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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (44)
2010.09.17 Fri
窓の外は、華やかなネオン街から、静かな住宅地へと移り変わっていく。
明るい車内と、暗い屋外。
窓ガラスに映る顔は、心なしか疲れているようにも見えた。
それから何度かメールをやり取りした後、真夕子が明日、朝から会議だということを知ったのは、瑛貴が電車を降り、駅を出て少ししてからだった。
真夕子の勤務する会社の始業時間は8時半で、それに間に合うように出勤するのに朝が早いことは、彼女の家に泊まったことがあるので、瑛貴も知っていた。
(もう寝ないと……朝、大変なのかな…)
ふと、携帯電話のディスプレイの隅に表示されている、デジタル時計に目をやる。
瑛貴にしたら、いつもと同じ帰り道で、まだ全然寝る時間でもないし、起きるのだって昼近くだから、何も気にしていなかったけれど。
開いていた携帯電話のディスプレイが、省電力モードになって暗くなると、急に辺り全体が暗くなったような気がした。
「…………ぁ……」
そこで瑛貴は、ようやく気が付いた。
駅からの帰り道は、今日はオールで遊ぶと言っていた泰我と別れてから、まだ30分ほどしか経っていないのに、あの煌びやかで賑やかな街と違って、暗くて静かで。
家の明かりも疎らにしか点いていなくて、きっともう就寝しているのだろう。
そんな時間なのだ、今は。
瑛貴にとっては普通の時間でも、朝の早い真夕子にしたら、もう寝る時間だったのかもしれない。
こんな時間にメールを送って来た瑛貴に、真夕子は驚きはしたものの、怒りも咎めもしなかったけれど、瑛貴だったら、きっと相当不機嫌だ。
だって、世間一般には当たり前にメールをやり取りする午前中でも、瑛貴にしたら寝ている時間なので、そういうときにメールが来ると、結構身勝手にイライラしているから。
真夕子からメールが来るのはいつも昼か夕方で、瑛貴はそれを、昼休みとか終業後とか、真夕子が自由にメールを打てる時間だからだと思っていたのだが、よく考えたらそれは、瑛貴が起きたころか、仕事に行く前の時間なのだ。
もしかして真夕子は、瑛貴の生活パターンを気遣っていたのではないだろうか。
こんな簡単なことに気付けずにいた瑛貴は、真夕子の事情なんて何も考えずに、メールを送ってしまっていた。
(謝んなきゃ…)
瑛貴は慌てて真夕子に謝罪のメールを送る。
本当は、こんなメールも受信せずに、寝てしまいたいのかもしれないけれど。
焦る瑛貴とは裏腹に、すぐに返事は返って来て、会議の資料作りで起きていたから平気、気にしないで、と言われてしまった。
(真夕ちゃん、こんな時間まで仕事してんだ…)
こんな時間まで仕事をしているのは瑛貴も同じだけれど、真夕子の場合、瑛貴が就寝して間もなく起床して、また仕事へと向かうのだ。
きっと真夕子だって、遅い時間まで遊ぶことはあるだろうけど、瑛貴のように、寝るのが明け方という生活は、真夕子にとっては、当たり前のことではない。
たった今、こうして繋がっているのに、何だか全然違う生活をしている2人に気が付いて、瑛貴は少し寂しくなる。
おやすみメールを交わして、メールは終了。
ちょうどマンションのエントランスを潜ったところだったので、そのタイミングのよさに、何だか分からない笑いが込み上げた。
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明るい車内と、暗い屋外。
窓ガラスに映る顔は、心なしか疲れているようにも見えた。
それから何度かメールをやり取りした後、真夕子が明日、朝から会議だということを知ったのは、瑛貴が電車を降り、駅を出て少ししてからだった。
真夕子の勤務する会社の始業時間は8時半で、それに間に合うように出勤するのに朝が早いことは、彼女の家に泊まったことがあるので、瑛貴も知っていた。
(もう寝ないと……朝、大変なのかな…)
ふと、携帯電話のディスプレイの隅に表示されている、デジタル時計に目をやる。
瑛貴にしたら、いつもと同じ帰り道で、まだ全然寝る時間でもないし、起きるのだって昼近くだから、何も気にしていなかったけれど。
開いていた携帯電話のディスプレイが、省電力モードになって暗くなると、急に辺り全体が暗くなったような気がした。
「…………ぁ……」
そこで瑛貴は、ようやく気が付いた。
駅からの帰り道は、今日はオールで遊ぶと言っていた泰我と別れてから、まだ30分ほどしか経っていないのに、あの煌びやかで賑やかな街と違って、暗くて静かで。
家の明かりも疎らにしか点いていなくて、きっともう就寝しているのだろう。
そんな時間なのだ、今は。
瑛貴にとっては普通の時間でも、朝の早い真夕子にしたら、もう寝る時間だったのかもしれない。
こんな時間にメールを送って来た瑛貴に、真夕子は驚きはしたものの、怒りも咎めもしなかったけれど、瑛貴だったら、きっと相当不機嫌だ。
だって、世間一般には当たり前にメールをやり取りする午前中でも、瑛貴にしたら寝ている時間なので、そういうときにメールが来ると、結構身勝手にイライラしているから。
真夕子からメールが来るのはいつも昼か夕方で、瑛貴はそれを、昼休みとか終業後とか、真夕子が自由にメールを打てる時間だからだと思っていたのだが、よく考えたらそれは、瑛貴が起きたころか、仕事に行く前の時間なのだ。
もしかして真夕子は、瑛貴の生活パターンを気遣っていたのではないだろうか。
こんな簡単なことに気付けずにいた瑛貴は、真夕子の事情なんて何も考えずに、メールを送ってしまっていた。
(謝んなきゃ…)
瑛貴は慌てて真夕子に謝罪のメールを送る。
本当は、こんなメールも受信せずに、寝てしまいたいのかもしれないけれど。
焦る瑛貴とは裏腹に、すぐに返事は返って来て、会議の資料作りで起きていたから平気、気にしないで、と言われてしまった。
(真夕ちゃん、こんな時間まで仕事してんだ…)
こんな時間まで仕事をしているのは瑛貴も同じだけれど、真夕子の場合、瑛貴が就寝して間もなく起床して、また仕事へと向かうのだ。
きっと真夕子だって、遅い時間まで遊ぶことはあるだろうけど、瑛貴のように、寝るのが明け方という生活は、真夕子にとっては、当たり前のことではない。
たった今、こうして繋がっているのに、何だか全然違う生活をしている2人に気が付いて、瑛貴は少し寂しくなる。
おやすみメールを交わして、メールは終了。
ちょうどマンションのエントランスを潜ったところだったので、そのタイミングのよさに、何だか分からない笑いが込み上げた。
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