スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (10)
2010.08.13 Fri
「えっ…。えと、それって…」
「あー…んーん、別に心は女なのに、男の体で生まれてきちゃったとか、そういうんじゃなくて」
実は依織は、心と体の不一致に悩んでいるのかと思ったら、しかしそれはあっさりと否定された。
ならばどういうことなのかと思いつつ、そんな踏み込んだことまで聞いていいのかと、瑛貴は返す言葉がなくなってしまう。
「俺ね、いつも誰かに優しくされてたいの」
依織は静かに目を伏せた。
隣を歩く瑛貴には、優しくされたい思いが、どうして女の子の格好をすることに結び付くのか、それが分からない。
「だってみんな、女の子には優しいでしょ?」
しばらく黙ったまま歩いていたら、ポツリ、依織が口を開いた。
「え、え? えと、ゴメ…よく意味が分かんないんだけど…」
「みんな、女の子には優しいから、女の子ていいなぁ、て。だから俺、女の子になりたいの」
まだ意味分かんない? と顔を覗き込まれ、けれど瑛貴は何と答えたらいいか分からなくて。
人に優しくされたい気持ちなら、依織だけでなく、少なからず誰にでもあって、それは分かるけれど、女の子にはみんな優しいというのは、依織の偏見のようにも思えるし。
「…俺、男にも優しいけど」
世の中にはいろいろな人がいるから、女性にだけ特別に優しい人もいれば、誰に対しても優しくない人もいるけれど、大抵の人は、男にも女にも大体同じくらい優しいと思う。
しかし瑛貴の言葉に、依織は首を振った。
「でもアッキーだって、女の子にのほうが、もっと優しいでしょ?」
「そ…かな?」
飽くまで依織は自分の考えを曲げるつもりはないらしく、そんなにきっぱり言われてしまうと、我の強くない瑛貴は、そうなのかな…と思い直してしまう。
今日だって、依織が女の子だから絡まれているところに声を掛けたわけではないつもりだけれど、依織に話せば、そんなことないと言われてしまうだろう。
生まれながらの体が男でも、様々な理由から女性の体になったり、服装や格好を女性のものにしたりする人は大勢いて、瑛貴も色々と見て来たが、依織のようなタイプは初めてだ。
「駅見えて来たー。ありがとうアッキー、もうここで大丈夫だよ」
「あ、うん…」
ロクに話も出来ないまま、大した距離ではない駅までの道のり、すぐに到着してしまった。
最初に依織が絡まれている場面に出くわしたせいか、必要以上に心配してしまっていたけれど、駅までなんて、本当にあっという間なのだ。
「ねぇねぇアッキー」
「ぅん?」
「アッキーさっき、男にも優しいて言ったよね?」
「…言ったけど?」
瑛貴も人間なので、好き嫌いのタイプはあるし、まったくの無関係の人間より、家族や恋人、友人のほうを優先するだろうけど、優しさの度合いを、単に相手の性別だけで変えたことはないつもりだ。
依織に改めて問われ、戸惑いつつも答える。
「ならさ、お願いがあるんだけど……聞いてくれる?」
依織は立ち止まって、瑛貴の顔を覗き込んだ。
back next
「あー…んーん、別に心は女なのに、男の体で生まれてきちゃったとか、そういうんじゃなくて」
実は依織は、心と体の不一致に悩んでいるのかと思ったら、しかしそれはあっさりと否定された。
ならばどういうことなのかと思いつつ、そんな踏み込んだことまで聞いていいのかと、瑛貴は返す言葉がなくなってしまう。
「俺ね、いつも誰かに優しくされてたいの」
依織は静かに目を伏せた。
隣を歩く瑛貴には、優しくされたい思いが、どうして女の子の格好をすることに結び付くのか、それが分からない。
「だってみんな、女の子には優しいでしょ?」
しばらく黙ったまま歩いていたら、ポツリ、依織が口を開いた。
「え、え? えと、ゴメ…よく意味が分かんないんだけど…」
「みんな、女の子には優しいから、女の子ていいなぁ、て。だから俺、女の子になりたいの」
まだ意味分かんない? と顔を覗き込まれ、けれど瑛貴は何と答えたらいいか分からなくて。
人に優しくされたい気持ちなら、依織だけでなく、少なからず誰にでもあって、それは分かるけれど、女の子にはみんな優しいというのは、依織の偏見のようにも思えるし。
「…俺、男にも優しいけど」
世の中にはいろいろな人がいるから、女性にだけ特別に優しい人もいれば、誰に対しても優しくない人もいるけれど、大抵の人は、男にも女にも大体同じくらい優しいと思う。
しかし瑛貴の言葉に、依織は首を振った。
「でもアッキーだって、女の子にのほうが、もっと優しいでしょ?」
「そ…かな?」
飽くまで依織は自分の考えを曲げるつもりはないらしく、そんなにきっぱり言われてしまうと、我の強くない瑛貴は、そうなのかな…と思い直してしまう。
今日だって、依織が女の子だから絡まれているところに声を掛けたわけではないつもりだけれど、依織に話せば、そんなことないと言われてしまうだろう。
生まれながらの体が男でも、様々な理由から女性の体になったり、服装や格好を女性のものにしたりする人は大勢いて、瑛貴も色々と見て来たが、依織のようなタイプは初めてだ。
「駅見えて来たー。ありがとうアッキー、もうここで大丈夫だよ」
「あ、うん…」
ロクに話も出来ないまま、大した距離ではない駅までの道のり、すぐに到着してしまった。
最初に依織が絡まれている場面に出くわしたせいか、必要以上に心配してしまっていたけれど、駅までなんて、本当にあっという間なのだ。
「ねぇねぇアッキー」
「ぅん?」
「アッキーさっき、男にも優しいて言ったよね?」
「…言ったけど?」
瑛貴も人間なので、好き嫌いのタイプはあるし、まったくの無関係の人間より、家族や恋人、友人のほうを優先するだろうけど、優しさの度合いを、単に相手の性別だけで変えたことはないつもりだ。
依織に改めて問われ、戸惑いつつも答える。
「ならさ、お願いがあるんだけど……聞いてくれる?」
依織は立ち止まって、瑛貴の顔を覗き込んだ。
back next
- 関連記事
-
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (11) (2010/08/14)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (10) (2010/08/13)
- 繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス (9) (2010/08/12)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:繁華街☆激濃ムラサキヴァイオレンス
テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学