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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (81)
2010.10.24 Sun
「…ね、アッキー。ホントはもう分かってるんでしょ?」
「何が? 何を?」
わけが分からなくて、早口で真夕子に聞き返す。
分かってるって、何が?
そんなの、何も分からない。
答えられないでいる瑛貴を、真夕子はただじっと見つめて、待っていた。
どうにもならない表情で、瑛貴も真夕子を見つめていた。
「アッキーのバカ…。最後まであたしに言わせる気?」
長い沈黙を破って、真夕子が声を掛けた。
いつだって答えへと導くのは、真夕子だった。
「どっちも同じくらい好き、なんてないんだよ?」
「そんなの分かって…、俺は真夕ちゃんのこと、」
好きだよ、と続けようとして、けれどそれより先に、真夕子が諦めたように首を横に振った。
やっぱり瑛貴には、最後まで先導が必要だったみたい。
そんなところが好きだったんだけど。
「『どっちも好き』はないの。アッキーが好きなのは、あの子なの」
「な…」
静かに告げた真夕子の言葉に、瑛貴は信じられないと言った顔で瞠目した。
まさか本気で分かっていなかったのだろうか。瑛貴のことだから、十分あり得る。そういうところが好きだったの。
「何言って…、違う、違うよ。俺は真夕ちゃんのこと…」
言い訳でも弁解でもなく、瑛貴は真夕子に、愛していると告げた。
恐らくそれは、何の嘘偽りもない言葉。
――――けれど。
「あたしより、もっと好きになっちゃったんでしょ? あの子のこと」
「ちが…だってアイツ、依織、あんな格好してるけど、ホントは男だし」
今さら言うつもりはなかったけれど、瑛貴はその事実を真夕子に告げた。
真夕子が、依織を女の子だと勘違いしていて、そんなことを言っているのだとしたら、まだ反論の余地はあるから。
しかし次に口を開いた真夕子からは、さらに瑛貴を驚かせる言葉が飛び出した。
「そんなの知ってるよ」
「えっ?」
「あの子が男なことくらい、最初っから知ってるってば」
真夕子の思い掛けない言葉に、瑛貴は続けようと思った言葉が分からなくなって、ポカンと真夕子を見つめてしまった。
「アッキーと一緒にいるとこ初めて見たときから分かってたよ、女の子の格好してる男の子だって」
「嘘…」
「そんなの見れば分かるに決まってるじゃん。てか別に、男だからどうとか、ていう問題じゃないでしょ? 好きになるのに」
諭すようにゆっくりと、真夕子は話す。
雑踏の中。
誰も2人に注意を払わない。
「ねぇアッキー。ずっと会えなくて寂しかった相手は、誰?」
「え…」
「他の男と一緒にいるの見て、ムカついたのは?」
「……」
「それ、あたし?」
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「何が? 何を?」
わけが分からなくて、早口で真夕子に聞き返す。
分かってるって、何が?
そんなの、何も分からない。
答えられないでいる瑛貴を、真夕子はただじっと見つめて、待っていた。
どうにもならない表情で、瑛貴も真夕子を見つめていた。
「アッキーのバカ…。最後まであたしに言わせる気?」
長い沈黙を破って、真夕子が声を掛けた。
いつだって答えへと導くのは、真夕子だった。
「どっちも同じくらい好き、なんてないんだよ?」
「そんなの分かって…、俺は真夕ちゃんのこと、」
好きだよ、と続けようとして、けれどそれより先に、真夕子が諦めたように首を横に振った。
やっぱり瑛貴には、最後まで先導が必要だったみたい。
そんなところが好きだったんだけど。
「『どっちも好き』はないの。アッキーが好きなのは、あの子なの」
「な…」
静かに告げた真夕子の言葉に、瑛貴は信じられないと言った顔で瞠目した。
まさか本気で分かっていなかったのだろうか。瑛貴のことだから、十分あり得る。そういうところが好きだったの。
「何言って…、違う、違うよ。俺は真夕ちゃんのこと…」
言い訳でも弁解でもなく、瑛貴は真夕子に、愛していると告げた。
恐らくそれは、何の嘘偽りもない言葉。
――――けれど。
「あたしより、もっと好きになっちゃったんでしょ? あの子のこと」
「ちが…だってアイツ、依織、あんな格好してるけど、ホントは男だし」
今さら言うつもりはなかったけれど、瑛貴はその事実を真夕子に告げた。
真夕子が、依織を女の子だと勘違いしていて、そんなことを言っているのだとしたら、まだ反論の余地はあるから。
しかし次に口を開いた真夕子からは、さらに瑛貴を驚かせる言葉が飛び出した。
「そんなの知ってるよ」
「えっ?」
「あの子が男なことくらい、最初っから知ってるってば」
真夕子の思い掛けない言葉に、瑛貴は続けようと思った言葉が分からなくなって、ポカンと真夕子を見つめてしまった。
「アッキーと一緒にいるとこ初めて見たときから分かってたよ、女の子の格好してる男の子だって」
「嘘…」
「そんなの見れば分かるに決まってるじゃん。てか別に、男だからどうとか、ていう問題じゃないでしょ? 好きになるのに」
諭すようにゆっくりと、真夕子は話す。
雑踏の中。
誰も2人に注意を払わない。
「ねぇアッキー。ずっと会えなくて寂しかった相手は、誰?」
「え…」
「他の男と一緒にいるの見て、ムカついたのは?」
「……」
「それ、あたし?」
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