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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (77)
2010.10.20 Wed
「つか、彼氏でも彼女でも、何でもいいから早く行きなよ。待ってんでしょ?」
「待ってるかなー?」
「迎え来てもらえば?」
「…来ねぇよ」
いきなり、先ほどまでの無邪気な声とは裏腹の、低い声を出した七槻に、話を振った瑛貴だけでなく依織も驚いたが、七槻は構わず瑛貴から離れた。
「アッキー、タクシー」
「え、俺に拾って来いって?」
七槻の顔からは、笑みが消えていた。
酔っ払いの機嫌を損ねるのは面倒くさいことを知っている瑛貴は、相変わらず電車の時間を気にしつつ、それ以上の文句を言わずに、表通りにタクシーを拾いに行った。
「…さっきまでの、酔っ払ってたの、演技?」
七槻と2人きりになって、依織は思わず尋ねた。
単に機嫌が悪くなっただけではない、今の七槻は。
「酔ってるよ、めっちゃ飲んだもん。つか醒めた、今」
「アッキーのせい?」
「アイツさぁ、いいヤツなんだけど、何であんな鈍いんだろーな。俺のこと、どうでもいいとか思ってるヤツが、迎えなんか来てくれるわけねぇのに」
「…だね。てか、そんなどーでもいいとか思ってる人のこと、七槻くん好きなの?」
「んー…暫定1位て感じかな?」
「何それ」
たぶん笑い事ではないけれど、依織は思わず笑ってしまった。
瑛貴から聞いた話では、七槻もわりと日替わりで隣を歩く彼女や彼氏が変わっているらしいから。
「つか依織も大変だよな、あんなの好きになって」
「大変。でも、しょうがないよ。だってアッキーは彼女のこと好きなんだし。…けど、それならそれで、俺のこと突き放してくれればいいのに、とは思うけど」
「そんな器用なヤツじゃないよ、アッキーは」
苦笑する七槻に、「だね」と依織も同意した。
「つーかさ、依織、マジで久々じゃね? 女の子の格好で来んの」
「まぁ…いろいろ事情がありまして」
女の子の格好で瑛貴に会わないようにしていたのだが、先日、まだ女の子の格好でいろいろしていることがバレてしまったので、取り繕うのを結局やめたのだ。
今日も実は、ここに来る前、男1人を相手してきた。
というか、それで終わって、家に帰るつもりだった。
なのに終わった後、その男がとってもあっさりしていて、別に甘い言葉なんて望んではいなかったけれど、それがすごく寂しくて、瑛貴に会いたくなってしまったのだ。
「俺、お前が女の子の格好で来るのやめたから、とうとう真っ向勝負か!? とか思ってたのに、違ったんだ?」
「そうしたかったんだけどねー。さっき言ったとおり、アッキーは鈍感で不器用だから」
まさか自分がこんなにも他人の感情を振り回しているなんて、瑛貴は微塵も思っていないのだろう。
わざとでなくて、無自覚。
本当にタチが悪いと思う。けれど嫌いになれない。
「七槻くん、タクシー」
しばらくして、瑛貴が戻って来た。
手には、ミネラルウォーターのペットボトルを持っていて、「はい」とそれを七槻に渡した。
酔っ払った七槻のために買って来たのだろう。的外れなタイミングは、いかにも瑛貴らしくて、七槻は少し笑ってからそれを受け取った。
「じゃ、俺帰るわ。アッキー、タクシーありがと」
手を振った七槻が2人に背を向け、タクシーに乗り込んだ。
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「待ってるかなー?」
「迎え来てもらえば?」
「…来ねぇよ」
いきなり、先ほどまでの無邪気な声とは裏腹の、低い声を出した七槻に、話を振った瑛貴だけでなく依織も驚いたが、七槻は構わず瑛貴から離れた。
「アッキー、タクシー」
「え、俺に拾って来いって?」
七槻の顔からは、笑みが消えていた。
酔っ払いの機嫌を損ねるのは面倒くさいことを知っている瑛貴は、相変わらず電車の時間を気にしつつ、それ以上の文句を言わずに、表通りにタクシーを拾いに行った。
「…さっきまでの、酔っ払ってたの、演技?」
七槻と2人きりになって、依織は思わず尋ねた。
単に機嫌が悪くなっただけではない、今の七槻は。
「酔ってるよ、めっちゃ飲んだもん。つか醒めた、今」
「アッキーのせい?」
「アイツさぁ、いいヤツなんだけど、何であんな鈍いんだろーな。俺のこと、どうでもいいとか思ってるヤツが、迎えなんか来てくれるわけねぇのに」
「…だね。てか、そんなどーでもいいとか思ってる人のこと、七槻くん好きなの?」
「んー…暫定1位て感じかな?」
「何それ」
たぶん笑い事ではないけれど、依織は思わず笑ってしまった。
瑛貴から聞いた話では、七槻もわりと日替わりで隣を歩く彼女や彼氏が変わっているらしいから。
「つか依織も大変だよな、あんなの好きになって」
「大変。でも、しょうがないよ。だってアッキーは彼女のこと好きなんだし。…けど、それならそれで、俺のこと突き放してくれればいいのに、とは思うけど」
「そんな器用なヤツじゃないよ、アッキーは」
苦笑する七槻に、「だね」と依織も同意した。
「つーかさ、依織、マジで久々じゃね? 女の子の格好で来んの」
「まぁ…いろいろ事情がありまして」
女の子の格好で瑛貴に会わないようにしていたのだが、先日、まだ女の子の格好でいろいろしていることがバレてしまったので、取り繕うのを結局やめたのだ。
今日も実は、ここに来る前、男1人を相手してきた。
というか、それで終わって、家に帰るつもりだった。
なのに終わった後、その男がとってもあっさりしていて、別に甘い言葉なんて望んではいなかったけれど、それがすごく寂しくて、瑛貴に会いたくなってしまったのだ。
「俺、お前が女の子の格好で来るのやめたから、とうとう真っ向勝負か!? とか思ってたのに、違ったんだ?」
「そうしたかったんだけどねー。さっき言ったとおり、アッキーは鈍感で不器用だから」
まさか自分がこんなにも他人の感情を振り回しているなんて、瑛貴は微塵も思っていないのだろう。
わざとでなくて、無自覚。
本当にタチが悪いと思う。けれど嫌いになれない。
「七槻くん、タクシー」
しばらくして、瑛貴が戻って来た。
手には、ミネラルウォーターのペットボトルを持っていて、「はい」とそれを七槻に渡した。
酔っ払った七槻のために買って来たのだろう。的外れなタイミングは、いかにも瑛貴らしくて、七槻は少し笑ってからそれを受け取った。
「じゃ、俺帰るわ。アッキー、タクシーありがと」
手を振った七槻が2人に背を向け、タクシーに乗り込んだ。
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