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繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (29)
2010.09.01 Wed
「じゃあ俺がする、手当て。店に救急箱あるから、依織、来て?」
「でもアッキー、時間…。電車の」
「そんなこと言ってる場合かよ!」
もちろん瑛貴は終電で帰る気満々だったが、顔を見たいと言ってやって来た依織がケガをしているのに、本当に顔だけ見せてバイバイなんて出来るわけがない。
無理やり依織を連れてJADEに戻ると、これから帰るところだったらしい数人のホストと綾斗が店内にいて、戻って来た瑛貴に驚いた顔をする。
「綾斗さん、ちょっと…」
瑛貴は綾斗に、入口で待たせている依織がケガをしていることを伝え、手当てをさせてほしいと頼んで、バックルームに向かわせてもらった。
「大丈夫かよ、病院行かなくて」
救急箱を持ってきた綾斗が、心配そうに依織の顔を覗き込む。
前に会ったときは、やり手の代表らしい厳しい雰囲気だった綾斗だが、今こうして見ると、柔らかなニュアンスの、人懐こそうな顔をしている。
「あ、はい、平気です…。すいません、お店もう終わっちゃってるのに…、しかもお客でもないのに…」
「そんなの気にすんなよ、傷が残ったほうが大変だろ。しっかり手当てしてもらえよ」
「はい…ありがとうございます」
「じゃあ瑛貴、戸締り頼むな。セキュリティの入れ方、分かるな?」
普段は、終電に間に合うように店を出る瑛貴は、最後まで残っていることはめったにないが、綾斗のいない日に、代わりに戸締りをしていくこともあるから、その点なら大丈夫だ。
しかしそれでも心配だったのか、綾斗は念のため瑛貴にセキュリティ装置の入れ方を伝えた。
「それと、始発まで行くとこないなら、ここにいてもいいけど、2人だからって変なことすんなよ。ラブホじゃねぇんだから」
「何もしないよ!」
申し出はありがたいけれど、まさか職場でそんなマネ、言われなくたって絶対にするわけがない。
依織を女の子だと思っている綾斗の、下世話な心配に苦笑しつつ、瑛貴はバックルームを出て行く綾斗に頭を下げた。
「ホントにもー、綾斗さんてば…。てか、えっと、消毒…。あ、口んとこの傷なのに、消毒、口に入っちゃわないかな?」
「舐めなきゃ平気だと思う。大丈夫だよ、アッキー」
瑛貴は、消毒液のボトルに書いてある注意事項を熱心に見ている。
依織はそういうことにわりと無頓着なので、読まずに使用してしまうことが多いから、何だかこの光景はちょっと新鮮だ。
「じゃ、付けるよ? 沁みたらゴメン」
「沁みないようにして」
「それはこの消毒に言って」
むちゃくちゃな会話をしながら、瑛貴は消毒液を垂らしたコットンを依織の口元に当てる。
身構えていたが、やはり沁みるものは沁みるので、依織はビクッと肩を竦ませた。
「もうちょっと……でもまだ血が滲んでる…。何か貼ったほうが…」
「いいよ、大丈夫。乾けば平気だから」
一応の手当てが終わって、瑛貴のほうがホッとする。
依織には言わなかったが、人のケガの手当てなんて、実はこれが初めてだったのだ。
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「でもアッキー、時間…。電車の」
「そんなこと言ってる場合かよ!」
もちろん瑛貴は終電で帰る気満々だったが、顔を見たいと言ってやって来た依織がケガをしているのに、本当に顔だけ見せてバイバイなんて出来るわけがない。
無理やり依織を連れてJADEに戻ると、これから帰るところだったらしい数人のホストと綾斗が店内にいて、戻って来た瑛貴に驚いた顔をする。
「綾斗さん、ちょっと…」
瑛貴は綾斗に、入口で待たせている依織がケガをしていることを伝え、手当てをさせてほしいと頼んで、バックルームに向かわせてもらった。
「大丈夫かよ、病院行かなくて」
救急箱を持ってきた綾斗が、心配そうに依織の顔を覗き込む。
前に会ったときは、やり手の代表らしい厳しい雰囲気だった綾斗だが、今こうして見ると、柔らかなニュアンスの、人懐こそうな顔をしている。
「あ、はい、平気です…。すいません、お店もう終わっちゃってるのに…、しかもお客でもないのに…」
「そんなの気にすんなよ、傷が残ったほうが大変だろ。しっかり手当てしてもらえよ」
「はい…ありがとうございます」
「じゃあ瑛貴、戸締り頼むな。セキュリティの入れ方、分かるな?」
普段は、終電に間に合うように店を出る瑛貴は、最後まで残っていることはめったにないが、綾斗のいない日に、代わりに戸締りをしていくこともあるから、その点なら大丈夫だ。
しかしそれでも心配だったのか、綾斗は念のため瑛貴にセキュリティ装置の入れ方を伝えた。
「それと、始発まで行くとこないなら、ここにいてもいいけど、2人だからって変なことすんなよ。ラブホじゃねぇんだから」
「何もしないよ!」
申し出はありがたいけれど、まさか職場でそんなマネ、言われなくたって絶対にするわけがない。
依織を女の子だと思っている綾斗の、下世話な心配に苦笑しつつ、瑛貴はバックルームを出て行く綾斗に頭を下げた。
「ホントにもー、綾斗さんてば…。てか、えっと、消毒…。あ、口んとこの傷なのに、消毒、口に入っちゃわないかな?」
「舐めなきゃ平気だと思う。大丈夫だよ、アッキー」
瑛貴は、消毒液のボトルに書いてある注意事項を熱心に見ている。
依織はそういうことにわりと無頓着なので、読まずに使用してしまうことが多いから、何だかこの光景はちょっと新鮮だ。
「じゃ、付けるよ? 沁みたらゴメン」
「沁みないようにして」
「それはこの消毒に言って」
むちゃくちゃな会話をしながら、瑛貴は消毒液を垂らしたコットンを依織の口元に当てる。
身構えていたが、やはり沁みるものは沁みるので、依織はビクッと肩を竦ませた。
「もうちょっと……でもまだ血が滲んでる…。何か貼ったほうが…」
「いいよ、大丈夫。乾けば平気だから」
一応の手当てが終わって、瑛貴のほうがホッとする。
依織には言わなかったが、人のケガの手当てなんて、実はこれが初めてだったのだ。
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