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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (60)
2010.10.03 Sun
「俺のでよければ貸すけど」
男モンもあるから、と続けた依織の言葉に、瑛貴は「…お願いします」と頭を下げた。
依織は瑛貴に服を出してやると、淡々と出掛けるための準備を整えていく。
瑛貴は少しも寝起きが悪くなくて、二度寝の経験も、22年の人生において片手で数えられるほどしかないのに、起きてからのテンポが悪いせいで、身支度が整うのがギリギリになってしまう。いつも。
今だって、依織から渡された服にさっさと着替えて、顔でも洗ってしまえばいいのに、ただ何となくぼんやりと、完成されていく依織を見ていた。
「アッキー何してんの? 着替えないの?」
「…着替える」
依織に怪訝そうに尋ねられ、瑛貴はようやく、パジャマ代わりに着ていたジャージを脱ぎ始めた。
「ねぇアッキー、ちょっと向こう行って着替えて。ふとん片付けるから」
「あ、ゴメン」
瑛貴はのろのろとふとんの上から退くと、渡されたTシャツとジーンズに着替えた。
「あっ…」
「え、何?」
思わず上がってしまった瑛貴の声に気付いて、ふとんを押し入れにしまっていた依織が振り返った。
ちょうどジーンズを穿き終えた瑛貴は、チラリと依織のほうを見たが、「何でもない」とだけ答えた。
(…ウエスト、ちょっと苦しい…)
丈もちょうどいいし、見た目の感じからして、瑛貴と依織の体格はそう変わらないはずなのに、悔しいけれど、何だかちょっとウエストが苦しい気がする。
でも穿けないほどでもない、と瑛貴はサイズのことを口に出すのはやめて、代わりに、『明日からちょっとだけダイエットしよう』なんて、どこかのOLさんみたいなことを思った。
「アッキー、支度できたぁ?」
「んー」
「出来たの? ――――て、いつまで歯磨きしてんのっ!? これからご飯食べに行くのにっ」
「んーあっれ。あろもーひょっと」
「何言ってんのか分かんないっ」
歯ブラシを銜えたままで話す瑛貴の言葉は、はっきり言ってこれっぽっちも聞き取れなくて、依織は苛付いた声を出した。腹が減っているのだ。
朝(…という時間ではないが)起きて、食事の前に歯を磨くのは、瑛貴の昔からの癖だ。もちろん食後にも磨く。
「もーアッキー! 先行くよ!?」
「ちょっ待ってよ、俺ファミレスの場所知らない!」
依織の声に、口の中に溜まった歯磨き粉を吐き出して、瑛貴は慌てて口をゆすいだ。
借りたタオルで口元を拭きながら洗面所から出ると、依織は玄関先で靴を履いて、腕組みをしながら立っていた。1秒でも待ち切れないといった様子。
今日の依織は、男の格好をしていて、寝癖が直り切らなかったのか、帽子を被っていた。
寝るときと同じく、男物の服を瑛貴に貸してくれた依織のクロゼットの中は、瑛貴が見た限りでは(覗くつもりはなかったが、ボーっと視線を向けているうち、視界に入った)、男物も女物も半々くらいに入っているようだった。
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男モンもあるから、と続けた依織の言葉に、瑛貴は「…お願いします」と頭を下げた。
依織は瑛貴に服を出してやると、淡々と出掛けるための準備を整えていく。
瑛貴は少しも寝起きが悪くなくて、二度寝の経験も、22年の人生において片手で数えられるほどしかないのに、起きてからのテンポが悪いせいで、身支度が整うのがギリギリになってしまう。いつも。
今だって、依織から渡された服にさっさと着替えて、顔でも洗ってしまえばいいのに、ただ何となくぼんやりと、完成されていく依織を見ていた。
「アッキー何してんの? 着替えないの?」
「…着替える」
依織に怪訝そうに尋ねられ、瑛貴はようやく、パジャマ代わりに着ていたジャージを脱ぎ始めた。
「ねぇアッキー、ちょっと向こう行って着替えて。ふとん片付けるから」
「あ、ゴメン」
瑛貴はのろのろとふとんの上から退くと、渡されたTシャツとジーンズに着替えた。
「あっ…」
「え、何?」
思わず上がってしまった瑛貴の声に気付いて、ふとんを押し入れにしまっていた依織が振り返った。
ちょうどジーンズを穿き終えた瑛貴は、チラリと依織のほうを見たが、「何でもない」とだけ答えた。
(…ウエスト、ちょっと苦しい…)
丈もちょうどいいし、見た目の感じからして、瑛貴と依織の体格はそう変わらないはずなのに、悔しいけれど、何だかちょっとウエストが苦しい気がする。
でも穿けないほどでもない、と瑛貴はサイズのことを口に出すのはやめて、代わりに、『明日からちょっとだけダイエットしよう』なんて、どこかのOLさんみたいなことを思った。
「アッキー、支度できたぁ?」
「んー」
「出来たの? ――――て、いつまで歯磨きしてんのっ!? これからご飯食べに行くのにっ」
「んーあっれ。あろもーひょっと」
「何言ってんのか分かんないっ」
歯ブラシを銜えたままで話す瑛貴の言葉は、はっきり言ってこれっぽっちも聞き取れなくて、依織は苛付いた声を出した。腹が減っているのだ。
朝(…という時間ではないが)起きて、食事の前に歯を磨くのは、瑛貴の昔からの癖だ。もちろん食後にも磨く。
「もーアッキー! 先行くよ!?」
「ちょっ待ってよ、俺ファミレスの場所知らない!」
依織の声に、口の中に溜まった歯磨き粉を吐き出して、瑛貴は慌てて口をゆすいだ。
借りたタオルで口元を拭きながら洗面所から出ると、依織は玄関先で靴を履いて、腕組みをしながら立っていた。1秒でも待ち切れないといった様子。
今日の依織は、男の格好をしていて、寝癖が直り切らなかったのか、帽子を被っていた。
寝るときと同じく、男物の服を瑛貴に貸してくれた依織のクロゼットの中は、瑛貴が見た限りでは(覗くつもりはなかったが、ボーっと視線を向けているうち、視界に入った)、男物も女物も半々くらいに入っているようだった。
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音夜 ⇒
二人、ちょっと発展しつつありますね
自分でも気づかないけれど、やっぱアッキーくんは依織くんを…
それとも、そんな空気にあったとか?1つの布団の中だからw
アッキーくんは彼女いるし、どうなるんだろ。依織くんは何気にプッシュしてるみただけど。
アッキーくんの寝起きのぼんやりは、自分とかぶってて笑ってしまった
自分でも気づかないけれど、やっぱアッキーくんは依織くんを…
それとも、そんな空気にあったとか?1つの布団の中だからw
アッキーくんは彼女いるし、どうなるんだろ。依織くんは何気にプッシュしてるみただけど。
アッキーくんの寝起きのぼんやりは、自分とかぶってて笑ってしまった
- |2010.10.03
- |Sun
- |13:09
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >音夜さん
同じふとんで寝て、チューまでしてるのに、アッキーてばこの調子ですからね…。
イオリンのこれだけのプッシュ、ちゃんと分かってるんでしょうか(苦笑)
アッキーの彼女さん、相当母性本能強くないとダメでしょうね(笑)
音夜さんの寝起きもこんなですか?
私も起きれるんですけど、休みだと思うと、ついついベッドの上でそのまま過ごしてしまうタイプです…。
コメントありがとうございました!
イオリンのこれだけのプッシュ、ちゃんと分かってるんでしょうか(苦笑)
アッキーの彼女さん、相当母性本能強くないとダメでしょうね(笑)
音夜さんの寝起きもこんなですか?
私も起きれるんですけど、休みだと思うと、ついついベッドの上でそのまま過ごしてしまうタイプです…。
コメントありがとうございました!