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十二月 滲む涙も君との聖夜 (10)
2009.01.30 Fri
「逆にカズちゃんが欲しいものって何? カズちゃんが貰って嬉しいものを選べばいいんじゃない?」
「俺は、何かお揃いの…」
「え、何?」
何かゴニョゴニョと言った和衣の言葉が聞き取れなくて、睦月が聞き返せば、なぜか和衣はほんのり顔を赤くしている。
「どうした?」
「何かお揃いのがいいって言ったの!」
「お揃い……ペアルックってこと?」
「え、ペアルック!? そこまでじゃなくていいよ。何かアクセとかさぁ、ちょっとしたものでいいんだけど、一緒のがあったらいいじゃん。で、出来ればいっつも身に着けててくれるのとか…。ん、ストラップとかでもいい」
「それこそ特別っぽくないじゃん。ケータイのストラップなんて」
「でもお揃いだよ? 特別じゃない?」
「わざわざクリスマスにプレゼントするもの?」
「うー…」
祐介は、お揃いとか、あんま好きじゃないのかな?
むっちゃんの言うとおり、ストラップじゃ、クリスマスのプレゼントっぽくないかな。
「んー…」
「じゃあ、ペアリングにすれば?」
「……うぇっ!?」
やっぱり悩む~、と、考え過ぎて、思わずアヒル口になっていた和衣は、睦月の提案に、変な声を上げて固まった。
「なななな何て言った!? 今!!」
「え、ペアリングは? て。だってカズちゃん、アクセとかがいいんでしょ? お揃いがいいんでしょ? だったらペアリングにすればいいじゃん。特別っぽいし、超恋人っぽいじゃん」
「そ、そ、そ…」
「何?」
「そんなの無理に決まってんじゃん!!」
「何で?」
こんなにクリスマスを楽しみにしているくせに、なぜか和衣が力いっぱい否定するから、睦月は少しビックリした。
「だってそんなの…何か図々しくない?」
「その感覚が、俺には分かんない」
プレゼントを上げる側なのに、図々しいって何? と、和衣のよく分からない感覚に、睦月は首を傾げる。
というか、思うに祐介は優しいし、思った以上に和衣のことが大好きみたいだから、何を上げても喜ぶとは思うけれど。
「あぅー……やっぱパソコン? それとも電子辞書?」
「電子辞書? あぁ、何か壊れたとか言ってたね。じゃあ、それでいいじゃん。ゆっちが今一番欲しがってるもの上げれば、一番喜ばれるんじゃない?」
「でも夢がないー」
「あぁー…確かに夢はないね。超現実的。でもそれでいいんじゃない? 夢より現実。使えないプレゼントより、使えるもの。それに電子辞書なら、しょっちゅう持ち歩いてもらえるじゃん」
「うー……うん」
絶対それがいいって! と睦月に言い含められ、ショッピングモール中を散々探し回った挙句、和衣はプレゼントを電子辞書に決めた。
和衣が思うような、ロマンチックなプレゼントにはならなかったけれど、祐介が今一番欲しがっているものを上げればいいという睦月の言葉も一理あると思い直した。
「んふ。んふふふふ。ぐふふふふ」
「……カズちゃん、何か気持ち悪いって」
きっと、祐介と一緒に過ごすクリスマスを想像しているのだろう。
妄想は自由だが、ここはまだ人通りのある屋外だということを、忘れないでもらいたい。
隣を歩く睦月は、恥ずかしさに、少しだけ足を速めた。
「俺は、何かお揃いの…」
「え、何?」
何かゴニョゴニョと言った和衣の言葉が聞き取れなくて、睦月が聞き返せば、なぜか和衣はほんのり顔を赤くしている。
「どうした?」
「何かお揃いのがいいって言ったの!」
「お揃い……ペアルックってこと?」
「え、ペアルック!? そこまでじゃなくていいよ。何かアクセとかさぁ、ちょっとしたものでいいんだけど、一緒のがあったらいいじゃん。で、出来ればいっつも身に着けててくれるのとか…。ん、ストラップとかでもいい」
「それこそ特別っぽくないじゃん。ケータイのストラップなんて」
「でもお揃いだよ? 特別じゃない?」
「わざわざクリスマスにプレゼントするもの?」
「うー…」
祐介は、お揃いとか、あんま好きじゃないのかな?
むっちゃんの言うとおり、ストラップじゃ、クリスマスのプレゼントっぽくないかな。
「んー…」
「じゃあ、ペアリングにすれば?」
「……うぇっ!?」
やっぱり悩む~、と、考え過ぎて、思わずアヒル口になっていた和衣は、睦月の提案に、変な声を上げて固まった。
「なななな何て言った!? 今!!」
「え、ペアリングは? て。だってカズちゃん、アクセとかがいいんでしょ? お揃いがいいんでしょ? だったらペアリングにすればいいじゃん。特別っぽいし、超恋人っぽいじゃん」
「そ、そ、そ…」
「何?」
「そんなの無理に決まってんじゃん!!」
「何で?」
こんなにクリスマスを楽しみにしているくせに、なぜか和衣が力いっぱい否定するから、睦月は少しビックリした。
「だってそんなの…何か図々しくない?」
「その感覚が、俺には分かんない」
プレゼントを上げる側なのに、図々しいって何? と、和衣のよく分からない感覚に、睦月は首を傾げる。
というか、思うに祐介は優しいし、思った以上に和衣のことが大好きみたいだから、何を上げても喜ぶとは思うけれど。
「あぅー……やっぱパソコン? それとも電子辞書?」
「電子辞書? あぁ、何か壊れたとか言ってたね。じゃあ、それでいいじゃん。ゆっちが今一番欲しがってるもの上げれば、一番喜ばれるんじゃない?」
「でも夢がないー」
「あぁー…確かに夢はないね。超現実的。でもそれでいいんじゃない? 夢より現実。使えないプレゼントより、使えるもの。それに電子辞書なら、しょっちゅう持ち歩いてもらえるじゃん」
「うー……うん」
絶対それがいいって! と睦月に言い含められ、ショッピングモール中を散々探し回った挙句、和衣はプレゼントを電子辞書に決めた。
和衣が思うような、ロマンチックなプレゼントにはならなかったけれど、祐介が今一番欲しがっているものを上げればいいという睦月の言葉も一理あると思い直した。
「んふ。んふふふふ。ぐふふふふ」
「……カズちゃん、何か気持ち悪いって」
きっと、祐介と一緒に過ごすクリスマスを想像しているのだろう。
妄想は自由だが、ここはまだ人通りのある屋外だということを、忘れないでもらいたい。
隣を歩く睦月は、恥ずかしさに、少しだけ足を速めた。
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十二月 滲む涙も君との聖夜 (11)
2009.01.31 Sat
「ねぇ、このカッコ、変じゃない? 変じゃない!?」
クリスマスイブ。
和衣のいつもの服選びに付き合わされているのは、睦月だけではなかった。
すでに帰郷した同室者が不在の和衣の部屋に集まったのは、睦月のほかに、亮と翔真。
待ちに待った祐介とのクリスマスデートに浮かれっぱなしの和衣は、昨日の夜に散々迷って選んだ末の服装を、念のためにとみんなを集めて確認中だ。
ちなみに翔真もこれからデートだというのに、困っている親友を見捨てられず、ファッションチェックに付き合ってあげている。
「それでいいって。カズちゃん、カッコいい、カッコいい」
「もぉ、むっちゃん! もっと真剣に見てよ!」
「見てるってば」
何か言ったところで、結局は自分がいいと思ったものを最終的に選ぶのだから、睦月たちの存在は、はっきり言って無意味だと思う。
けれど和衣はどうしてもみんなから意見を聞きたいらしく、「どう? どう?」と3人に詰め寄る。
「いいんじゃない? カズっぽい雰囲気だけど、ちょっと特別な装いって感じするし」
「そう? ホント? やっぱこれでいいよね!?」
翔真の言葉に、ようやく満足がいったのか、和衣は笑顔で翔真に抱き付いた。
「よしよし。じゃあ洋服も決まったカズに、ショウちゃんがいいこと教えてあげよう」
「ん? 何?」
何のいいこと? と、翔真の思惑を知らない和衣は、目を輝かせながら翔真の顔を覗き込んだ。
「穴場のラブホ」
「…………。…ッ!! なっ何言ってんの!?」
「イッテ!」
翔真の言葉を理解した瞬間、和衣は顔を真っ赤にして、翔真を突き飛ばした。
「だって今日イブじゃん。どこも混んでると思ってさぁ」
「しっ知らないよ! 行かねぇし!!」
「え、行かないの?」
「~~~~~、ショウちゃんのバカ!!」
クリスマスの夜、恋人同士のすることといえば、翔真の言い分も間違いではないけれど、和衣にしてみたら、まだそこまで進めるなんて考えてもいなかったから、恥ずかしくて仕方がない。
亮は苦笑しているし、睦月は、やっぱショウちゃん大人だなぁ…なんて、のんきに考えているし、1人で慌てている和衣は、パンパン頬を叩いて気持ちを落ち着けた。
「ショウ、あんまからかうなって」
これから祐介とデートなのに、これ以上いっぱいいっぱいにさせてもかわいそうだと、亮が助け船を出してやる。
「カズちゃん、そろそろ待ち合わせの時間じゃないの?」
「あ、もう行かなきゃ!」
同じ建物の中で暮らしているのだから、待ち合わせも何もないのだが、和衣がそんな気分を味わいたいとか言って、わざわざ寮の集合玄関の前で待ち合わせをしているらしい。
恋する乙女は、何かと大変だ。
「じゃ、俺らも行こっか」
家主のいない部屋にいつまでもいるわけにはいかないと、3人も和衣の続いて部屋を出る。
「あ、」
部屋の鍵を閉める和衣を待っていた睦月は、その廊下で、同じように鍵を閉めている祐介の姿を発見してしまった。
そりゃそうだ。
同じ建物の、同じフロアで暮らしている2人が、同じ時間の待ち合わせに行こうとすれば、どうしたって同じような時間に部屋を出るに決まっている。
どうしようか、和衣は言わないほうがいいか、けれど気付くのも時間の問題か、なんて睦月が思っていたら、同じようにこちらに気が付いて祐介が、部屋の中に戻った。
「じゃ、行ってくるねー」
「あ、うん」
嬉しそうに出かけていく和衣を見送ると、ちょうど和衣が階段を下りていくタイミングで祐介が再び姿を現した。
「和衣、行った?」
「行った、行った。超はしゃぎながら」
祐介は苦笑しつつ、3人のお見送りに少々照れながら、和衣が待っているであろう玄関へと向かっていった。
「アイツもいいヤツだよな、ホント」
和衣が待ち合わせとか、そんな些細なことを喜ぶのを知っているから、その前に出くわしてガッカリさせないために、わざわざ1度部屋に戻った祐介に、亮も翔真も、純粋に感心していた。
クリスマスイブ。
和衣のいつもの服選びに付き合わされているのは、睦月だけではなかった。
すでに帰郷した同室者が不在の和衣の部屋に集まったのは、睦月のほかに、亮と翔真。
待ちに待った祐介とのクリスマスデートに浮かれっぱなしの和衣は、昨日の夜に散々迷って選んだ末の服装を、念のためにとみんなを集めて確認中だ。
ちなみに翔真もこれからデートだというのに、困っている親友を見捨てられず、ファッションチェックに付き合ってあげている。
「それでいいって。カズちゃん、カッコいい、カッコいい」
「もぉ、むっちゃん! もっと真剣に見てよ!」
「見てるってば」
何か言ったところで、結局は自分がいいと思ったものを最終的に選ぶのだから、睦月たちの存在は、はっきり言って無意味だと思う。
けれど和衣はどうしてもみんなから意見を聞きたいらしく、「どう? どう?」と3人に詰め寄る。
「いいんじゃない? カズっぽい雰囲気だけど、ちょっと特別な装いって感じするし」
「そう? ホント? やっぱこれでいいよね!?」
翔真の言葉に、ようやく満足がいったのか、和衣は笑顔で翔真に抱き付いた。
「よしよし。じゃあ洋服も決まったカズに、ショウちゃんがいいこと教えてあげよう」
「ん? 何?」
何のいいこと? と、翔真の思惑を知らない和衣は、目を輝かせながら翔真の顔を覗き込んだ。
「穴場のラブホ」
「…………。…ッ!! なっ何言ってんの!?」
「イッテ!」
翔真の言葉を理解した瞬間、和衣は顔を真っ赤にして、翔真を突き飛ばした。
「だって今日イブじゃん。どこも混んでると思ってさぁ」
「しっ知らないよ! 行かねぇし!!」
「え、行かないの?」
「~~~~~、ショウちゃんのバカ!!」
クリスマスの夜、恋人同士のすることといえば、翔真の言い分も間違いではないけれど、和衣にしてみたら、まだそこまで進めるなんて考えてもいなかったから、恥ずかしくて仕方がない。
亮は苦笑しているし、睦月は、やっぱショウちゃん大人だなぁ…なんて、のんきに考えているし、1人で慌てている和衣は、パンパン頬を叩いて気持ちを落ち着けた。
「ショウ、あんまからかうなって」
これから祐介とデートなのに、これ以上いっぱいいっぱいにさせてもかわいそうだと、亮が助け船を出してやる。
「カズちゃん、そろそろ待ち合わせの時間じゃないの?」
「あ、もう行かなきゃ!」
同じ建物の中で暮らしているのだから、待ち合わせも何もないのだが、和衣がそんな気分を味わいたいとか言って、わざわざ寮の集合玄関の前で待ち合わせをしているらしい。
恋する乙女は、何かと大変だ。
「じゃ、俺らも行こっか」
家主のいない部屋にいつまでもいるわけにはいかないと、3人も和衣の続いて部屋を出る。
「あ、」
部屋の鍵を閉める和衣を待っていた睦月は、その廊下で、同じように鍵を閉めている祐介の姿を発見してしまった。
そりゃそうだ。
同じ建物の、同じフロアで暮らしている2人が、同じ時間の待ち合わせに行こうとすれば、どうしたって同じような時間に部屋を出るに決まっている。
どうしようか、和衣は言わないほうがいいか、けれど気付くのも時間の問題か、なんて睦月が思っていたら、同じようにこちらに気が付いて祐介が、部屋の中に戻った。
「じゃ、行ってくるねー」
「あ、うん」
嬉しそうに出かけていく和衣を見送ると、ちょうど和衣が階段を下りていくタイミングで祐介が再び姿を現した。
「和衣、行った?」
「行った、行った。超はしゃぎながら」
祐介は苦笑しつつ、3人のお見送りに少々照れながら、和衣が待っているであろう玄関へと向かっていった。
「アイツもいいヤツだよな、ホント」
和衣が待ち合わせとか、そんな些細なことを喜ぶのを知っているから、その前に出くわしてガッカリさせないために、わざわざ1度部屋に戻った祐介に、亮も翔真も、純粋に感心していた。
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