スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (69)
2010.10.12 Tue
こんなことがあって、今日は眠れそうもないや…と瑛貴は密かに思っていたのに、人間の体はよく出来たもので、いや、単に瑛貴の繊細さが微々たるもの過ぎたのか、普通にしっかりばっちり眠ってしまった。
だが、寝て起きたからといって、今の瑛貴を取り巻く状況に何か変化があるわけでもなく、時間ばかりが過ぎていく。
まず、依織は今までどおり、ちょくちょくJADEに来る。
しかも相変わらず客ではないので、閉店時間ごろ店の前にいて、時々泰我と遊びに行き、時々瑛貴と一緒に駅まで向かう。
変わったことと言えば、女の子の格好をしていないことくらいで、元からの友人である泰我はともかく、分かっていても初めて男の姿をした依織を見た七槻は、やはり相当驚いていた。
瑛貴と駅まで行くときは、流行りの音楽のことだとか、ゲームのことだとか、携帯電話の新機種のことだとか、話すのはそんなことばかりで、まるで普通の友だちのようだった。
しかし依織は瑛貴に告白をしたのだし、キスだってしてしまった間柄で、とても友だちだなんて言える関係ではない。
――――その証拠に、だって、今日だって依織とキスをしている。
駅近くの路地裏、喧騒とは切り離された、静かで誰もいない空間。
1度そこまで引っ張られて行ってキスされたのに、瑛貴は何も学習していないのか、その次に依織と駅まで行ったときも、同じようにキスされてしまって。
何度かそんなことをしているうち、JADEから駅まで一緒に行ったとき、その別れ際にキスをするのが普通になってしまっていた。
瑛貴にしたら、何となくのキスだった。
依織の気持ちは知っているし、きっと依織はこのキスに意味を持たせたいのだろうけど、瑛貴はその気持ちには応えられなくて。なのに、何となく流されるまま唇を重ねてしまう。
そのキス自体が嫌だということはなかったが、かといって、依織への気持ちが恋愛感情に変わったかと言えば、そうでもなくて。
(よく依織、こんなヤツ、嫌になんないよなぁ…)
もう何度となく思ったことを、今日も瑛貴は思ってしまう。
かといって、だったらいっそ嫌いになってくれればいいのに、などとも思わず、このままでいてくれたらいいと思う。
…本当、ズルイ男。
「アッキー、何考えてる?」
「…え?」
キスの後、ボンヤリとしている瑛貴が気になったのだろう、依織は小首を傾げていた。
それに瑛貴が「…何か、いろいろ」と緩く首を振れば、それでは納得いかなかったのか、依織は拗ねたように少し唇を突き出し、瑛貴の胸に顎を預けるようにして凭れて来た。
「いろいろ、て? いいこと? 悪いこと? それとも…」
「普通のこと」
「えぇっ? 何それー。そういうときは普通、依織のことだよ、とか言ってくれんなんじゃないの?」
「何それ」
「だってそうでしょ? 一緒にいるんだからぁ」
もーやっぱアッキー鈍感! と依織はむずかるように言いながら、瑛貴から離れた。
けれど、そんなこと言われたって、正直に答えられるわけもなくて、瑛貴はごまかすように依織の頭を撫でた。
「アッキーのバカ」
「…知ってる」
「バーカ」
依織はもう1度、瑛貴の唇を奪った。
back next
だが、寝て起きたからといって、今の瑛貴を取り巻く状況に何か変化があるわけでもなく、時間ばかりが過ぎていく。
まず、依織は今までどおり、ちょくちょくJADEに来る。
しかも相変わらず客ではないので、閉店時間ごろ店の前にいて、時々泰我と遊びに行き、時々瑛貴と一緒に駅まで向かう。
変わったことと言えば、女の子の格好をしていないことくらいで、元からの友人である泰我はともかく、分かっていても初めて男の姿をした依織を見た七槻は、やはり相当驚いていた。
瑛貴と駅まで行くときは、流行りの音楽のことだとか、ゲームのことだとか、携帯電話の新機種のことだとか、話すのはそんなことばかりで、まるで普通の友だちのようだった。
しかし依織は瑛貴に告白をしたのだし、キスだってしてしまった間柄で、とても友だちだなんて言える関係ではない。
――――その証拠に、だって、今日だって依織とキスをしている。
駅近くの路地裏、喧騒とは切り離された、静かで誰もいない空間。
1度そこまで引っ張られて行ってキスされたのに、瑛貴は何も学習していないのか、その次に依織と駅まで行ったときも、同じようにキスされてしまって。
何度かそんなことをしているうち、JADEから駅まで一緒に行ったとき、その別れ際にキスをするのが普通になってしまっていた。
瑛貴にしたら、何となくのキスだった。
依織の気持ちは知っているし、きっと依織はこのキスに意味を持たせたいのだろうけど、瑛貴はその気持ちには応えられなくて。なのに、何となく流されるまま唇を重ねてしまう。
そのキス自体が嫌だということはなかったが、かといって、依織への気持ちが恋愛感情に変わったかと言えば、そうでもなくて。
(よく依織、こんなヤツ、嫌になんないよなぁ…)
もう何度となく思ったことを、今日も瑛貴は思ってしまう。
かといって、だったらいっそ嫌いになってくれればいいのに、などとも思わず、このままでいてくれたらいいと思う。
…本当、ズルイ男。
「アッキー、何考えてる?」
「…え?」
キスの後、ボンヤリとしている瑛貴が気になったのだろう、依織は小首を傾げていた。
それに瑛貴が「…何か、いろいろ」と緩く首を振れば、それでは納得いかなかったのか、依織は拗ねたように少し唇を突き出し、瑛貴の胸に顎を預けるようにして凭れて来た。
「いろいろ、て? いいこと? 悪いこと? それとも…」
「普通のこと」
「えぇっ? 何それー。そういうときは普通、依織のことだよ、とか言ってくれんなんじゃないの?」
「何それ」
「だってそうでしょ? 一緒にいるんだからぁ」
もーやっぱアッキー鈍感! と依織はむずかるように言いながら、瑛貴から離れた。
けれど、そんなこと言われたって、正直に答えられるわけもなくて、瑛貴はごまかすように依織の頭を撫でた。
「アッキーのバカ」
「…知ってる」
「バーカ」
依織はもう1度、瑛貴の唇を奪った。
back next
- 関連記事
-
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (70) (2010/10/13)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (69) (2010/10/12)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (68) (2010/10/11)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季 杏 ⇒
あぁあぁ、如月さんじゃないですが、思わずNext押してしまった_| ̄|○
アッキーもぐるぐるし出しましたね~。
イオリン相変わらず積極的だけど・・・彼女いるの知ってるのになー。
まぁ優柔不断なアッキーが一番悪いか(苦笑)
アッキーは一体どうするのか、続きを楽しみにしております!
アッキーもぐるぐるし出しましたね~。
イオリン相変わらず積極的だけど・・・彼女いるの知ってるのになー。
まぁ優柔不断なアッキーが一番悪いか(苦笑)
アッキーは一体どうするのか、続きを楽しみにしております!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> あぁあぁ、如月さんじゃないですが、思わずNext押してしまった_| ̄|○
ついやっちゃいますよね~。
あれ、何で出ないの!? と思ったら、まだ更新されてなかった、ていう…。
アッキーの優柔不断、ホントどうしようもないですよね。。。
イオリンとは恋人にはなれないけれど、離れ離れにもなりたくない、ていうアッキー。気持ちは分かるけど、いろんな人を振り回してるってことを、この鈍感な子に教えてやりたいですね(笑)
コメントありがとうございました!
ついやっちゃいますよね~。
あれ、何で出ないの!? と思ったら、まだ更新されてなかった、ていう…。
アッキーの優柔不断、ホントどうしようもないですよね。。。
イオリンとは恋人にはなれないけれど、離れ離れにもなりたくない、ていうアッキー。気持ちは分かるけど、いろんな人を振り回してるってことを、この鈍感な子に教えてやりたいですね(笑)
コメントありがとうございました!