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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (32)
2010.09.04 Sat
「ゴメンね、アッキー」
「え、何で謝んの?」
「いや何か急に黙ったから。呆れちゃったのかな、て」
「そうじゃないけど…、呆れてはいないけど、ちょっとビックリした」
まだ依織のことなんて、本当に全然何にも知れないけれど、依織はそんなことをする子ではないと、瑛貴は勝手に思い込んでいたから。
最後まで事に及ばないにしても、まさかそんなことをしていたなんて思ってもみなかったから、言葉が続かなくて、瑛貴は頬からタオルを外そうとする依織に、「まだダメだよ」なんて言ってみる。
「だって、ほっぺた冷たい」
「腫れたら依織だって嫌だろ?」
「ヤダ」
顔を顰めつつも、依織は保冷剤を包んだタオルを、もう1度頬に当てた。
「あのさ依織、あの…その引っ叩かれたの、警察に行きたくないって、やっぱその…」
「んー…まぁ、やってることがやってることだからね。それに面倒くさいじゃん。ホントは男で、とかいちいち言うのも」
「面倒くさいとか! 未遂だけど、今日のだって犯罪じゃん。お前、ケガしてんだから」
「そうだけど。でもこういうので被害訴えても、大体被害者のほうが、いい思いしないし…」
男が男に乱暴され掛けた、ということを抜きにしても、性犯罪の場合、何かにつけて被害者がツライ思いをすることが多いのは確かだ。
依織も面倒くさいなどと言ってはいるが、そのことはよく分かっているのだろう。
「そこまで分かってんなら、そんな危ないこと、やらなきゃいいじゃん」
「何かあっても、すぐ逃げられるような場所選んでるから平気」
「…」
そういう問題ではないと思うが、依織は「気を付けるから大丈夫」なんて言って、やめる気配はない。
依織が何をしているのか知って、その事実は瑛貴に大変なショックを与えたし、恐らくモラル的にはいけないことだと思うけれど、何をどう咎めたらいいのか、瑛貴には分からなくて。
「別に依織がしてることに何か言うつもりはないけど……でもあんまむちゃくちゃすんなよ、危ねぇじゃん」
「…………うん、気を付ける!」
子どもを諭すみたいな言い方をすれば、依織は一瞬ポカンとした後、笑顔で頷いた。
「てか! 依織お前、前に、この辺のことあんま詳しくないとか言ったの、嘘だろ?」
「え、何で?」
「だって、この辺あんま詳しくないのに、何ですぐ逃げられるような場所とか選べんだよ」
「あ…」
瑛貴にしては鋭い指摘に、依織はヤバイ! という顔で視線を逸らした。
確かに瑛貴の言うとおり、依織がこの辺りのことに詳しくないと言ったのは嘘で、瑛貴に初めて会った日より少し前から、依織は、この辺りをうろついていた。
というのも、それより前にいた場所が長くなって、何となく顔が割れ始めたので、いろいろとやりづらくなってしまったのだ。
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「え、何で謝んの?」
「いや何か急に黙ったから。呆れちゃったのかな、て」
「そうじゃないけど…、呆れてはいないけど、ちょっとビックリした」
まだ依織のことなんて、本当に全然何にも知れないけれど、依織はそんなことをする子ではないと、瑛貴は勝手に思い込んでいたから。
最後まで事に及ばないにしても、まさかそんなことをしていたなんて思ってもみなかったから、言葉が続かなくて、瑛貴は頬からタオルを外そうとする依織に、「まだダメだよ」なんて言ってみる。
「だって、ほっぺた冷たい」
「腫れたら依織だって嫌だろ?」
「ヤダ」
顔を顰めつつも、依織は保冷剤を包んだタオルを、もう1度頬に当てた。
「あのさ依織、あの…その引っ叩かれたの、警察に行きたくないって、やっぱその…」
「んー…まぁ、やってることがやってることだからね。それに面倒くさいじゃん。ホントは男で、とかいちいち言うのも」
「面倒くさいとか! 未遂だけど、今日のだって犯罪じゃん。お前、ケガしてんだから」
「そうだけど。でもこういうので被害訴えても、大体被害者のほうが、いい思いしないし…」
男が男に乱暴され掛けた、ということを抜きにしても、性犯罪の場合、何かにつけて被害者がツライ思いをすることが多いのは確かだ。
依織も面倒くさいなどと言ってはいるが、そのことはよく分かっているのだろう。
「そこまで分かってんなら、そんな危ないこと、やらなきゃいいじゃん」
「何かあっても、すぐ逃げられるような場所選んでるから平気」
「…」
そういう問題ではないと思うが、依織は「気を付けるから大丈夫」なんて言って、やめる気配はない。
依織が何をしているのか知って、その事実は瑛貴に大変なショックを与えたし、恐らくモラル的にはいけないことだと思うけれど、何をどう咎めたらいいのか、瑛貴には分からなくて。
「別に依織がしてることに何か言うつもりはないけど……でもあんまむちゃくちゃすんなよ、危ねぇじゃん」
「…………うん、気を付ける!」
子どもを諭すみたいな言い方をすれば、依織は一瞬ポカンとした後、笑顔で頷いた。
「てか! 依織お前、前に、この辺のことあんま詳しくないとか言ったの、嘘だろ?」
「え、何で?」
「だって、この辺あんま詳しくないのに、何ですぐ逃げられるような場所とか選べんだよ」
「あ…」
瑛貴にしては鋭い指摘に、依織はヤバイ! という顔で視線を逸らした。
確かに瑛貴の言うとおり、依織がこの辺りのことに詳しくないと言ったのは嘘で、瑛貴に初めて会った日より少し前から、依織は、この辺りをうろついていた。
というのも、それより前にいた場所が長くなって、何となく顔が割れ始めたので、いろいろとやりづらくなってしまったのだ。
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