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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (64)
2010.10.07 Thu
「はい」
戻って来た依織が瑛貴に渡したグラスには、またたっぷりの氷とコーラが入っていたけれど、依織のグラスにはオレンジジュースが入っていた。
「アッキー、今日も仕事?」
「うん」
2杯目のコーラを啜りながら目線を上げると、巻いたパスタを口に運ぼうとしている依織と目が合った。
話はまだ続くと思ったのだが、依織は「へぇ」と返しただけで、口に入れたパスタをモグモグさせながら、皿へと視線を落としてしまった。
ふと見た自分の皿はもう空で、そういえばゆっくり食べようと思ってたのに、と瑛貴は今さらなことを思った。
「また行ってもいい?」
「え?」
「ダメ?」
「どこに?」
まさに依織の言葉は、瑛貴が聞き返したとおり、『どこに』が抜けていたけれど、直前の話から、その『どこ』が『JADE』を指すと察してくれると思い込んでいた依織は、分かっていない様子の瑛貴に、思わず笑ってしまった。
「…え、どこに?」
「JADE。ダメ?」
「いや、いいけど。――――え、何?」
OKの返事をしたはずなのに、依織は何も反応せず、瑛貴の顔を見ていた。
その表情は、怒っているようにも、困っているようにも見える。
「何だよ」
「…アッキーて、ホント鈍感だよね。そんで残酷」
「は? 何が? 何で?」
いくら瑛貴が鈍くても、今の依織の言葉が結構辛辣なものであることくらい分かる。
眉を寄せる瑛貴を気にもせず、依織はパスタの最後の一口を口に入れて咀嚼している。
「依織、」
「…アッキー、昨日のこと、夢か何かだと思ってんの?」
「え…。え?」
ビシリと言われて、瑛貴は言葉に詰まった。
瑛貴のほうが、依織を問い詰めようと思っていたのに、ほんの一言二言で、あっという間に形勢が逆転してしまって。
依織の言う『昨日のこと』が、寝る前のキスのことを指しているのは分かるが、その話は、このファミレスに来る前、依織によって打ち切られたはずだ。
いや、またこの話をするというなら、それはそれでいい。
いいけれど、どうして急に『鈍感で残酷』になるのか。瑛貴は、またJADEに来たいという依織の言葉にOKしたはずだけれど。
「だーかーら、アッキーは鈍感だっての。言われない?」
「…言われますけど」
みんなからも言われるし、自分でも分かっているから、そんなに苛立たしげに言わなくても。
分かっていても、ちょっと切ない。
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戻って来た依織が瑛貴に渡したグラスには、またたっぷりの氷とコーラが入っていたけれど、依織のグラスにはオレンジジュースが入っていた。
「アッキー、今日も仕事?」
「うん」
2杯目のコーラを啜りながら目線を上げると、巻いたパスタを口に運ぼうとしている依織と目が合った。
話はまだ続くと思ったのだが、依織は「へぇ」と返しただけで、口に入れたパスタをモグモグさせながら、皿へと視線を落としてしまった。
ふと見た自分の皿はもう空で、そういえばゆっくり食べようと思ってたのに、と瑛貴は今さらなことを思った。
「また行ってもいい?」
「え?」
「ダメ?」
「どこに?」
まさに依織の言葉は、瑛貴が聞き返したとおり、『どこに』が抜けていたけれど、直前の話から、その『どこ』が『JADE』を指すと察してくれると思い込んでいた依織は、分かっていない様子の瑛貴に、思わず笑ってしまった。
「…え、どこに?」
「JADE。ダメ?」
「いや、いいけど。――――え、何?」
OKの返事をしたはずなのに、依織は何も反応せず、瑛貴の顔を見ていた。
その表情は、怒っているようにも、困っているようにも見える。
「何だよ」
「…アッキーて、ホント鈍感だよね。そんで残酷」
「は? 何が? 何で?」
いくら瑛貴が鈍くても、今の依織の言葉が結構辛辣なものであることくらい分かる。
眉を寄せる瑛貴を気にもせず、依織はパスタの最後の一口を口に入れて咀嚼している。
「依織、」
「…アッキー、昨日のこと、夢か何かだと思ってんの?」
「え…。え?」
ビシリと言われて、瑛貴は言葉に詰まった。
瑛貴のほうが、依織を問い詰めようと思っていたのに、ほんの一言二言で、あっという間に形勢が逆転してしまって。
依織の言う『昨日のこと』が、寝る前のキスのことを指しているのは分かるが、その話は、このファミレスに来る前、依織によって打ち切られたはずだ。
いや、またこの話をするというなら、それはそれでいい。
いいけれど、どうして急に『鈍感で残酷』になるのか。瑛貴は、またJADEに来たいという依織の言葉にOKしたはずだけれど。
「だーかーら、アッキーは鈍感だっての。言われない?」
「…言われますけど」
みんなからも言われるし、自分でも分かっているから、そんなに苛立たしげに言わなくても。
分かっていても、ちょっと切ない。
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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如月久美子 ⇒ >拍手コメ→Aさん
私も何だかもじもじ…(*μ_μ)σ
でも、Aさんの静かな雰囲気のお話に、いつも変なテンションでコメントしているような気がして……このくらいのもじもじ感が、私には必要かもしれません(笑)
しかも夢の中にまでお邪魔するとか…!
(*ノェノ)キャッ、て感じですよ。
お邪魔しました(笑)
また遊びに行きます! (ブログのほうに)
コメントありがとうございました!
でも、Aさんの静かな雰囲気のお話に、いつも変なテンションでコメントしているような気がして……このくらいのもじもじ感が、私には必要かもしれません(笑)
しかも夢の中にまでお邪魔するとか…!
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コメントありがとうございました!