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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (72)
2010.10.15 Fri
フォークを置いて、ノロノロとグラスに手を伸ばす瑛貴の耳に、「いらっしゃいませー」という店員の声が届く。こんな時間だというのに、ファミレスというのは、つくづく不思議な空間だ。
だが、来店した客に興味はない。瑛貴はグラスを持って立ち上がった。いや、立ち上がろうとした。
「アッキー?」
その声に、手が止まった。
何となく視線を向けたままだった空のグラスから、顔を上げられない。
「やっぱアッキーだ。通り掛かったら、アッキーがいるの見えて。終電乗り遅れたの? でも珍しくない? アッキー、ファミレスで時間潰すなんて」
「…俺だって、そういうことくらい、あるよ」
瑛貴はグラスから手を離し、ゆっくりと視線を上げた。
そこに立っていたのはやはり依織で、駅前で見掛けたのと同じ、女の子の格好をしていた。
「始発までいるんでしょ? 俺もここ座っていい?」
「何で? 他にも席空いてんじゃん。つーかお前、歩いてだって帰れんだろ?」
「そうだけど……ダメ? アッキーどうしたの? 何か暗くない?」
「…普通」
結局依織は、勝手に瑛貴の向かいの席に座った。
瑛貴は飲み物を取りに行くつもりだったのに、タイミングを失ってしまい、仕方なしにフォークを持ち直した。
「ぅん? アッキー何か飲むんじゃなかったの? 俺、持って来てあげよっか?」
「別に、」
「俺も何か飲みたいし」
どうしてそんな、余計なことまで気付くんだ。
そんなさり気なくグラスを持って立ち上がるなよ。
「ねぇコーラでいいの? アッキー?」
「…うん」
「アッキーてコーラ好きなの? 俺も好きだけど。あ、すいませーん、ドリンクバーもう1個」
瑛貴に話し掛けながら、依織は見つけた店員に追加の注文をしている。
店員はテーブルに新たな伝票を置いていき、依織はドリンクバーへと向かった。
何でこんなことになってしまったのだろう。
依織は、通り掛かったら瑛貴がいるのが見えたと言っていた。そうか、ここは窓際の席で、外から見えるのか。
もう電車は終わっているし、先ほど見た男と事が済んだ依織は、歩いて家まで帰るところだったのだろう。その彼と朝まで一緒には過ごさないのだろうか。
「はい」
氷たっぷりのコーラが目の前に差し出されて、瑛貴は何も言わずにそれを受け取った。
「ねぇアッキー、何でそんなテンション低いの? 眠いの?」
「違ぇよ。つーか、お前のテンションのほうがおかしいんだよ、時間的に」
言い放って、瑛貴はストローが刺さっているにも拘らず、直接グラスからコーラをがぶがぶと飲み始めた。
過ぎるくらい分かりやすく、今日の瑛貴は機嫌が悪い。
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だが、来店した客に興味はない。瑛貴はグラスを持って立ち上がった。いや、立ち上がろうとした。
「アッキー?」
その声に、手が止まった。
何となく視線を向けたままだった空のグラスから、顔を上げられない。
「やっぱアッキーだ。通り掛かったら、アッキーがいるの見えて。終電乗り遅れたの? でも珍しくない? アッキー、ファミレスで時間潰すなんて」
「…俺だって、そういうことくらい、あるよ」
瑛貴はグラスから手を離し、ゆっくりと視線を上げた。
そこに立っていたのはやはり依織で、駅前で見掛けたのと同じ、女の子の格好をしていた。
「始発までいるんでしょ? 俺もここ座っていい?」
「何で? 他にも席空いてんじゃん。つーかお前、歩いてだって帰れんだろ?」
「そうだけど……ダメ? アッキーどうしたの? 何か暗くない?」
「…普通」
結局依織は、勝手に瑛貴の向かいの席に座った。
瑛貴は飲み物を取りに行くつもりだったのに、タイミングを失ってしまい、仕方なしにフォークを持ち直した。
「ぅん? アッキー何か飲むんじゃなかったの? 俺、持って来てあげよっか?」
「別に、」
「俺も何か飲みたいし」
どうしてそんな、余計なことまで気付くんだ。
そんなさり気なくグラスを持って立ち上がるなよ。
「ねぇコーラでいいの? アッキー?」
「…うん」
「アッキーてコーラ好きなの? 俺も好きだけど。あ、すいませーん、ドリンクバーもう1個」
瑛貴に話し掛けながら、依織は見つけた店員に追加の注文をしている。
店員はテーブルに新たな伝票を置いていき、依織はドリンクバーへと向かった。
何でこんなことになってしまったのだろう。
依織は、通り掛かったら瑛貴がいるのが見えたと言っていた。そうか、ここは窓際の席で、外から見えるのか。
もう電車は終わっているし、先ほど見た男と事が済んだ依織は、歩いて家まで帰るところだったのだろう。その彼と朝まで一緒には過ごさないのだろうか。
「はい」
氷たっぷりのコーラが目の前に差し出されて、瑛貴は何も言わずにそれを受け取った。
「ねぇアッキー、何でそんなテンション低いの? 眠いの?」
「違ぇよ。つーか、お前のテンションのほうがおかしいんだよ、時間的に」
言い放って、瑛貴はストローが刺さっているにも拘らず、直接グラスからコーラをがぶがぶと飲み始めた。
過ぎるくらい分かりやすく、今日の瑛貴は機嫌が悪い。
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粟津原栗子 ⇒ うふふw
あっきーボロンチョww
もじもじします。
にまにまします。
画面の向こうでひとり怪しい人でございます。
うちの「あきたか」さんも「アッキー」と呼ばせようかなぁ…(無茶
もじもじします。
にまにまします。
画面の向こうでひとり怪しい人でございます。
うちの「あきたか」さんも「アッキー」と呼ばせようかなぁ…(無茶
如月久美子 ⇒ >粟津原さん
アッキー、人の気持ちには鈍感なくせに、人から見たらすごく分かりやすい子…。
きっと自分の気持ちも持て余してるんだろうなぁ(笑)
あ、画面の向こうで怪しい人になってるのは、粟津原さんだけじゃないですよぉ!
私もハッと気づくと、顔に締まりがなくなってることがしばしば…。
気付いてないだけで、そういうことがしょっちゅうあるんじゃないかぁ~と思ってます(笑)
男子をついあだ名で呼ばせたがるのは、私の癖です。
粟津原さんトコの、静かで大人な男子(男子? 男性?)があだ名だったら……妄想が膨らみます!
コメントありがとうございました!
きっと自分の気持ちも持て余してるんだろうなぁ(笑)
あ、画面の向こうで怪しい人になってるのは、粟津原さんだけじゃないですよぉ!
私もハッと気づくと、顔に締まりがなくなってることがしばしば…。
気付いてないだけで、そういうことがしょっちゅうあるんじゃないかぁ~と思ってます(笑)
男子をついあだ名で呼ばせたがるのは、私の癖です。
粟津原さんトコの、静かで大人な男子(男子? 男性?)があだ名だったら……妄想が膨らみます!
コメントありがとうございました!