ってあげて?」
あぁ、どうして。
こんな簡単なことなのに、最後の最後まで真夕子に言わせてしまったのだろう。
どうして。
「アッキーのこと、好きだから。嫌いになりたくないから、もうバイバイしよ?」
どうして、最後の言葉まで。
真夕子は泣いていなかった。
涙を零したのは、瑛貴のほうだった。瞬きの拍子に、1つ、涙が頬を転がり落ちた。慌てて手をやったが、間に合わなかった。
「バカ。何でアッキーが泣くの?」
「ちが、だって、俺、」
瑛貴はグッと唇を噛んだ。
きっともう、どんな言葉を掛けても、真夕子の気持ちは変わらないのだろう。
そうさせてしまったのは、他ならぬ瑛貴に違いなくて。
「アッキー。お願いだから、そんな申し訳なさそうな顔、もうしないでね。余計惨めになっちゃうから」
「…ん」
瑛貴は鼻を啜って、コクリと頷いた。
真夕子は微笑んでいるようにも見えた。
「…でも、あたしのせいで、少しは胸を痛めてね?」
「…ぅん」
痛いよ。
すごく痛い。
けれど、きっとこの何十倍も、真夕子はずっと傷付いていた。
何も気付けなくて、ゴメン。
「も…これでバイバイね、アッキー」
これでバイバイだから。
バイバイして、2人はそれぞれに帰って行く。
だからもう歩き出さないといけないのに。
「あ、あの子に謝っておいてくれる? 引っ叩いちゃってゴメン、て。あたしはきっともう会わないと思うし」
「…うん」
2人、見つめ合ったまま、動けなくて。
歩き出さないと。
「てか、あたしもバカだよね。アッキーが全然自分の気持ちに気付いてないなら、気付かせないまま奪い返しちゃえばよかったのに」
「…ん」
泣き出しそうな笑顔。
きっと2人とも。
真夕子は1歩、瑛貴から遠退いた。
「じゃあね、アッキー」
笑顔でお別れを言って。
真夕子は瑛貴に背を向ける。歩き出す。
これで、バイバイ。
「真夕ちゃん、好きだった、すっごく。いっぱい傷付けてゴメンっ…」
最後の言葉が、こんなでゴメンね。
――――ゴメン。
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だってそんなの。
何で。
「ていうか、あたしが他の男と一緒にいたのなんて、知らないでしょ? アッキーは」
「えっ!? え、え、他に男!? て、え…」
焦った声を出す瑛貴に、真夕子は小さく笑った。
私のことでも、少しはそんな表情、してくれるのね。
「…嘘。そんな相手いないよ。でもそんなことも分かんないんでしょ? あたしのことは」
「そんなこと…」
そんなことはないと反駁したいのに、でもどうしても真夕子の言葉に言い返せない。
真夕子のことが好きなのに。
真夕子のことは好きだけど。
「アッキーがあたしのこと好きなの、分かる。それは分かるの。あたしもアッキーのこと、好きだから。でも、アッキーの中で、『好き』の順位が変わっちゃったら、恋人としては、一緒にはいられないでしょ?」
「……」
「だから、ね。アッキーの今一番好きな相手に『好き』て言ってあげて?」
あぁ、どうして。
こんな簡単なことなのに、最後の最後まで真夕子に言わせてしまったのだろう。
どうして。
「アッキーのこと、好きだから。嫌いになりたくないから、もうバイバイしよ?」
どうして、最後の言葉まで。
真夕子は泣いていなかった。
涙を零したのは、瑛貴のほうだった。瞬きの拍子に、1つ、涙が頬を転がり落ちた。慌てて手をやったが、間に合わなかった。
「バカ。何でアッキーが泣くの?」
「ちが、だって、俺、」
瑛貴はグッと唇を噛んだ。
きっともう、どんな言葉を掛けても、真夕子の気持ちは変わらないのだろう。
そうさせてしまったのは、他ならぬ瑛貴に違いなくて。
「アッキー。お願いだから、そんな申し訳なさそうな顔、もうしないでね。余計惨めになっちゃうから」
「…ん」
瑛貴は鼻を啜って、コクリと頷いた。
真夕子は微笑んでいるようにも見えた。
「…でも、あたしのせいで、少しは胸を痛めてね?」
「…ぅん」
痛いよ。
すごく痛い。
けれど、きっとこの何十倍も、真夕子はずっと傷付いていた。
何も気付けなくて、ゴメン。
「も…これでバイバイね、アッキー」
これでバイバイだから。
バイバイして、2人はそれぞれに帰って行く。
だからもう歩き出さないといけないのに。
「あ、あの子に謝っておいてくれる? 引っ叩いちゃってゴメン、て。あたしはきっともう会わないと思うし」
「…うん」
2人、見つめ合ったまま、動けなくて。
歩き出さないと。
「てか、あたしもバカだよね。アッキーが全然自分の気持ちに気付いてないなら、気付かせないまま奪い返しちゃえばよかったのに」
「…ん」
泣き出しそうな笑顔。
きっと2人とも。
真夕子は1歩、瑛貴から遠退いた。
「じゃあね、アッキー」
笑顔でお別れを言って。
真夕子は瑛貴に背を向ける。歩き出す。
これで、バイバイ。
「真夕ちゃん、好きだった、すっごく。いっぱい傷付けてゴメンっ…」
最後の言葉が、こんなでゴメンね。
――――ゴメン。
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COMMENT-FORM
柚子季 杏 ⇒
やばいー泣けるーーー゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
まゆちゃん、いい子だ、いいこだよーー!!!!
きっとアッキー以上にいい男に出会えるよ!!
幸せになれるよ!!!
さてさて、情けない男アッキー(苦笑)
イオリンはどう出るのかな?
遅くなりましたが誕生日おめでとうございました!
素敵な一年をお過ごし下さいね(*´∀`*)
まゆちゃん、いい子だ、いいこだよーー!!!!
きっとアッキー以上にいい男に出会えるよ!!
幸せになれるよ!!!
さてさて、情けない男アッキー(苦笑)
イオリンはどう出るのかな?
遅くなりましたが誕生日おめでとうございました!
素敵な一年をお過ごし下さいね(*´∀`*)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
コメレス遅くて申し訳ありませんっ!!
レスしないうちに、次のコメントをいただいてしまった…。
本当に申し訳ありません。
真夕ちゃん、当初は名前もなく、もっとひどい女だったんですが(…)、女の子大好きな私のせいで、いい子になってしまい、おかげでこんな切ない思いをさせてしまいました。
> きっとアッキー以上にいい男に出会えるよ!!
> 幸せになれるよ!!!
確かに!
アッキーよりいい男を見つけてもらわないと!
てか、アッキーも、これで不幸になってしまったら、真夕ちゃんに申し訳ないですよね。
しっかりしなさい! て叱ってやりたい気分です(笑)
> 遅くなりましたが誕生日おめでとうございました!
> 素敵な一年をお過ごし下さいね(*´∀`*)
ありがとうございます!
年々、お誕生日を微妙な気持ちで迎えるお年頃になってきましたが、やっぱり祝ってもらえると、本当に嬉しいです。
また1年、新たな気持ちで頑張りたいと思います。
コメントありがとうございました!
レスしないうちに、次のコメントをいただいてしまった…。
本当に申し訳ありません。
真夕ちゃん、当初は名前もなく、もっとひどい女だったんですが(…)、女の子大好きな私のせいで、いい子になってしまい、おかげでこんな切ない思いをさせてしまいました。
> きっとアッキー以上にいい男に出会えるよ!!
> 幸せになれるよ!!!
確かに!
アッキーよりいい男を見つけてもらわないと!
てか、アッキーも、これで不幸になってしまったら、真夕ちゃんに申し訳ないですよね。
しっかりしなさい! て叱ってやりたい気分です(笑)
> 遅くなりましたが誕生日おめでとうございました!
> 素敵な一年をお過ごし下さいね(*´∀`*)
ありがとうございます!
年々、お誕生日を微妙な気持ちで迎えるお年頃になってきましたが、やっぱり祝ってもらえると、本当に嬉しいです。
また1年、新たな気持ちで頑張りたいと思います。
コメントありがとうございました!