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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (80)
2010.10.23 Sat
「…アッキー」
「依織、あの、ゴメ…」
「早く彼女、追い掛けて?」
「え…」
依織の頬は、まだ赤いままだ。
大丈夫かと声を掛けようとした瑛貴の言葉は、それより先に依織に遮られた。
「アッキー、早く追い掛けてあげて。彼女、傷付いてる」
「でも…」
「…俺が行っても、余計に怒らせちゃうから」
「依織、でも…」
「俺なら平気」
お願い行ってあげて、と泣き出しそうな声の依織に背中を押され、瑛貴は依織を気にしつつも、真夕子の後を追い掛けた。
方向からして、真夕子が向かったのは駅だろう。まだ電車には乗っていないでくれ。
「真夕ちゃん…」
真夕子のあんな顔は、初めて見た。
けれど真夕子が大人で、しっかりしていても、ただの人間だ。愛する人と会えない日が続けば寂しいだろうし、泣きたいことだってあるだろうし、裏切られれば怒るに決まっている。
一体今まで真夕子の何を見て来たのだろうかと、瑛貴は焦る頭の中で自問を繰り返していた。
「真夕ちゃんっ」
駅に着く前に、真夕子に追い付いた。
真夕子は、瑛貴が追い掛けて来たことにひどく驚いた様子だったが、逃げ出そうとはしなかった。
まだ少し、まつ毛が涙で濡れていた。
「アッキー……来たの?」
「だって…」
「あの子に言われたんでしょ? 追い掛けろ、て」
「それは…」
つくづく嘘のつけない性格の瑛貴に、真夕子は少し笑った。
こんなときくらい、「そんなことないよ」と、嘘でも言えばいいのに。
「あの、あの…ゴメン、真夕ちゃん、あの…」
「何?」
「えっと、だから…」
尋ねれば、瑛貴はすぐにへどもどしてしまう。
それは、たぶん瑛貴ならそうだろうな、と真夕子が思っていたとおりの反応で、分かっているのに聞いてしまうなんて、もしかしたら意地の悪い女なのかしら、とも思った。
けれど、本人が、何について謝っているか分からないような謝罪なら、いらないから。
「ねぇ、結局アッキーは、どうしたいの?」
「え?」
「アッキーは、あたしといたいの? それともあの子といたいの?」
「えっ…」
与えられた二択に、瑛貴は言葉を詰まらせた。
そんなこと比べたこともないし、比べるものでもないと思っていた。だって真夕子は恋人で、依織は……
――――――――依織は?
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「依織、あの、ゴメ…」
「早く彼女、追い掛けて?」
「え…」
依織の頬は、まだ赤いままだ。
大丈夫かと声を掛けようとした瑛貴の言葉は、それより先に依織に遮られた。
「アッキー、早く追い掛けてあげて。彼女、傷付いてる」
「でも…」
「…俺が行っても、余計に怒らせちゃうから」
「依織、でも…」
「俺なら平気」
お願い行ってあげて、と泣き出しそうな声の依織に背中を押され、瑛貴は依織を気にしつつも、真夕子の後を追い掛けた。
方向からして、真夕子が向かったのは駅だろう。まだ電車には乗っていないでくれ。
「真夕ちゃん…」
真夕子のあんな顔は、初めて見た。
けれど真夕子が大人で、しっかりしていても、ただの人間だ。愛する人と会えない日が続けば寂しいだろうし、泣きたいことだってあるだろうし、裏切られれば怒るに決まっている。
一体今まで真夕子の何を見て来たのだろうかと、瑛貴は焦る頭の中で自問を繰り返していた。
「真夕ちゃんっ」
駅に着く前に、真夕子に追い付いた。
真夕子は、瑛貴が追い掛けて来たことにひどく驚いた様子だったが、逃げ出そうとはしなかった。
まだ少し、まつ毛が涙で濡れていた。
「アッキー……来たの?」
「だって…」
「あの子に言われたんでしょ? 追い掛けろ、て」
「それは…」
つくづく嘘のつけない性格の瑛貴に、真夕子は少し笑った。
こんなときくらい、「そんなことないよ」と、嘘でも言えばいいのに。
「あの、あの…ゴメン、真夕ちゃん、あの…」
「何?」
「えっと、だから…」
尋ねれば、瑛貴はすぐにへどもどしてしまう。
それは、たぶん瑛貴ならそうだろうな、と真夕子が思っていたとおりの反応で、分かっているのに聞いてしまうなんて、もしかしたら意地の悪い女なのかしら、とも思った。
けれど、本人が、何について謝っているか分からないような謝罪なら、いらないから。
「ねぇ、結局アッキーは、どうしたいの?」
「え?」
「アッキーは、あたしといたいの? それともあの子といたいの?」
「えっ…」
与えられた二択に、瑛貴は言葉を詰まらせた。
そんなこと比べたこともないし、比べるものでもないと思っていた。だって真夕子は恋人で、依織は……
――――――――依織は?
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