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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (83)
2010.10.26 Tue
真夕子が去って、けれど瑛貴はただボンヤリと突っ立っていた。
終電はとうの昔に終わっていて、乗りそびれた人たちも、段々といなくなっていくけれど、瑛貴に行く当てはない。
ファミレスで時間を潰すのはもうご免だし、JADEに戻っても仕方がないし、友だちのところに、依織の、
(依織…)
依織はもう、帰ったのだろうか。
まさかまだあの場所にはいないだろうから、……もしかしたら誰か、一緒にいてくれる人のところにいるのかもしれない。
真夕子の言葉がグルグルと蘇る。
けれどもう、依織には会えないと思う。
そのために真夕子から別れを切り出されて、2人は別々に歩き出したけれど、今さらどんな顔で依織に会ったらいいのか分からない。
真夕子と別れたから付き合おう、とでも言う気か。バカすぎる。いくら瑛貴が鈍感で間の抜けた男でも、そんなこと言えるわけがない。
――――それとも、恥も外聞もかなぐり捨てて、言ってみるか?
「依織…」
瑛貴はズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
もう嫌だ、全部。
自分がこんななせいで、いろんな人を、いっぱい傷付けた。そしてなぜか、自分まで傷付いている。バカだ。
(もう、何もかんも嫌だ…)
抱え込んだ膝に顔をうずめて、とうとう瑛貴はその場に座り込んだ。
辺りに人の姿はなく、時おり車の通る音もするけれど、静まり返っている。瑛貴の世界は真っ暗で静かだった。
何も考えられなくて、後悔だか絶望だか、とにかくドロドロとした感情が、頭も体も重く満たしていた。
*****
どのくらいそうしていたか、瑛貴はふと、蹲っている自分の前に人の気配があるのに気付いた。通り過ぎて行くでもなく、瑛貴の前に立っている。
酔っ払って寝ているか、具合が悪くてこうしていると思われてるのかな、などとボンヤリした頭で考えた瑛貴は、やはり鈍感で間抜けだった。
こんな時間に、何の目的もなくこんなところを通り掛かる人間なんて、そういるわけがないのに。
頭を上げるのが面倒くさくてそのままでいたら、頭上でボソボソと喋る声がする。1人でなく、2人組だったらしい。しかし2人の会話は、瑛貴の想像とは掛け離れたほうへ進んでいた。
「てか、男じゃん」
「男でもよくね? ヤッちまえば変わんねぇよ」
「ギャハハ、お前、マジすげぇな。突っ込めりゃ、何でもいいのかよ」
下品な笑い声に、瑛貴の頭は一気に覚醒した。
自分は今、とんでもない状況下にいる。
どんな2人組かは知らないが、瑛貴の前にいるのは決して柄のいい連中ではなくて、女だろうと男だろうと、自分たちの欲望のままにしてしまおうという輩だった。
瑛貴は男だったから多少の猶予時間はあったが、これが女性だったら、あっという間に牙を剥いていたに違いない。
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終電はとうの昔に終わっていて、乗りそびれた人たちも、段々といなくなっていくけれど、瑛貴に行く当てはない。
ファミレスで時間を潰すのはもうご免だし、JADEに戻っても仕方がないし、友だちのところに、依織の、
(依織…)
依織はもう、帰ったのだろうか。
まさかまだあの場所にはいないだろうから、……もしかしたら誰か、一緒にいてくれる人のところにいるのかもしれない。
真夕子の言葉がグルグルと蘇る。
けれどもう、依織には会えないと思う。
そのために真夕子から別れを切り出されて、2人は別々に歩き出したけれど、今さらどんな顔で依織に会ったらいいのか分からない。
真夕子と別れたから付き合おう、とでも言う気か。バカすぎる。いくら瑛貴が鈍感で間の抜けた男でも、そんなこと言えるわけがない。
――――それとも、恥も外聞もかなぐり捨てて、言ってみるか?
「依織…」
瑛貴はズルズルとその場にしゃがみ込んだ。
もう嫌だ、全部。
自分がこんななせいで、いろんな人を、いっぱい傷付けた。そしてなぜか、自分まで傷付いている。バカだ。
(もう、何もかんも嫌だ…)
抱え込んだ膝に顔をうずめて、とうとう瑛貴はその場に座り込んだ。
辺りに人の姿はなく、時おり車の通る音もするけれど、静まり返っている。瑛貴の世界は真っ暗で静かだった。
何も考えられなくて、後悔だか絶望だか、とにかくドロドロとした感情が、頭も体も重く満たしていた。
*****
どのくらいそうしていたか、瑛貴はふと、蹲っている自分の前に人の気配があるのに気付いた。通り過ぎて行くでもなく、瑛貴の前に立っている。
酔っ払って寝ているか、具合が悪くてこうしていると思われてるのかな、などとボンヤリした頭で考えた瑛貴は、やはり鈍感で間抜けだった。
こんな時間に、何の目的もなくこんなところを通り掛かる人間なんて、そういるわけがないのに。
頭を上げるのが面倒くさくてそのままでいたら、頭上でボソボソと喋る声がする。1人でなく、2人組だったらしい。しかし2人の会話は、瑛貴の想像とは掛け離れたほうへ進んでいた。
「てか、男じゃん」
「男でもよくね? ヤッちまえば変わんねぇよ」
「ギャハハ、お前、マジすげぇな。突っ込めりゃ、何でもいいのかよ」
下品な笑い声に、瑛貴の頭は一気に覚醒した。
自分は今、とんでもない状況下にいる。
どんな2人組かは知らないが、瑛貴の前にいるのは決して柄のいい連中ではなくて、女だろうと男だろうと、自分たちの欲望のままにしてしまおうという輩だった。
瑛貴は男だったから多少の猶予時間はあったが、これが女性だったら、あっという間に牙を剥いていたに違いない。
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柚子季 杏 ⇒
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
もうアッキー、踏んだり蹴ったりですよね…。
決して喧嘩も強そうじゃないし……はたして大丈夫なんでしょうか!?
コメントありがとうございました!
決して喧嘩も強そうじゃないし……はたして大丈夫なんでしょうか!?
コメントありがとうございました!