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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (71)
2010.10.14 Thu
「はぁー…」
こんな時間だから、店内に人は多くても客の回転は悪いから、店員も時間を持て余しているようで、店内を見回るようにときどき通り過ぎる店員が、何も注文しない瑛貴をチラチラ見ていく。
もとが優柔不断なうえに、食欲もないのでは、決まるものも決まらない。
散々迷った挙句、それほど食べたいわけでもなかったが、瑛貴は軽めのサラダとドリンクバーを注文した。
注文を受けた店員は、お決まりのセリフでドリンクバーの説明をしてから立ち去ったが、瑛貴はドリンクを取りに席を立つ気分にもならず、何となくグダグダとしていた。
このままだと、せっかく注文したのに、飲み物を取りに行かないまま終わってしまいそう…。
時計に目を落とせば、まだ2時を過ぎたところで、時間はたっぷりある。
本当に始発が動き出すまで、こんなところにいることなんて出来るんだろうか。
「お待たせいたしました」
注文したものが簡単なサラダだけだったから、瑛貴がボーっとしているうち、あっという間に料理が運ばれて来てしまった。
瑛貴がそちらに顔を向ければ、笑顔とも言い難い微妙な顔をしている店員と目が合った。
「ご注文は以上で…」
「あ、はい。あ、あ……はい」
丸めた伝票を置こうとした店員の歯切れが何だか悪くて、ようやく瑛貴は彼の表情の意味が分かった。
普通ドリンクバーなんて、まず取りに行くものなのに、相変わらず瑛貴のテーブルには最初に出された水のグラスしかないものだから、『ご注文は以上でお揃いですか?』という定番のセリフが吐けなかったのだ。
「あの……はい、取りに行くんで、ドリンクバー…」
別に取りに行くことを忘れているわけでも、ドリンクバーのシステムを知らないわけでもないから、そんな顔をしていないで、さっさと立ち去ってほしい。
いたたまれず瑛貴が視線を落とすと、店員は「…ごゆっくりどうぞ」と静かに行って離れていった。
瑛貴はフォークで適当にサラダをつついた後、パプリカを1つ口に運んでから席を立った。
しかしこちらも残念ながら、これと言って飲みたいものもなく、瑛貴はコーラをグラスの半分ぐらい注ぐと、適当にストローを差して席に戻る。
(あ、氷忘れた…)
座った瞬間に、グラスの中に氷がないことに気が付いたが、面倒くさくて、改めて氷を入れに行くのは諦めた。
もそもそとサラダをつつきながら、氷の入っていないコーラをダラダラと飲んでいる姿は、もしかしたらひどく陰気に見えるかもしれないが、有り難いことに周囲は、そんな瑛貴には無関心だ。
通路を挟んだ向かいの席は男3人組で、そのうちの2人はテーブルに突っ伏して寝ている。残りの1人は携帯電話に向き合って、メールなのかゲームなのか、先ほどからずっと熱心だ。
しばらくすると、テーブルに突っ伏して寝ていた1人が頭を起し、寝ているうちに氷が全部融けたことで出来た、グラスの中の中途半端な水を啜ってから、ドリンクバーへ向かう。
その正面に座って、ずっと携帯電話を弄っていたヤツは、起きた友人に目もくれず、相変わらず小さなディスプレイを覗き込んでいる。
知らない人間。
注目する必要もないし、そんな気もなかったから、瑛貴は自分のサラダへと視線を戻した。
ドレッシングの中に、レタスやらベビーリーフの欠けらが沈んでいる。グラスの中は空。
(…コーラ)
今度こそ氷を入れて、新しいのを持ってこよう。
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こんな時間だから、店内に人は多くても客の回転は悪いから、店員も時間を持て余しているようで、店内を見回るようにときどき通り過ぎる店員が、何も注文しない瑛貴をチラチラ見ていく。
もとが優柔不断なうえに、食欲もないのでは、決まるものも決まらない。
散々迷った挙句、それほど食べたいわけでもなかったが、瑛貴は軽めのサラダとドリンクバーを注文した。
注文を受けた店員は、お決まりのセリフでドリンクバーの説明をしてから立ち去ったが、瑛貴はドリンクを取りに席を立つ気分にもならず、何となくグダグダとしていた。
このままだと、せっかく注文したのに、飲み物を取りに行かないまま終わってしまいそう…。
時計に目を落とせば、まだ2時を過ぎたところで、時間はたっぷりある。
本当に始発が動き出すまで、こんなところにいることなんて出来るんだろうか。
「お待たせいたしました」
注文したものが簡単なサラダだけだったから、瑛貴がボーっとしているうち、あっという間に料理が運ばれて来てしまった。
瑛貴がそちらに顔を向ければ、笑顔とも言い難い微妙な顔をしている店員と目が合った。
「ご注文は以上で…」
「あ、はい。あ、あ……はい」
丸めた伝票を置こうとした店員の歯切れが何だか悪くて、ようやく瑛貴は彼の表情の意味が分かった。
普通ドリンクバーなんて、まず取りに行くものなのに、相変わらず瑛貴のテーブルには最初に出された水のグラスしかないものだから、『ご注文は以上でお揃いですか?』という定番のセリフが吐けなかったのだ。
「あの……はい、取りに行くんで、ドリンクバー…」
別に取りに行くことを忘れているわけでも、ドリンクバーのシステムを知らないわけでもないから、そんな顔をしていないで、さっさと立ち去ってほしい。
いたたまれず瑛貴が視線を落とすと、店員は「…ごゆっくりどうぞ」と静かに行って離れていった。
瑛貴はフォークで適当にサラダをつついた後、パプリカを1つ口に運んでから席を立った。
しかしこちらも残念ながら、これと言って飲みたいものもなく、瑛貴はコーラをグラスの半分ぐらい注ぐと、適当にストローを差して席に戻る。
(あ、氷忘れた…)
座った瞬間に、グラスの中に氷がないことに気が付いたが、面倒くさくて、改めて氷を入れに行くのは諦めた。
もそもそとサラダをつつきながら、氷の入っていないコーラをダラダラと飲んでいる姿は、もしかしたらひどく陰気に見えるかもしれないが、有り難いことに周囲は、そんな瑛貴には無関心だ。
通路を挟んだ向かいの席は男3人組で、そのうちの2人はテーブルに突っ伏して寝ている。残りの1人は携帯電話に向き合って、メールなのかゲームなのか、先ほどからずっと熱心だ。
しばらくすると、テーブルに突っ伏して寝ていた1人が頭を起し、寝ているうちに氷が全部融けたことで出来た、グラスの中の中途半端な水を啜ってから、ドリンクバーへ向かう。
その正面に座って、ずっと携帯電話を弄っていたヤツは、起きた友人に目もくれず、相変わらず小さなディスプレイを覗き込んでいる。
知らない人間。
注目する必要もないし、そんな気もなかったから、瑛貴は自分のサラダへと視線を戻した。
ドレッシングの中に、レタスやらベビーリーフの欠けらが沈んでいる。グラスの中は空。
(…コーラ)
今度こそ氷を入れて、新しいのを持ってこよう。
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