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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (70)
2010.10.13 Wed
*****
このところ依織が、いつも男の姿でしか現れなかったので、瑛貴は依織が女の子の格好をするのだということを、何となく忘れていた。
だから、駅前の雑踏の中で女の子の格好をした依織を見掛けたときは、本当に息が詰まるかと思った。
隣には男の姿。腕を組んで歩いている。
「……」
何とも言えない嫌な気持ちに襲われたが、しかしそんな依織を咎められないことは瑛貴自身、知っていた。
大体、瑛貴と依織は恋人同士でも何でもない。もしかしたらもう友だちではないかもしれないが、少なくとも恋人にはなっていない。瑛貴の恋人は真夕子だ。
それなのに、瑛貴と依織はキスをする。
――――依織が、女の子の格好でどこかの男と関係を持つことは、真夕子という恋人がいるにも拘らず、依織とキスしてしまう瑛貴と同じだ。
こんなことで似ている2人だとは言わないが、けれどやっていることは結局同じ。
だから瑛貴は依織のやっていることに何も言えない。もし何か言ったり言われたりするのだとすれば、瑛貴が真夕子に咎められる以外にない。
暗闇に紛れるように消えて行った依織と男を、瑛貴は何となくボンヤリと眺めていたが、その直後、ハッと駅を振り返った。
電車。
完全に乗り遅れた。
「あぅ…」
今日の瑛貴は付いていない。
終電は逃すわ、タクシーで帰れるほどの持ち合わせはないわで、結局瑛貴は、嫌々ながらも始発までファミレスで過ごすはめになってしまった。
泊めてくれそうな友人や知人をあたるという手もあったのだが、誰かと過ごすよりも1人でいたかったから。
駅近くのファミレスは、混雑していると言うほどでもなかったが、それなりにお客がいて、瑛貴は少し驚いた。
窓際の席まで案内される途中、いるのは、お喋りに夢中になっている派手めの女の子たちやら、勉強をしている学生やら、寄り添ってイチャイチャしているカップル。
中には、瑛貴のように終電を逃した人もいるのだろう。不思議な空間だと思った。
「お決まりになりましたら、お呼びください」
昼間ほどは高くないテンションで、店員がメニューと水を置いて立ち去った。
何だか腹も減っていなかったが、ファミレスに来て、ドリンクバーだけで何時間もいられるほど図太い神経をしていない瑛貴は、適当にメニューを捲る。
しかし、キレイに撮られた料理の写真は、本来ならば食欲をそそるはずなのに、なぜか少しもそんな気にならない。
年齢相応の男子らしく食欲旺盛なほうなのに、少しも食欲が湧かないなんて、やっぱりどうかしてしまったのだろうか。
だが、他に考えることがないと、頭の中は依織のことで占領されそうになるので、瑛貴はわざと1品1品じっくりと詳細まで丁寧に眺める。
それなのに、とうとうデザートのページまで辿り着いてしまい、最後のページを捲ったら、メニューが閉じてしまった。
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このところ依織が、いつも男の姿でしか現れなかったので、瑛貴は依織が女の子の格好をするのだということを、何となく忘れていた。
だから、駅前の雑踏の中で女の子の格好をした依織を見掛けたときは、本当に息が詰まるかと思った。
隣には男の姿。腕を組んで歩いている。
「……」
何とも言えない嫌な気持ちに襲われたが、しかしそんな依織を咎められないことは瑛貴自身、知っていた。
大体、瑛貴と依織は恋人同士でも何でもない。もしかしたらもう友だちではないかもしれないが、少なくとも恋人にはなっていない。瑛貴の恋人は真夕子だ。
それなのに、瑛貴と依織はキスをする。
――――依織が、女の子の格好でどこかの男と関係を持つことは、真夕子という恋人がいるにも拘らず、依織とキスしてしまう瑛貴と同じだ。
こんなことで似ている2人だとは言わないが、けれどやっていることは結局同じ。
だから瑛貴は依織のやっていることに何も言えない。もし何か言ったり言われたりするのだとすれば、瑛貴が真夕子に咎められる以外にない。
暗闇に紛れるように消えて行った依織と男を、瑛貴は何となくボンヤリと眺めていたが、その直後、ハッと駅を振り返った。
電車。
完全に乗り遅れた。
「あぅ…」
今日の瑛貴は付いていない。
終電は逃すわ、タクシーで帰れるほどの持ち合わせはないわで、結局瑛貴は、嫌々ながらも始発までファミレスで過ごすはめになってしまった。
泊めてくれそうな友人や知人をあたるという手もあったのだが、誰かと過ごすよりも1人でいたかったから。
駅近くのファミレスは、混雑していると言うほどでもなかったが、それなりにお客がいて、瑛貴は少し驚いた。
窓際の席まで案内される途中、いるのは、お喋りに夢中になっている派手めの女の子たちやら、勉強をしている学生やら、寄り添ってイチャイチャしているカップル。
中には、瑛貴のように終電を逃した人もいるのだろう。不思議な空間だと思った。
「お決まりになりましたら、お呼びください」
昼間ほどは高くないテンションで、店員がメニューと水を置いて立ち去った。
何だか腹も減っていなかったが、ファミレスに来て、ドリンクバーだけで何時間もいられるほど図太い神経をしていない瑛貴は、適当にメニューを捲る。
しかし、キレイに撮られた料理の写真は、本来ならば食欲をそそるはずなのに、なぜか少しもそんな気にならない。
年齢相応の男子らしく食欲旺盛なほうなのに、少しも食欲が湧かないなんて、やっぱりどうかしてしまったのだろうか。
だが、他に考えることがないと、頭の中は依織のことで占領されそうになるので、瑛貴はわざと1品1品じっくりと詳細まで丁寧に眺める。
それなのに、とうとうデザートのページまで辿り着いてしまい、最後のページを捲ったら、メニューが閉じてしまった。
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