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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (78)
2010.10.21 Thu
「…俺らも行こっか」
タクシーが遠ざかるのを見送ってから、瑛貴が依織に声を掛けた。
今日はまだ終電までに時間もあるし、ちょっとだけゆっくり話が出来るかな、なんて依織は少し期待する。
「…アッキー」
2人して歩き出してすぐに、瑛貴を呼び止める、1つの声。
依織には聞き覚えのない声で、この界隈で働く女性キャストか誰かかと思ったが、隣の瑛貴はハッとした顔で声のほうを見た。
「え、真夕ちゃ…」
あまりにも思い掛けない人物がそこにはいて、瑛貴は言葉が続かなかった。
立っていたのは、真夕子だった。瑛貴の恋人である真夕子が、何の表情もなく、足を止めた2人を見つめていた。
依織は直感的に、この人が瑛貴の恋人なのだと分かった。
「そんな驚いた顔しなくても。あたしがここに来たの、そんなに意外だった?」
やけに静かに、真夕子は話した。
意外と言えば意外だが、真夕子は瑛貴の働いている店を知っているし、来たからといって別に不思議なことはない。
時間的にもお客として来たわけではないから、だとすれば瑛貴のことを迎えに来たのだろうか。いや、そんな生易しいことではないことは、鈍感な瑛貴ですら、真夕子の纏う雰囲気から分かった。
「アッキーのね、そういうとこ、嫌いじゃないよ? けどさ、あんまり惨めな思いさせないでよ。あたしにだって一応、プライドとかあるんだから」
「真夕ちゃんっ」
真夕子が何を言わんとするのか分からないのは、瑛貴が鈍いせいなのか、今の状況に焦っているせいなのか。ただ、真夕子が瑛貴と依織の関係に猜疑心を持っているのは確かで。
でもそうでなくて、真夕子の声色に涙が交じっているのが分かったから、瑛貴は慌てて真夕子のそばに駆け寄った。
依織はその場に立ったまま、2人のことを見つめていた。
理知的で、優しそうな、大人の女性。きっと優柔不断で鈍感な瑛貴のこと、普段から引っ張って行っているのだろう。
そんな彼女が、涙を浮かべていた。
そうさせているのは瑛貴で、――――そして依織だ。
「ねぇ、」
「えっ…?」
真夕子は瑛貴でなく、依織に声を掛けた。
呆然としていた依織は反応が遅れ、ハッと真夕子の顔を見た。
「どうしてアッキーなの? 何で? あたしの恋人なのに、何で盗ろうとするの?」
「…」
「真夕ちゃん、違う、依織は…」
依織は男で、友だちで、別にそういう関係じゃない――――もし真夕子に誤解されてしまったら、そう説明するはずだった言葉。
しかしそれが今、一体何の意味を成すだろう。
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タクシーが遠ざかるのを見送ってから、瑛貴が依織に声を掛けた。
今日はまだ終電までに時間もあるし、ちょっとだけゆっくり話が出来るかな、なんて依織は少し期待する。
「…アッキー」
2人して歩き出してすぐに、瑛貴を呼び止める、1つの声。
依織には聞き覚えのない声で、この界隈で働く女性キャストか誰かかと思ったが、隣の瑛貴はハッとした顔で声のほうを見た。
「え、真夕ちゃ…」
あまりにも思い掛けない人物がそこにはいて、瑛貴は言葉が続かなかった。
立っていたのは、真夕子だった。瑛貴の恋人である真夕子が、何の表情もなく、足を止めた2人を見つめていた。
依織は直感的に、この人が瑛貴の恋人なのだと分かった。
「そんな驚いた顔しなくても。あたしがここに来たの、そんなに意外だった?」
やけに静かに、真夕子は話した。
意外と言えば意外だが、真夕子は瑛貴の働いている店を知っているし、来たからといって別に不思議なことはない。
時間的にもお客として来たわけではないから、だとすれば瑛貴のことを迎えに来たのだろうか。いや、そんな生易しいことではないことは、鈍感な瑛貴ですら、真夕子の纏う雰囲気から分かった。
「アッキーのね、そういうとこ、嫌いじゃないよ? けどさ、あんまり惨めな思いさせないでよ。あたしにだって一応、プライドとかあるんだから」
「真夕ちゃんっ」
真夕子が何を言わんとするのか分からないのは、瑛貴が鈍いせいなのか、今の状況に焦っているせいなのか。ただ、真夕子が瑛貴と依織の関係に猜疑心を持っているのは確かで。
でもそうでなくて、真夕子の声色に涙が交じっているのが分かったから、瑛貴は慌てて真夕子のそばに駆け寄った。
依織はその場に立ったまま、2人のことを見つめていた。
理知的で、優しそうな、大人の女性。きっと優柔不断で鈍感な瑛貴のこと、普段から引っ張って行っているのだろう。
そんな彼女が、涙を浮かべていた。
そうさせているのは瑛貴で、――――そして依織だ。
「ねぇ、」
「えっ…?」
真夕子は瑛貴でなく、依織に声を掛けた。
呆然としていた依織は反応が遅れ、ハッと真夕子の顔を見た。
「どうしてアッキーなの? 何で? あたしの恋人なのに、何で盗ろうとするの?」
「…」
「真夕ちゃん、違う、依織は…」
依織は男で、友だちで、別にそういう関係じゃない――――もし真夕子に誤解されてしまったら、そう説明するはずだった言葉。
しかしそれが今、一体何の意味を成すだろう。
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粟津原栗子 ⇒ きゃぁー
修羅場!!
女の立場からしたらまゆちゃんを応援したい…まゆちゃん、思ってた以上にアッキーのこと好きなんだなぁ…。
アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)
カンケイないですけど、いま気付いたんですけど、
500色の色鉛筆、いいですよねぇ。使ってます。
淡い色のバリエーションがなんとも…www
女の立場からしたらまゆちゃんを応援したい…まゆちゃん、思ってた以上にアッキーのこと好きなんだなぁ…。
アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)
カンケイないですけど、いま気付いたんですけど、
500色の色鉛筆、いいですよねぇ。使ってます。
淡い色のバリエーションがなんとも…www
柚子季 杏 ⇒
あっきー……うん、そろそろ腹を括るべきだよ。
まゆちゃんが本当不憫。
こんないい子、なかなかいないよ゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
まゆちゃんがここまで来るって、よっぽどの覚悟だったんだろうな~。
あっきーも悪いけど、やっぱりイオリン、自分のやった事はちゃんと認めなきゃね。
寂しいからとか、好きだからとか、それなら何をやってもいい、ってのは間違いだもの。
元はみんないい子だから、何ともいえないあわわな感じです(;´Д`)
まゆちゃんが本当不憫。
こんないい子、なかなかいないよ゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
まゆちゃんがここまで来るって、よっぽどの覚悟だったんだろうな~。
あっきーも悪いけど、やっぱりイオリン、自分のやった事はちゃんと認めなきゃね。
寂しいからとか、好きだからとか、それなら何をやってもいい、ってのは間違いだもの。
元はみんないい子だから、何ともいえないあわわな感じです(;´Д`)
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
もうホンット、このお話を書きながら、ずっと「ごめんなさい」を言い続けてましたよ。
アッキーを軽くてチャラい悪い男にしたくない…! て思って書いていたら、誠実なんだけど優柔不断で、結局無自覚の悪い男になってしまいました…。
真夕ちゃんも、やっぱり悪い女には出来ず、それだけ余計に不憫になってしまいました。
アッキー、ちゃんと蹴りを付けられるんでしょうか。
最後までダメダメアッキーなんでしょうか。
どうか最後まで見守ってやってください。
コメントありがとうございました!
アッキーを軽くてチャラい悪い男にしたくない…! て思って書いていたら、誠実なんだけど優柔不断で、結局無自覚の悪い男になってしまいました…。
真夕ちゃんも、やっぱり悪い女には出来ず、それだけ余計に不憫になってしまいました。
アッキー、ちゃんと蹴りを付けられるんでしょうか。
最後までダメダメアッキーなんでしょうか。
どうか最後まで見守ってやってください。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >粟津原さん
> 修羅場!!
> 女の立場からしたらまゆちゃんを応援したい…まゆちゃん、思ってた以上にアッキーのこと好きなんだなぁ…。
>
> アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)
あわわ。
ホント、アッキーに聞かせてやりたい!
アッキーをチャラくて軽い男にしないように…と思いながら書いていたら、いい子なんだけど、優柔不断で、結局無自覚の悪い男になってしまいました…。
女の子大好きなので、書きながら私も、真夕ちゃんがかわいそうで、かわいそうで…。
ホント、「アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)」ですよねぇ。
> カンケイないですけど、いま気付いたんですけど、
> 500色の色鉛筆、いいですよねぇ。使ってます。
> 淡い色のバリエーションがなんとも…www
実際に使ってらっしゃるんですか!?
素敵!
私も欲しいなぁ~と思いつつ、置き場もないし(部屋が汚いから)、使う機会あるかなぁ…とか思っちゃって、ずっと保留状態です(^_^;)
でも見てるだけでも、幸せですよね。キレイ~。
粟津原さんの、この色鉛筆を使った作品も見てみたいです~(*^_^*)
コメントありがとうございました!
> 女の立場からしたらまゆちゃんを応援したい…まゆちゃん、思ってた以上にアッキーのこと好きなんだなぁ…。
>
> アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)
あわわ。
ホント、アッキーに聞かせてやりたい!
アッキーをチャラくて軽い男にしないように…と思いながら書いていたら、いい子なんだけど、優柔不断で、結局無自覚の悪い男になってしまいました…。
女の子大好きなので、書きながら私も、真夕ちゃんがかわいそうで、かわいそうで…。
ホント、「アッキー、しっかりしなさい!!(` 曲 ´)」ですよねぇ。
> カンケイないですけど、いま気付いたんですけど、
> 500色の色鉛筆、いいですよねぇ。使ってます。
> 淡い色のバリエーションがなんとも…www
実際に使ってらっしゃるんですか!?
素敵!
私も欲しいなぁ~と思いつつ、置き場もないし(部屋が汚いから)、使う機会あるかなぁ…とか思っちゃって、ずっと保留状態です(^_^;)
でも見てるだけでも、幸せですよね。キレイ~。
粟津原さんの、この色鉛筆を使った作品も見てみたいです~(*^_^*)
コメントありがとうございました!