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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (37)
2010.09.09 Thu
「依織、暴れんなって」
「んふふふ」
瑛貴に膝を叩かれて、依織はようやく大人しくなった。
しかし瑛貴の彼女への興味は尽きないのか、瑛貴に体を預けたまま、依織が顔を覗き込んで来た。
「どんな人? アッキーの彼女」
「…何でそんなこと聞きたいの?」
「えー何かアッキーの彼女のこと、何も知らないなぁ、て思って」
「え、知りたいの? 何で?」
なぜ会ったこともない、今まで話したこともない彼女に興味を持つのだろうかと瑛貴が不審に思えば、依織はそれよりももっと瑛貴を驚かせる発言を平気で続けた。
「興味あるから」
「え、俺の彼女に?」
「んーん。アッキーに」
「は? え、何だよ、それ。俺に興味って何? つーか、だとしたら何で彼女のことから攻めてくんだよ」
何だかもう全然意味が分からない。
けれど依織は何がおもしろいのか、まだ笑っている。
「じゃあねぇ、アッキーは何でホストクラブで働こうと思ったの?」
「別に理由なんか…。他に働くとこなかったし」
強いて言うなら、息子をニートにさせまいという、両親の熱意だろうか。
最初は乗り気でなかった瑛貴も、今となってはそれなりに楽しんでやっているし、天職かどうかはともかく、水稼業もまったく向いていないというわけではないようだ。
「アッキーて、お父さんとお母さんにすごい大事にされてんだね」
「そうかな?」
「だって子どもの就職先、そんなに一生懸命探してくれなくない?」
「息子がニートになるとカッコ悪いからだろ?」
確かに、高校を卒業しようかという子どもの就職先を、親が率先して探すというのは、ちょっと過保護かもしれないけれど、瑛貴が思うにそれは、単に世間体が気になるからに違いない。
現に、一流大学を出て、いいところの企業に就職した姉は、今でも家にいるけれど、なかなか思うようなエリートコースに進めなかった瑛貴は、就職が決まったと同時に一人暮らしを勝手に決められたのだ。
仕事をしないよりは…とは思っているようだが、やはり夜の仕事に対しての偏見はあるようで、同じ家にいて、近所で噂になったら困ると思ったのだろう。
叔父の経営している店なら、それなりに目が行き届いて、瑛貴もとんでもない事件を起こすようなマネはしないと考えたに違いない。
「依織の家族は?」
「いるけど、もうよく分かんない。連絡つかないし」
「ふぅん」
帰省しても特に歓迎もされない代わりに、縁を切られるようなこともない、淡々とした親子関係を続けている瑛貴だが、依織の言葉に特別驚きはしなかった。
今どきあまり珍しいことでもないし。
「アッキーは、ホストにはなんないの? あのキャバ嬢の子、アッキーのこと指名したい~て言ってたじゃん」
「そんなの冗談に決まってんじゃん。俺なんか指名してどうすんの?」
「…アッキーて、モテんの、全然自覚ないタイプ?」
恐らく有華も、それ以外に瑛貴を指名したいと言ったお客も、冗談やお世辞でなく本当にそう思っていただろうに、当の瑛貴がこの調子なのだ。
ここまで駆け引き下手だと、やはりホストではなく、内勤のほうが向いているかもしれない。
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「んふふふ」
瑛貴に膝を叩かれて、依織はようやく大人しくなった。
しかし瑛貴の彼女への興味は尽きないのか、瑛貴に体を預けたまま、依織が顔を覗き込んで来た。
「どんな人? アッキーの彼女」
「…何でそんなこと聞きたいの?」
「えー何かアッキーの彼女のこと、何も知らないなぁ、て思って」
「え、知りたいの? 何で?」
なぜ会ったこともない、今まで話したこともない彼女に興味を持つのだろうかと瑛貴が不審に思えば、依織はそれよりももっと瑛貴を驚かせる発言を平気で続けた。
「興味あるから」
「え、俺の彼女に?」
「んーん。アッキーに」
「は? え、何だよ、それ。俺に興味って何? つーか、だとしたら何で彼女のことから攻めてくんだよ」
何だかもう全然意味が分からない。
けれど依織は何がおもしろいのか、まだ笑っている。
「じゃあねぇ、アッキーは何でホストクラブで働こうと思ったの?」
「別に理由なんか…。他に働くとこなかったし」
強いて言うなら、息子をニートにさせまいという、両親の熱意だろうか。
最初は乗り気でなかった瑛貴も、今となってはそれなりに楽しんでやっているし、天職かどうかはともかく、水稼業もまったく向いていないというわけではないようだ。
「アッキーて、お父さんとお母さんにすごい大事にされてんだね」
「そうかな?」
「だって子どもの就職先、そんなに一生懸命探してくれなくない?」
「息子がニートになるとカッコ悪いからだろ?」
確かに、高校を卒業しようかという子どもの就職先を、親が率先して探すというのは、ちょっと過保護かもしれないけれど、瑛貴が思うにそれは、単に世間体が気になるからに違いない。
現に、一流大学を出て、いいところの企業に就職した姉は、今でも家にいるけれど、なかなか思うようなエリートコースに進めなかった瑛貴は、就職が決まったと同時に一人暮らしを勝手に決められたのだ。
仕事をしないよりは…とは思っているようだが、やはり夜の仕事に対しての偏見はあるようで、同じ家にいて、近所で噂になったら困ると思ったのだろう。
叔父の経営している店なら、それなりに目が行き届いて、瑛貴もとんでもない事件を起こすようなマネはしないと考えたに違いない。
「依織の家族は?」
「いるけど、もうよく分かんない。連絡つかないし」
「ふぅん」
帰省しても特に歓迎もされない代わりに、縁を切られるようなこともない、淡々とした親子関係を続けている瑛貴だが、依織の言葉に特別驚きはしなかった。
今どきあまり珍しいことでもないし。
「アッキーは、ホストにはなんないの? あのキャバ嬢の子、アッキーのこと指名したい~て言ってたじゃん」
「そんなの冗談に決まってんじゃん。俺なんか指名してどうすんの?」
「…アッキーて、モテんの、全然自覚ないタイプ?」
恐らく有華も、それ以外に瑛貴を指名したいと言ったお客も、冗談やお世辞でなく本当にそう思っていただろうに、当の瑛貴がこの調子なのだ。
ここまで駆け引き下手だと、やはりホストではなく、内勤のほうが向いているかもしれない。
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