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11月 あったかい期待シタイみたい。 (3)
2009.05.29 Fri
「蒼が、俺のことウザくなったのかなぁ~、とか言ってたけど」
「ウッソ。別にそんなんじゃないのに。蒼、気にしてた? 謝っとかなきゃかな?」
「一言、言っときゃいいんじゃね。てか、何で帰んねぇの? どこ泊まってんの?」
「だから何となくだって! 亮、何でそんなこと聞くの? 別にいいじゃん、どこ泊まってたって!」
何となくは何となくだもん! と翔真はふて腐れたように言い放つと、苛立たしげに、食器をガチャガチャ言わせながらサラダをつついた。
「別に悪いとか言ってねぇじゃん。そうじゃなくて」
「じゃあ何? てか、亮が聞きたいの、それだけじゃないんだろ?」
レタスを穴だらけのグザグザにしたところで、翔真はフォークを投げて、コーラを飲み干した。
ファミレスとはいえ、亮がメシを奢ってまで翔真と単に話がしたいだけのはずがないことくらい、考えるまでもない。翔真だって、それを分かって付いてきたのだ。
もしかして亮は、自分の思惑にまだ翔真が気付いていないとでも思っているのだろうか。
「ショウ、新しい彼女、出来たの?」
「え?」
「いや、前、別れたとか言ってたから…。新しい彼女、どんな子?」
亮が窺うように聞けば、翔真は視線を彷徨わせた。
「つーか、ちゃんと付き合ってんの?」
「どういう意味?」
視線を落として、空になったグラスを弄んでいる翔真に、とうとう亮は、睦月たちが見掛けたという女の子のことを話した。
あまりにも見た目や雰囲気の違う3人の女の子。その中に、果たして彼女と呼べる子がいたの?
「あー…まぁ、別に付き合ってるわけじゃないし。てか、祐介にまで見られてんだー、俺」
何かウケるー、とか言いながらヘラヘラ笑い出した翔真に、亮はバンッとテーブルを叩いた。
「ふざけんなお前、何言ってんの?」
「何って…、亮、何怒ってんの? 俺、ちゃんと質問に答えたのに」
ちゃんと付き合っているのかと聞かれたから、そんなんじゃない、て正直に言ったのに。
お付き合いしているわけじゃない。彼女じゃない。
一緒に遊ぼ、て声掛けられるから、一緒に遊んでるだけ。もちろん、もう子どもじゃないから、ただ出掛けて遊んで終わりじゃないけれど。
「ショウ、何チャラチャラ遊んでんの?」
「だって誘われるんだもん」
翔真から声を掛けたわけではない。
バイト帰りとか、1人でいた翔真に言い寄って来たのは女の子のほう。教えられた名前が本当かどうかも分からないし、携帯電話の番号すら知らない。
きっともう2度と会わない、その場限りの関係。
別にそれで構わなかった。
女の子のほうもそのつもりで声を掛けて来ているし、入れ込むなんてバカらしい。
終電が終わった、て言えば泊めてくれるし、そんなことをしていたら、ダラダラと寮に帰らない日が続いた。
ただ、それだけのことだった。
「何か、お前らしくない」
届いたフライドポテトをつまみながら、亮は言った。
恋愛にのめり込むタイプではないことは知っていたけれど、しかしかといって遊びで女の子と付き合うようなヤツでもなかった。
なのに今、平然とそんなことを言ってのける翔真は、まるで別人みたいだ。
「……、亮も、そういうこと、言うんだね」
「え?」
そういえば、いつだったか、和衣にもそんなこと言われたっけ。
翔真らしくない、て。
あれは一体いつだっただろうか。
「ショウ?」
――――あぁ、あのときだ…。
真大とのことがあって、彼女とも別れて、何だか毎日イライラしていた。すべてのことが鬱陶しくて、ひどく厭世的な気分に浸っていた。
そんなときに、そばでのん気に幸せそうな顔をしている和衣が煩わしくて、つい衝動的な行動に出てしまった。危うく親友を辱めるところだった。
かろうじて未遂に終わって、和衣もそのことを責めたりなじったりはしなかったけれど、そのとき和衣に言われたんだ――――らしくない、て。
あの出来事は、あまりのことだったけれど、和衣はそれだけでなく、苛付く翔真を見て、ずっとらしくないと思っていたらしい。
一体何が? どこが? と聞いてやろうかと思ったけれど、そんなことを尋ねることも、きっと和衣の中では、"翔真らしくない"ことだろうから、やめておいた。
そしてまた、亮も言うのだ。
お前らしくない。
昔ながらの親友から、揃ってそう言われるのだから、本当にらしくないのだろう。
けれど、言ってやりたいよ。
それなら何が俺らしいのか、て。
「ねぇ亮。じゃあさ、俺らしいって……何?」
「え…」
だって、そんなことなくたって、遊んでいるようなイメージを勝手に持たれて。
そんなつもりで、女の子は言い寄って来て。
それが、みんなが思ってる、俺らしいことなんでしょ?
「ショウは、そんなことするヤツじゃないよ。真面目なヤツだよ」
「……、俺は、お前が思ってるようなヤツじゃないよ」
そう言って目を伏せた翔真は、冷めたグラタンにスプーンを刺した。
「ウッソ。別にそんなんじゃないのに。蒼、気にしてた? 謝っとかなきゃかな?」
「一言、言っときゃいいんじゃね。てか、何で帰んねぇの? どこ泊まってんの?」
「だから何となくだって! 亮、何でそんなこと聞くの? 別にいいじゃん、どこ泊まってたって!」
何となくは何となくだもん! と翔真はふて腐れたように言い放つと、苛立たしげに、食器をガチャガチャ言わせながらサラダをつついた。
「別に悪いとか言ってねぇじゃん。そうじゃなくて」
「じゃあ何? てか、亮が聞きたいの、それだけじゃないんだろ?」
レタスを穴だらけのグザグザにしたところで、翔真はフォークを投げて、コーラを飲み干した。
ファミレスとはいえ、亮がメシを奢ってまで翔真と単に話がしたいだけのはずがないことくらい、考えるまでもない。翔真だって、それを分かって付いてきたのだ。
もしかして亮は、自分の思惑にまだ翔真が気付いていないとでも思っているのだろうか。
「ショウ、新しい彼女、出来たの?」
「え?」
「いや、前、別れたとか言ってたから…。新しい彼女、どんな子?」
亮が窺うように聞けば、翔真は視線を彷徨わせた。
「つーか、ちゃんと付き合ってんの?」
「どういう意味?」
視線を落として、空になったグラスを弄んでいる翔真に、とうとう亮は、睦月たちが見掛けたという女の子のことを話した。
あまりにも見た目や雰囲気の違う3人の女の子。その中に、果たして彼女と呼べる子がいたの?
「あー…まぁ、別に付き合ってるわけじゃないし。てか、祐介にまで見られてんだー、俺」
何かウケるー、とか言いながらヘラヘラ笑い出した翔真に、亮はバンッとテーブルを叩いた。
「ふざけんなお前、何言ってんの?」
「何って…、亮、何怒ってんの? 俺、ちゃんと質問に答えたのに」
ちゃんと付き合っているのかと聞かれたから、そんなんじゃない、て正直に言ったのに。
お付き合いしているわけじゃない。彼女じゃない。
一緒に遊ぼ、て声掛けられるから、一緒に遊んでるだけ。もちろん、もう子どもじゃないから、ただ出掛けて遊んで終わりじゃないけれど。
「ショウ、何チャラチャラ遊んでんの?」
「だって誘われるんだもん」
翔真から声を掛けたわけではない。
バイト帰りとか、1人でいた翔真に言い寄って来たのは女の子のほう。教えられた名前が本当かどうかも分からないし、携帯電話の番号すら知らない。
きっともう2度と会わない、その場限りの関係。
別にそれで構わなかった。
女の子のほうもそのつもりで声を掛けて来ているし、入れ込むなんてバカらしい。
終電が終わった、て言えば泊めてくれるし、そんなことをしていたら、ダラダラと寮に帰らない日が続いた。
ただ、それだけのことだった。
「何か、お前らしくない」
届いたフライドポテトをつまみながら、亮は言った。
恋愛にのめり込むタイプではないことは知っていたけれど、しかしかといって遊びで女の子と付き合うようなヤツでもなかった。
なのに今、平然とそんなことを言ってのける翔真は、まるで別人みたいだ。
「……、亮も、そういうこと、言うんだね」
「え?」
そういえば、いつだったか、和衣にもそんなこと言われたっけ。
翔真らしくない、て。
あれは一体いつだっただろうか。
「ショウ?」
――――あぁ、あのときだ…。
真大とのことがあって、彼女とも別れて、何だか毎日イライラしていた。すべてのことが鬱陶しくて、ひどく厭世的な気分に浸っていた。
そんなときに、そばでのん気に幸せそうな顔をしている和衣が煩わしくて、つい衝動的な行動に出てしまった。危うく親友を辱めるところだった。
かろうじて未遂に終わって、和衣もそのことを責めたりなじったりはしなかったけれど、そのとき和衣に言われたんだ――――らしくない、て。
あの出来事は、あまりのことだったけれど、和衣はそれだけでなく、苛付く翔真を見て、ずっとらしくないと思っていたらしい。
一体何が? どこが? と聞いてやろうかと思ったけれど、そんなことを尋ねることも、きっと和衣の中では、"翔真らしくない"ことだろうから、やめておいた。
そしてまた、亮も言うのだ。
お前らしくない。
昔ながらの親友から、揃ってそう言われるのだから、本当にらしくないのだろう。
けれど、言ってやりたいよ。
それなら何が俺らしいのか、て。
「ねぇ亮。じゃあさ、俺らしいって……何?」
「え…」
だって、そんなことなくたって、遊んでいるようなイメージを勝手に持たれて。
そんなつもりで、女の子は言い寄って来て。
それが、みんなが思ってる、俺らしいことなんでしょ?
「ショウは、そんなことするヤツじゃないよ。真面目なヤツだよ」
「……、俺は、お前が思ってるようなヤツじゃないよ」
そう言って目を伏せた翔真は、冷めたグラタンにスプーンを刺した。
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テーマ:自作BL小説 ジャンル:小説・文学
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ ヤサグレモード継続中…
皆が本気で翔ちゃんを心配してるのにねぇ(;´Д`)
こういう時って、正しく伝わらないんですよね。
ううん、分かりたくないって思っちゃうのかな…素直に受け止められない。
あぁ~~何か苦しいっすね。
泥沼の深いところで、ひとりもがいてる翔ちゃん。
差し伸べられてる腕に気付いても、手を伸ばせずに。
優しくて真っすぐで周りの事をいつも見守ってくれていた翔ちゃん。
窒息しそうで、切ないなぁ。亮ちゃんの想い、届くかなぁl||li (つω<。)il||li
こういう時って、正しく伝わらないんですよね。
ううん、分かりたくないって思っちゃうのかな…素直に受け止められない。
あぁ~~何か苦しいっすね。
泥沼の深いところで、ひとりもがいてる翔ちゃん。
差し伸べられてる腕に気付いても、手を伸ばせずに。
優しくて真っすぐで周りの事をいつも見守ってくれていた翔ちゃん。
窒息しそうで、切ないなぁ。亮ちゃんの想い、届くかなぁl||li (つω<。)il||li
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
何か言えば言うほど、翔ちゃんの気持ちを逆撫でてしまうようで。
普段は周りから相談されることはあっても、翔ちゃん、なかなか人に何か相談することのなかったので、どうしていいか分からなくなっちゃってます。
こういうときこそ、頼りになるのが親友なんですけどね。
今はすっかり周りをシャットアウトしちゃってまして…。
早く心開いた翔ちゃんをお届けしたいです~。
コメントありがとうございました!
普段は周りから相談されることはあっても、翔ちゃん、なかなか人に何か相談することのなかったので、どうしていいか分からなくなっちゃってます。
こういうときこそ、頼りになるのが親友なんですけどね。
今はすっかり周りをシャットアウトしちゃってまして…。
早く心開いた翔ちゃんをお届けしたいです~。
コメントありがとうございました!