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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (73)
2010.10.16 Sat
傍から見たら笑えるくらい終電で帰ることに拘っている瑛貴が、こんな時間にファミレスにいる理由はすぐに分かるし、そのせいで機嫌が悪いのも分かる。
しかし不本意にもファミレスで始発を待つはめになったとしても、1人で時間を持て余すよりは、誰かいたほうが時間を潰せそうだと依織は思ったのだが、どうやら瑛貴はそうではないらしい。
とすれば、その原因が自分にあることが、瑛貴ほど鈍感ではない依織にはすぐに分かった。
恐らく依織が相席することすら、瑛貴のご機嫌バロメーターを容易に「不機嫌」のほうへ押し遣るのだろう、だが今さら別の席に替わる面倒くさいので、依織は構わず向かいの席に座った。
「アッキーもうご飯食べちゃったの? サラダ? ねぇねぇ何かデザートとか頼まない?」
「…いらない」
「あ、そう」
素っ気なく、そう顔すらも上げずに瑛貴が答えれば、しかし依織は溜め息の後、なぜか店員を呼ぶためのボタンを押した。
「は? ちょっ…」
「俺が食べんの。いいでしょ? それなら」
「…勝手にすれば」
目も合わせず瑛貴が答えたところで、店員がテーブルへとやって来た。
「えっとー、黒蜜抹茶ケーキとカシス&ベリーパフェ」
「え、ちょっ…」
「かしこまりましたー」
なぜかデザートを2つ頼んだ依織に、瑛貴が慌てたのも虚しく、店員は躊躇する素振りもなくあっさりと去って行った。
「依織、お前、」
「だって2つとも食べたかったんだもん。食べ切れなかったら、アッキー半分食べて」
「ふざけんな」
勝手なことを言う依織に、瑛貴は大げさに溜め息をついた。
けれど本当は、何だか機嫌の悪い瑛貴に気を遣ったに違いないことは、瑛貴にも分かっていた。
「…つーか依織、お前、こんなとこ来てていいのかよ」
「何が?」
「さっき一緒にいたヤツ。もうバイバイして来たの?」
メニューを片付け、コーラのグラスに手を伸ばしていた依織は、グラスを掴む直前に、そのままの格好で一瞬固まった。
「何、アッキー……それって、」
「え、だってさっき駅んトコで、一緒にいるの見たし」
「あ…」
「いや別にいいんだけどさ。何か最近JADEに来るとき男の格好で来るから、依織が女の子の格好すんだってこと、ちょっと忘れ掛けてただけ」
それは、本当のこと。
そんな権利はないけれど、少し嫌な気持ちになって、勝手に不機嫌になってはいたものの、瑛貴は別にそのことで今さら依織を咎めようなんて思っていない。
「何か…だって、女の子の格好してるってことは、まぁそういうことじゃん? 何かアッキーに、まだそんなことしてんのかよ、て思われたくなかったから」
「けど、今その格好で会いに来たら、意味ないじゃん」
「そうだけど、でも見掛けたら、会いたくなったんだもんっ」
瑛貴に笑いながら突っ込まれ、依織は拗ねたように言い訳した。
依織が女の子の格好をする理由を、瑛貴は知っているのだから、今の姿を見れば、一緒に歩いているところを見なかったとしても、何となく想像は付くに決まっているのに。
back next
しかし不本意にもファミレスで始発を待つはめになったとしても、1人で時間を持て余すよりは、誰かいたほうが時間を潰せそうだと依織は思ったのだが、どうやら瑛貴はそうではないらしい。
とすれば、その原因が自分にあることが、瑛貴ほど鈍感ではない依織にはすぐに分かった。
恐らく依織が相席することすら、瑛貴のご機嫌バロメーターを容易に「不機嫌」のほうへ押し遣るのだろう、だが今さら別の席に替わる面倒くさいので、依織は構わず向かいの席に座った。
「アッキーもうご飯食べちゃったの? サラダ? ねぇねぇ何かデザートとか頼まない?」
「…いらない」
「あ、そう」
素っ気なく、そう顔すらも上げずに瑛貴が答えれば、しかし依織は溜め息の後、なぜか店員を呼ぶためのボタンを押した。
「は? ちょっ…」
「俺が食べんの。いいでしょ? それなら」
「…勝手にすれば」
目も合わせず瑛貴が答えたところで、店員がテーブルへとやって来た。
「えっとー、黒蜜抹茶ケーキとカシス&ベリーパフェ」
「え、ちょっ…」
「かしこまりましたー」
なぜかデザートを2つ頼んだ依織に、瑛貴が慌てたのも虚しく、店員は躊躇する素振りもなくあっさりと去って行った。
「依織、お前、」
「だって2つとも食べたかったんだもん。食べ切れなかったら、アッキー半分食べて」
「ふざけんな」
勝手なことを言う依織に、瑛貴は大げさに溜め息をついた。
けれど本当は、何だか機嫌の悪い瑛貴に気を遣ったに違いないことは、瑛貴にも分かっていた。
「…つーか依織、お前、こんなとこ来てていいのかよ」
「何が?」
「さっき一緒にいたヤツ。もうバイバイして来たの?」
メニューを片付け、コーラのグラスに手を伸ばしていた依織は、グラスを掴む直前に、そのままの格好で一瞬固まった。
「何、アッキー……それって、」
「え、だってさっき駅んトコで、一緒にいるの見たし」
「あ…」
「いや別にいいんだけどさ。何か最近JADEに来るとき男の格好で来るから、依織が女の子の格好すんだってこと、ちょっと忘れ掛けてただけ」
それは、本当のこと。
そんな権利はないけれど、少し嫌な気持ちになって、勝手に不機嫌になってはいたものの、瑛貴は別にそのことで今さら依織を咎めようなんて思っていない。
「何か…だって、女の子の格好してるってことは、まぁそういうことじゃん? 何かアッキーに、まだそんなことしてんのかよ、て思われたくなかったから」
「けど、今その格好で会いに来たら、意味ないじゃん」
「そうだけど、でも見掛けたら、会いたくなったんだもんっ」
瑛貴に笑いながら突っ込まれ、依織は拗ねたように言い訳した。
依織が女の子の格好をする理由を、瑛貴は知っているのだから、今の姿を見れば、一緒に歩いているところを見なかったとしても、何となく想像は付くに決まっているのに。
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音夜 ⇒ 揺れてますね
アッキーくんの心が少し変化してるんでしょーか?イラついてますね。それは自分の気持ちの中の何か分らない正体にかな?それとも依織くんが男と一緒だったからかな?ヤキモチ?とか、探りつつ読んでましたw
突然アッキーくんの前で女子の格好すんのやめたんは何か理由あんのかな?とか……w
2人の心情とやりとりにドキハラしながら続き楽しみに待ってます
突然アッキーくんの前で女子の格好すんのやめたんは何か理由あんのかな?とか……w
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- |2010.10.16
- |Sat
- |23:47
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
コメレス遅れてすみませんっ!!
アッキー、自分の気持ちを持て余してますが、果たしてその意味に気付いているのやら。。。
イオリンもの寂しさゆえ行動の意味もよく分からないまま、苛立っているのではないでしょうか(苦笑)
アッキーが鈍感すぎて、おそらくジリジリしてらっしゃるかと思いますが……どうか温かく見守ってやってください!
コメントありがとうございました!
アッキー、自分の気持ちを持て余してますが、果たしてその意味に気付いているのやら。。。
イオリンもの寂しさゆえ行動の意味もよく分からないまま、苛立っているのではないでしょうか(苦笑)
アッキーが鈍感すぎて、おそらくジリジリしてらっしゃるかと思いますが……どうか温かく見守ってやってください!
コメントありがとうございました!