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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (67)
2010.10.10 Sun
「…アッキー」
いつまでも何も言わない瑛貴に焦れたのか、依織が顔を上げた。
視線がぶつかる。
依織の顔が近付く。
逃げられない――――それは背後がドアに阻まれているから、だけではなくて。
「――――…………」
重なった唇。
瑛貴の腕は、依織の背中には回らなかったけれど、依織を引き剥がすように動くこともなかった。
「…アッキーが拒否んないなら、またするよ?」
「…ダメ」
「なら突き放せよ」
けれど、そうはしない瑛貴に、依織は「…ズルイ」ともう1度唇を重ねた。
*****
あんなことがあって、それから依織が一体どう出るのか瑛貴は気を揉んでいたのに、1週間くらいしたら、依織は普通に、閉店時間ごろJADEにやって来た。
ただいつもと違うのは、男の格好をしているということ。
驚き過ぎて一瞬言葉を詰まらせた瑛貴に、依織は声を上げて無邪気に笑った。
「いや、俺だって男の格好で遊び行くことだってあるし。つーかさ、アッキーは相変わらず、終電命なんだね」
「いいじゃん、別に」
「いいけどー。何なら、俺んち泊まってく?」
「謹んでお断りします」
瑛貴が丁重にお断りすれば、依織は「アッキーのケチー」と拗ねた表情をした。
「じゃあ、駅まで一緒に行く!」
「勝手にしろよ」
「勝手にするもん」
またJADEに来ていいかと言った依織に、OKの返事をしてしまった手前、ここでダメだとは言えないと、律儀な瑛貴は思ってしまうわけで、結局そんなぶっきら棒な返事をしてしまう。
だが依織は、そんなこと気にするわけでもなく、笑顔で瑛貴の後を付いて来た。
駅までは、たあいもない話ばかりだった。
この間のキスのことは、別にわざと避けるつもりもなかったが、こんなところで歩きながら話す内容でもない気がして、瑛貴からは何も言い出せなかった。
あんなことがあったのに、どうして今、こんなに普通に話をしているのかとも思ったが、それは偏に瑛貴の鈍感さがなせる技で、"普通に話をしている"なんてそんなこと、瑛貴が思っているだけのことなのかもしれない。
依織は本当は、あのときの話の続きがしたいのかもしれないけれど。
「…今日も、アッキーの時計が止まってたらよかったのに」
「止まってねぇよ」
駅に到着すると、依織が残念そうにそう言ったが、瑛貴の時計は、今日は正しく時を刻んでいた。
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いつまでも何も言わない瑛貴に焦れたのか、依織が顔を上げた。
視線がぶつかる。
依織の顔が近付く。
逃げられない――――それは背後がドアに阻まれているから、だけではなくて。
「――――…………」
重なった唇。
瑛貴の腕は、依織の背中には回らなかったけれど、依織を引き剥がすように動くこともなかった。
「…アッキーが拒否んないなら、またするよ?」
「…ダメ」
「なら突き放せよ」
けれど、そうはしない瑛貴に、依織は「…ズルイ」ともう1度唇を重ねた。
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あんなことがあって、それから依織が一体どう出るのか瑛貴は気を揉んでいたのに、1週間くらいしたら、依織は普通に、閉店時間ごろJADEにやって来た。
ただいつもと違うのは、男の格好をしているということ。
驚き過ぎて一瞬言葉を詰まらせた瑛貴に、依織は声を上げて無邪気に笑った。
「いや、俺だって男の格好で遊び行くことだってあるし。つーかさ、アッキーは相変わらず、終電命なんだね」
「いいじゃん、別に」
「いいけどー。何なら、俺んち泊まってく?」
「謹んでお断りします」
瑛貴が丁重にお断りすれば、依織は「アッキーのケチー」と拗ねた表情をした。
「じゃあ、駅まで一緒に行く!」
「勝手にしろよ」
「勝手にするもん」
またJADEに来ていいかと言った依織に、OKの返事をしてしまった手前、ここでダメだとは言えないと、律儀な瑛貴は思ってしまうわけで、結局そんなぶっきら棒な返事をしてしまう。
だが依織は、そんなこと気にするわけでもなく、笑顔で瑛貴の後を付いて来た。
駅までは、たあいもない話ばかりだった。
この間のキスのことは、別にわざと避けるつもりもなかったが、こんなところで歩きながら話す内容でもない気がして、瑛貴からは何も言い出せなかった。
あんなことがあったのに、どうして今、こんなに普通に話をしているのかとも思ったが、それは偏に瑛貴の鈍感さがなせる技で、"普通に話をしている"なんてそんなこと、瑛貴が思っているだけのことなのかもしれない。
依織は本当は、あのときの話の続きがしたいのかもしれないけれど。
「…今日も、アッキーの時計が止まってたらよかったのに」
「止まってねぇよ」
駅に到着すると、依織が残念そうにそう言ったが、瑛貴の時計は、今日は正しく時を刻んでいた。
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