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11月 あったかい期待シタイみたい。 (8)
2009.06.03 Wed
「俺のこと嫌ってるヤツのこと好きになって、それでも意味あるって言うの…?」
「なら、ずっと嫌われたままでいるの? てか、その子に謝ったことあんの? ひどいことしたって……ちゃんと謝った? もういいや、てそのままにしてるんじゃないの?」
「そんな…見てきたようなこと、言わないでよ…」
ゆっくりと目を開ければ、蛍光灯の明かりが、ひどく眩しい。
「何か話聞いてたら、ショウって何かそんな感じかな、て思った。ゴメン、私の勝手なイメージ」
「せーかい」
ぬくもりが欲しくて手を伸ばせば、アヤは笑って手を繋いでくれた。
「だって…謝ったって、どうせ許してくれないだろうし」
「でもそれだって、ショウがそう思い込んでるだけでしょ? その子のこと、そういうふうに」
「…」
「だからいつまでも、モヤモヤすっきりしなくて、気になってしょうがないんじゃない? 思い出したくないのに、頭から離れないの」
違う? と顔を覗き込まれ、違わない、と観念して白状した。
もしかしたら、翔真が謝るべきことはないのかもしれないけれど、でも高校のころの彼女とのことだって、事実を信じるかどうかは真大に任せるなどと言ってしまったし、蒼一郎とのことだって、結局は真大と真剣に向き合おうとはしなかった。
頑なに心を閉ざそうとする真大に、あっさりと背を向けていた。
「その子が許してくれなかったとしてもさ、男なんだから、ちゃんとケジメつけなよ」
「うへ、アヤさん、かっこいー」
「でしょ? 惚れんなよ?」
「んはは」
本当におかしくて笑ったのに、なのに翔真の瞳からは、ボロボロと涙が零れた。
それを拭えなかったのは、アヤと手を繋いでいたからじゃなくて。
人前で涙、隠すこともしないで。
「ショウのこと心配してくれる友だちの前でも、泣けるようになるといいのにね」
「…ぇ…?」
「そういう弱いとこ見せたって、友だちならちゃんと受け止めてくれるよ?」
涙で視界がユラユラ揺らぐ。
ボンヤリと浮かぶのは、亮とか和衣とか、あと睦月と祐介と蒼一郎と、郁雅と……だって、俺がみんなの前で泣くなんて、変じゃない?
また、らしくないって言われちゃう。
「でも、それもショウなんだから、受け入れてくれるよ」
「…」
あぁ、そうだ。
蒼一郎だって、あのとき、翔真の焦った顔を初めて見たって言ったけれど、そういう顔もいいねって言ったんだ。
本当の顔を見せることを、驚いても否定なんかしなかった。
「だから、今日はもう帰りな? 友だち、心配してるよ?」
「…うん」
翔真は鼻を啜って、起き上った。
袖口でグシグシと涙を拭う。
「駅まで送ろっか?」
「平気。だってそしたら、帰りアヤさん1人じゃん」
「そっか」
ボックスからティシューを数枚抜いて、翔真に渡してやる。
「目、赤い?」
「ちょっとね」
「へへ、恥ずかし…」
涙と鼻を拭って、ティシューをゴミ箱に投げる。
大した距離でもないそれは、キレイな弧を描いて、ゴミ箱の中に納まった。
「もう女の子に声掛けられても、ホイホイ付いてっちゃダメだよ」
「うん、ホイホイしない」
「じゃあね」
「うん、じゃあね」
スニーカーに足を入れて、爪先を叩いて靴を履く。
玄関まで見送りにきたアヤは、グシャグシャになっていた翔真の髪を、手で直してやった。
「じゃあね、ショウ」
「うん。……ありがと、アヤさん」
手を振るアヤに頭を下げて、翔真は部屋を出た。
きっと彼女には、もう会わない。
もう、ここに来ることもない。
静かな廊下に、翔真の足音が響く。
「…バイバイ」
冷えた空気。
翔真は駅までダッシュした。
「なら、ずっと嫌われたままでいるの? てか、その子に謝ったことあんの? ひどいことしたって……ちゃんと謝った? もういいや、てそのままにしてるんじゃないの?」
「そんな…見てきたようなこと、言わないでよ…」
ゆっくりと目を開ければ、蛍光灯の明かりが、ひどく眩しい。
「何か話聞いてたら、ショウって何かそんな感じかな、て思った。ゴメン、私の勝手なイメージ」
「せーかい」
ぬくもりが欲しくて手を伸ばせば、アヤは笑って手を繋いでくれた。
「だって…謝ったって、どうせ許してくれないだろうし」
「でもそれだって、ショウがそう思い込んでるだけでしょ? その子のこと、そういうふうに」
「…」
「だからいつまでも、モヤモヤすっきりしなくて、気になってしょうがないんじゃない? 思い出したくないのに、頭から離れないの」
違う? と顔を覗き込まれ、違わない、と観念して白状した。
もしかしたら、翔真が謝るべきことはないのかもしれないけれど、でも高校のころの彼女とのことだって、事実を信じるかどうかは真大に任せるなどと言ってしまったし、蒼一郎とのことだって、結局は真大と真剣に向き合おうとはしなかった。
頑なに心を閉ざそうとする真大に、あっさりと背を向けていた。
「その子が許してくれなかったとしてもさ、男なんだから、ちゃんとケジメつけなよ」
「うへ、アヤさん、かっこいー」
「でしょ? 惚れんなよ?」
「んはは」
本当におかしくて笑ったのに、なのに翔真の瞳からは、ボロボロと涙が零れた。
それを拭えなかったのは、アヤと手を繋いでいたからじゃなくて。
人前で涙、隠すこともしないで。
「ショウのこと心配してくれる友だちの前でも、泣けるようになるといいのにね」
「…ぇ…?」
「そういう弱いとこ見せたって、友だちならちゃんと受け止めてくれるよ?」
涙で視界がユラユラ揺らぐ。
ボンヤリと浮かぶのは、亮とか和衣とか、あと睦月と祐介と蒼一郎と、郁雅と……だって、俺がみんなの前で泣くなんて、変じゃない?
また、らしくないって言われちゃう。
「でも、それもショウなんだから、受け入れてくれるよ」
「…」
あぁ、そうだ。
蒼一郎だって、あのとき、翔真の焦った顔を初めて見たって言ったけれど、そういう顔もいいねって言ったんだ。
本当の顔を見せることを、驚いても否定なんかしなかった。
「だから、今日はもう帰りな? 友だち、心配してるよ?」
「…うん」
翔真は鼻を啜って、起き上った。
袖口でグシグシと涙を拭う。
「駅まで送ろっか?」
「平気。だってそしたら、帰りアヤさん1人じゃん」
「そっか」
ボックスからティシューを数枚抜いて、翔真に渡してやる。
「目、赤い?」
「ちょっとね」
「へへ、恥ずかし…」
涙と鼻を拭って、ティシューをゴミ箱に投げる。
大した距離でもないそれは、キレイな弧を描いて、ゴミ箱の中に納まった。
「もう女の子に声掛けられても、ホイホイ付いてっちゃダメだよ」
「うん、ホイホイしない」
「じゃあね」
「うん、じゃあね」
スニーカーに足を入れて、爪先を叩いて靴を履く。
玄関まで見送りにきたアヤは、グシャグシャになっていた翔真の髪を、手で直してやった。
「じゃあね、ショウ」
「うん。……ありがと、アヤさん」
手を振るアヤに頭を下げて、翔真は部屋を出た。
きっと彼女には、もう会わない。
もう、ここに来ることもない。
静かな廊下に、翔真の足音が響く。
「…バイバイ」
冷えた空気。
翔真は駅までダッシュした。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ ウン゚.+:。(*-ω-)(-ω-*)゚.+:。ウン
いい出会いでしたね~。
アヤさんと心の中を曝け出して会話できた事で、翔ちゃんの中で大切な気付きが沢山あったなぁって(*´∀`*)
惚れんなよ?のアヤさんの台詞に惚れそうです(笑)
そうだよ翔ちゃん、皆どんな翔ちゃんを見せられても、変わらないし、変だ何て思わないよ~だって友達だもの!
マヒロたんとも皆とも、ちゃんと向き合えるといいね゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
あ~~翔ちゃん、ガンバレ!
アヤさんと心の中を曝け出して会話できた事で、翔ちゃんの中で大切な気付きが沢山あったなぁって(*´∀`*)
惚れんなよ?のアヤさんの台詞に惚れそうです(笑)
そうだよ翔ちゃん、皆どんな翔ちゃんを見せられても、変わらないし、変だ何て思わないよ~だって友達だもの!
マヒロたんとも皆とも、ちゃんと向き合えるといいね゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
あ~~翔ちゃん、ガンバレ!
りり ⇒ アヤさんかっこいい!!
こういう精神的に大人の女性に出会えて、こじれていたものが解けてよかったです。
人の持つイメージと、本当の自分との間には、みんな少しずつ開きがあるんだろうけど、翔ちゃんは便りにされて弱音なんか吐かないキャラにみんながちょっとずつ甘えちゃってたような気がします。
本人は、自分を出しそびれてがんじがらめになってっちゃって。
可哀想だったけど、確かに黙ってちゃ伝わらないことだってあるんですよね。
真大ちゃんが今もそれほど翔ちゃんを悪く思っているのか疑問だけど、等身大の翔ちゃんを見せたら何かが変わる気がする。っていうか変わって欲しい…。
それにしても昨日もコメ入れた気になっていたわたしって…。
人の持つイメージと、本当の自分との間には、みんな少しずつ開きがあるんだろうけど、翔ちゃんは便りにされて弱音なんか吐かないキャラにみんながちょっとずつ甘えちゃってたような気がします。
本人は、自分を出しそびれてがんじがらめになってっちゃって。
可哀想だったけど、確かに黙ってちゃ伝わらないことだってあるんですよね。
真大ちゃんが今もそれほど翔ちゃんを悪く思っているのか疑問だけど、等身大の翔ちゃんを見せたら何かが変わる気がする。っていうか変わって欲しい…。
それにしても昨日もコメ入れた気になっていたわたしって…。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
女子大好きなんで、アヤさんを存分に書けて、大満足です(*´∀`*)
その場限りの関係だからこそ、言いたいことも言えるし、翔ちゃんの心の中にもすんなり入ってくるのかも。
これで、みんなの言葉も翔ちゃんの心に届くと思います。
> 惚れんなよ?のアヤさんの台詞に惚れそうです(笑)
ありがとうございます!
かっこいい女子が大好物なんで、そのお言葉、大変嬉しいです~。
コメントありがとうございました!
その場限りの関係だからこそ、言いたいことも言えるし、翔ちゃんの心の中にもすんなり入ってくるのかも。
これで、みんなの言葉も翔ちゃんの心に届くと思います。
> 惚れんなよ?のアヤさんの台詞に惚れそうです(笑)
ありがとうございます!
かっこいい女子が大好物なんで、そのお言葉、大変嬉しいです~。
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
翔ちゃんにもいろんな出会いがあったけれど、アヤさんとの出会いは、いい出会いになったかな、と。
> 人の持つイメージと、本当の自分との間には、みんな少しずつ開きがあるんだろうけど、翔ちゃんは便りにされて弱音なんか吐かないキャラにみんながちょっとずつ甘えちゃってたような気がします。
> 本人は、自分を出しそびれてがんじがらめになってっちゃって。
そうですね。
わざとそうしていたわけではないけれど、何となく出しそびれていた、て感じで。
翔ちゃんにはつらかったけど、いい経験になったんじゃないかと思います。
> それにしても昨日もコメ入れた気になっていたわたしって…。
何か最近、私もそういうこと多くて……何か似てますね、私たち(笑)
コメントありがとうございました!
> 人の持つイメージと、本当の自分との間には、みんな少しずつ開きがあるんだろうけど、翔ちゃんは便りにされて弱音なんか吐かないキャラにみんながちょっとずつ甘えちゃってたような気がします。
> 本人は、自分を出しそびれてがんじがらめになってっちゃって。
そうですね。
わざとそうしていたわけではないけれど、何となく出しそびれていた、て感じで。
翔ちゃんにはつらかったけど、いい経験になったんじゃないかと思います。
> それにしても昨日もコメ入れた気になっていたわたしって…。
何か最近、私もそういうこと多くて……何か似てますね、私たち(笑)
コメントありがとうございました!