スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (65)
2010.10.08 Fri
「はぁー。昨日あんなことあってさ、今さら何の下心もなしに、お店行ってもいいとか言うと思った? そんなわけないじゃん。でもアッキーは、来たいなら来れば? くらいの気持ちで答えたんでしょ? どうせ」
「……」
「だからアッキーは、鈍感で、残酷て言ったの」
人の気持ち何も知らないで、と依織は苛立たしげに、雑な仕草でストローを噛んでいる。
瑛貴はそんな依織を見ていられず、目を伏せた。
「――――空いたお皿、お下げしてもよろしいでしょうかー?」
瑛貴が返事に戸惑っているところに、突如割り込んで来た声。
ファミレスの店員に、空気を読めと言ったところで、そんなこと通用するわけもないのだ。空いた2つの皿が気になったのだろう、店員のお姉さんが席にやって来て、手を伸ばしている。
瑛貴は何も答えなかったが、依織が「お願いします」と棒読みで言えば、急かすように食器を下げるくせに、「ごゆっくりどうぞー」なんてその場の雰囲気にはまるでそぐわない明るい声を残して、お姉さんは立ち去った。
「…も、帰ろ?」
「え、あ、うん…」
たった今、店員のお姉さんからは、『ごゆっくり』と言われたけれど、依織は伝票を持ってさっさと立ち上がった。
いきなり会話をぶった切られた瑛貴は、結局何も返事を出来ないまま、依織の後に続くしかなかった。
「いい加減、タバコ臭いんだよ、あの席」
レジに向かう途中、依織は瑛貴にしか聞こえないくらいの声で、けれど本当はきっと、あのタイミングで皿を下げに来た店員に言いたかったであろう言葉を吐き捨てる。
会計はご一緒ですか? 別々ですか? と、レジに立つ店員に言われ、瑛貴は「一緒で」と、依織の前に踏み出した。
依織は少し驚いた様子だったが、瑛貴は構わなかった。一晩泊めてもらったお礼に、昼食くらいは奢るつもりだった――――単純と言われようと。
*****
置きっ放しの瑛貴の荷物を取り行くため、ファミレスを出てから来た道を戻る。
「…最初っから荷物、持ってけばよかったね」
ファミレスは、依織の家と駅のちょうど中間……と言うよりは、駅寄りだから、瑛貴が全部の身支度を整えて、荷物もみんな持って出れば、わざわざ依織の家に戻る手間が省けた。
でもあのときは、依織は腹を空かしていて、1秒でも早くファミレスに行きたかったし、瑛貴はただ何となくファミレスに行くことしか思っていなかったので、そんなこと考えていなかったから、仕方がない。
「服どうする? スーツ」
戻って来た依織の部屋は、当たり前だが出て行ったときと同じで、瑛貴の荷物は何もまとめられていない。
ハンガーに掛けられていたスーツを尋ねられ、瑛貴はハタとなる。
そういえば瑛貴が今着ているのは、依織から借りた服だった。
「別にいいよ、その服アッキーに上げる。着て帰りなよ」
「上げるて、そんな。返すよ、ちゃんと」
「そう? まぁ何でもいいけど」
上げる、と言われて困った表情をする瑛貴がおかしくて、依織が思わず吹き出すと、その張本人である瑛貴は、依織の笑い出した理由が分からなくて首を傾げていた。
back next
「……」
「だからアッキーは、鈍感で、残酷て言ったの」
人の気持ち何も知らないで、と依織は苛立たしげに、雑な仕草でストローを噛んでいる。
瑛貴はそんな依織を見ていられず、目を伏せた。
「――――空いたお皿、お下げしてもよろしいでしょうかー?」
瑛貴が返事に戸惑っているところに、突如割り込んで来た声。
ファミレスの店員に、空気を読めと言ったところで、そんなこと通用するわけもないのだ。空いた2つの皿が気になったのだろう、店員のお姉さんが席にやって来て、手を伸ばしている。
瑛貴は何も答えなかったが、依織が「お願いします」と棒読みで言えば、急かすように食器を下げるくせに、「ごゆっくりどうぞー」なんてその場の雰囲気にはまるでそぐわない明るい声を残して、お姉さんは立ち去った。
「…も、帰ろ?」
「え、あ、うん…」
たった今、店員のお姉さんからは、『ごゆっくり』と言われたけれど、依織は伝票を持ってさっさと立ち上がった。
いきなり会話をぶった切られた瑛貴は、結局何も返事を出来ないまま、依織の後に続くしかなかった。
「いい加減、タバコ臭いんだよ、あの席」
レジに向かう途中、依織は瑛貴にしか聞こえないくらいの声で、けれど本当はきっと、あのタイミングで皿を下げに来た店員に言いたかったであろう言葉を吐き捨てる。
会計はご一緒ですか? 別々ですか? と、レジに立つ店員に言われ、瑛貴は「一緒で」と、依織の前に踏み出した。
依織は少し驚いた様子だったが、瑛貴は構わなかった。一晩泊めてもらったお礼に、昼食くらいは奢るつもりだった――――単純と言われようと。
*****
置きっ放しの瑛貴の荷物を取り行くため、ファミレスを出てから来た道を戻る。
「…最初っから荷物、持ってけばよかったね」
ファミレスは、依織の家と駅のちょうど中間……と言うよりは、駅寄りだから、瑛貴が全部の身支度を整えて、荷物もみんな持って出れば、わざわざ依織の家に戻る手間が省けた。
でもあのときは、依織は腹を空かしていて、1秒でも早くファミレスに行きたかったし、瑛貴はただ何となくファミレスに行くことしか思っていなかったので、そんなこと考えていなかったから、仕方がない。
「服どうする? スーツ」
戻って来た依織の部屋は、当たり前だが出て行ったときと同じで、瑛貴の荷物は何もまとめられていない。
ハンガーに掛けられていたスーツを尋ねられ、瑛貴はハタとなる。
そういえば瑛貴が今着ているのは、依織から借りた服だった。
「別にいいよ、その服アッキーに上げる。着て帰りなよ」
「上げるて、そんな。返すよ、ちゃんと」
「そう? まぁ何でもいいけど」
上げる、と言われて困った表情をする瑛貴がおかしくて、依織が思わず吹き出すと、その張本人である瑛貴は、依織の笑い出した理由が分からなくて首を傾げていた。
back next
- 関連記事
-
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (66) (2010/10/09)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (65) (2010/10/08)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (64) (2010/10/07)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学