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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (61)
2010.10.04 Mon
「もうさ、さすがにモーニングメニュー終わってるよね」
ようやく瑛貴の支度が整って、2人してアパートを出ると、すでに太陽が高く昇っていた。
「今何時?」
「えっと……あ、時計止まってんだった」
思わず目をやった腕時計の針は、夜と同じ位置から1ミリも動いていない。
いつもの癖で着けて来たが、動いてもいないその時計は、Tシャツとジーンズというカジュアルなスタイルには、少し不釣り合いに思えた。
「今だったらランチでしょ、よく分かんないけど」
「俺もよく分かんない。ファミレスあんま行かないから。……え、何?」
特に変わったことを口走ったつもりはないが、なぜか隣の依織が憐れむような目で瑛貴を見ていた。
「まぁ…1人で行くの、寂しいもんね」
「おい依織、何で俺が1人で行くこと前提なんだよ」
「違うの?」
「違うよ!」
いつも食事を1人でしているというイメージが、依織の中に勝手に定着しているようで、瑛貴は慌ててそれを否定した。
1人で食事をすることは確かに多いが、いくら瑛貴でも、そこまで寂しい子ではない。
やって来たファミレスは、平日の昼なのに、『ファミリーレストラン』の名にふさわしく親子連れで賑わっている。
2人が店内に入ると、とっても一般的な制服に身を包んだ店員が、禁煙席にするか喫煙席にするかを尋ねて来た。
「アッキー、禁煙席がいい?」
「俺はどっちでもいいよ」
「なら喫煙で」
瑛貴はタバコを吸わないが、仕事柄タバコの煙には慣れているので、別にどちらでも構わなかったが、依織が喫煙席を希望したのは少し意外だった。
会ってから今までに、依織がタバコを吸っているところは見たことがない。
人前で吸わないようにしているのかもしれないが、依織の家にも、タバコを吸うような形跡は見当たらなかったから。
「依織ってタバコ吸うんだ。知らなかった」
「吸わないよ」
「は?」
案内された席でメニューを眺めながら何となくそう言えば、依織からあっさりとそんな答えが返って来た。
「俺、タバコ吸わない」
「じゃあ何で喫煙席がいいとか言ったんだよ」
「アッキー、どっちでもいいて言ったじゃん」
「言ったけど、」
わざわざ喫煙席を希望するということは、タバコを吸うということではないのだろうか。
いくら瑛貴が鈍くても、そのくらいのことは理解できる。
「だって禁煙席、子どもばっかなんだもん。俺、ちっちゃい子、ちょっと苦手」
メニューをじっくりと見ながらそう話す依織の口は、拗ねたように少し尖っていて、それを見た瑛貴は思わず吹き出してしまった。
もちろんそれはすぐに依織に気付かれて、ますますご機嫌を損ねてしまう。
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ようやく瑛貴の支度が整って、2人してアパートを出ると、すでに太陽が高く昇っていた。
「今何時?」
「えっと……あ、時計止まってんだった」
思わず目をやった腕時計の針は、夜と同じ位置から1ミリも動いていない。
いつもの癖で着けて来たが、動いてもいないその時計は、Tシャツとジーンズというカジュアルなスタイルには、少し不釣り合いに思えた。
「今だったらランチでしょ、よく分かんないけど」
「俺もよく分かんない。ファミレスあんま行かないから。……え、何?」
特に変わったことを口走ったつもりはないが、なぜか隣の依織が憐れむような目で瑛貴を見ていた。
「まぁ…1人で行くの、寂しいもんね」
「おい依織、何で俺が1人で行くこと前提なんだよ」
「違うの?」
「違うよ!」
いつも食事を1人でしているというイメージが、依織の中に勝手に定着しているようで、瑛貴は慌ててそれを否定した。
1人で食事をすることは確かに多いが、いくら瑛貴でも、そこまで寂しい子ではない。
やって来たファミレスは、平日の昼なのに、『ファミリーレストラン』の名にふさわしく親子連れで賑わっている。
2人が店内に入ると、とっても一般的な制服に身を包んだ店員が、禁煙席にするか喫煙席にするかを尋ねて来た。
「アッキー、禁煙席がいい?」
「俺はどっちでもいいよ」
「なら喫煙で」
瑛貴はタバコを吸わないが、仕事柄タバコの煙には慣れているので、別にどちらでも構わなかったが、依織が喫煙席を希望したのは少し意外だった。
会ってから今までに、依織がタバコを吸っているところは見たことがない。
人前で吸わないようにしているのかもしれないが、依織の家にも、タバコを吸うような形跡は見当たらなかったから。
「依織ってタバコ吸うんだ。知らなかった」
「吸わないよ」
「は?」
案内された席でメニューを眺めながら何となくそう言えば、依織からあっさりとそんな答えが返って来た。
「俺、タバコ吸わない」
「じゃあ何で喫煙席がいいとか言ったんだよ」
「アッキー、どっちでもいいて言ったじゃん」
「言ったけど、」
わざわざ喫煙席を希望するということは、タバコを吸うということではないのだろうか。
いくら瑛貴が鈍くても、そのくらいのことは理解できる。
「だって禁煙席、子どもばっかなんだもん。俺、ちっちゃい子、ちょっと苦手」
メニューをじっくりと見ながらそう話す依織の口は、拗ねたように少し尖っていて、それを見た瑛貴は思わず吹き出してしまった。
もちろんそれはすぐに依織に気付かれて、ますますご機嫌を損ねてしまう。
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