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10月 寝ても覚めても考えるのは。 (2)
2009.05.20 Wed
『別に、いつでもずっと私のこと考えててとか言わないけど、一緒にいるのに、ずっと違う人のこと考えてられるのは、ちょっとムカつくんだけど』
そんなことないよ、て言ったのに。
でも彼女は、そんな翔真の心の奥底の、翔真自身でも気付いていないような部分まで感付いていたようで、やっぱり別れるとしか言ってくれなかった。
「あーあ、別れちゃった…」
「合コンでも行けば? ショウ、こないだも誘われてたじゃん」
「…行かね」
何だか、そんな気分にならない。
前は、彼女と別れたら、新しい恋を探そうてすぐに思ったのに、不思議と今はそんな気分にはならなくて。きっと合コンに行っても、全然集中できないだろうし、素直に楽しめないと思う。
だって。
彼女と別れて落ち込む暇もないくらい、翔真の頭の中を占めているのは、新しい恋ではなく、…………悲しいかな、真大のことだった。
あの夏の日、ひどく拒絶されて、それ以来、まともに話もしていない。
それどころか、真大は、翔真のことなどまるで知らないといった素振りで、見掛けてもそっけなく素通りしていく。
春のころのように、嫌な顔をして顔を背けるでもなく、表情1つ変えず、スッと通り抜けていく。
もともと、誤解からとはいえ嫌われていたし、最初からそんな態度で接してきた真大のことを、翔真だって、そんなに得意ではなかった。
だから、少し打ち解けて、またさらに嫌われたところで、結局元に戻っただけのこと。
別に何も気にすることはない――――それなのに。
(ずっと真大のこと、考えてる…)
こんなに真大のことが気になるなんて、もしかしたら自分は真大に恋をしてしまったのだろうか。
けれど考えてみても、別に好きだとも思わないし、どっちかっていうと、やっぱり苦手だし、この気持ちを恋と呼ぶには程遠すぎた。
「俺さぁ、ずっと不思議だったんだ」
「ぁにが?」
モグモグ、口の中いっぱいに詰め込み過ぎたピラフを咀嚼しながら、亮が聞き返した。
「亮てさ、いつからそんなに一途になったの?」
「は?」
だって、高校のころの亮は、確か自分に似ていた。
彼女が出来ても長続きしなくて、でもフリーになったら誰かに告白されて、また付き合って。噂が一人歩きして、二股しているとか言われたこともあった。
実際にそんなことはしないけれど、でもそう思われても仕方ないくらい、一途とは言い難い恋愛事情だった。
なのに。
「何で、そんなになったの? 亮、何で変わったの?」
「えぇ? 別に何も変わってねぇけど?」
彼女と別れたばかりのせいなのか、いつもと様子の違う翔真に、亮は困ったように眉を寄せた。
「変わったよ、亮」
「はぁ? だから変わってねぇって」
「変わったよ。前よりカッコよくなった」
「ぶはっ!」
急に何を言い出すのかと思えば。
今までに親友から、こんな正面を切って褒められたことなんて、ただの1度もないのに。
亮は口元を引き攣らせながら、冷め切った無料のお茶を飲み干した。
「ショウ…どうしたの?」
「何が?」
「何がじゃねぇよ。いきなり褒めんなよ、キモイっつーの」
変なヤツ! と亮は首を傾げてから、ピラフに集中した。
向かいでその様子を眺めながら、翔真は、(だってホントにそう思うんだもん)と、心の中で言い返した。
そんなことないよ、て言ったのに。
でも彼女は、そんな翔真の心の奥底の、翔真自身でも気付いていないような部分まで感付いていたようで、やっぱり別れるとしか言ってくれなかった。
「あーあ、別れちゃった…」
「合コンでも行けば? ショウ、こないだも誘われてたじゃん」
「…行かね」
何だか、そんな気分にならない。
前は、彼女と別れたら、新しい恋を探そうてすぐに思ったのに、不思議と今はそんな気分にはならなくて。きっと合コンに行っても、全然集中できないだろうし、素直に楽しめないと思う。
だって。
彼女と別れて落ち込む暇もないくらい、翔真の頭の中を占めているのは、新しい恋ではなく、…………悲しいかな、真大のことだった。
あの夏の日、ひどく拒絶されて、それ以来、まともに話もしていない。
それどころか、真大は、翔真のことなどまるで知らないといった素振りで、見掛けてもそっけなく素通りしていく。
春のころのように、嫌な顔をして顔を背けるでもなく、表情1つ変えず、スッと通り抜けていく。
もともと、誤解からとはいえ嫌われていたし、最初からそんな態度で接してきた真大のことを、翔真だって、そんなに得意ではなかった。
だから、少し打ち解けて、またさらに嫌われたところで、結局元に戻っただけのこと。
別に何も気にすることはない――――それなのに。
(ずっと真大のこと、考えてる…)
こんなに真大のことが気になるなんて、もしかしたら自分は真大に恋をしてしまったのだろうか。
けれど考えてみても、別に好きだとも思わないし、どっちかっていうと、やっぱり苦手だし、この気持ちを恋と呼ぶには程遠すぎた。
「俺さぁ、ずっと不思議だったんだ」
「ぁにが?」
モグモグ、口の中いっぱいに詰め込み過ぎたピラフを咀嚼しながら、亮が聞き返した。
「亮てさ、いつからそんなに一途になったの?」
「は?」
だって、高校のころの亮は、確か自分に似ていた。
彼女が出来ても長続きしなくて、でもフリーになったら誰かに告白されて、また付き合って。噂が一人歩きして、二股しているとか言われたこともあった。
実際にそんなことはしないけれど、でもそう思われても仕方ないくらい、一途とは言い難い恋愛事情だった。
なのに。
「何で、そんなになったの? 亮、何で変わったの?」
「えぇ? 別に何も変わってねぇけど?」
彼女と別れたばかりのせいなのか、いつもと様子の違う翔真に、亮は困ったように眉を寄せた。
「変わったよ、亮」
「はぁ? だから変わってねぇって」
「変わったよ。前よりカッコよくなった」
「ぶはっ!」
急に何を言い出すのかと思えば。
今までに親友から、こんな正面を切って褒められたことなんて、ただの1度もないのに。
亮は口元を引き攣らせながら、冷め切った無料のお茶を飲み干した。
「ショウ…どうしたの?」
「何が?」
「何がじゃねぇよ。いきなり褒めんなよ、キモイっつーの」
変なヤツ! と亮は首を傾げてから、ピラフに集中した。
向かいでその様子を眺めながら、翔真は、(だってホントにそう思うんだもん)と、心の中で言い返した。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ 悶々としてますねぇ~
むふふ。
悩め悩め若者よ!!( ´艸`)ムププ♪
でも…そっかぁ~。
マヒロたん、完全無視を決め込んじゃったのか~。
何の感情も向けられないって、ある意味負の感情を向けられるよりも寂しいですよねぇ(;´Д`)
マヒロたんも、翔ちゃんがそんな奴じゃないって分かってると思うんだけどなぁ。
亮ちゃんてばそんなモテモテ君だったんですね!
そういえば当初そんな設定を聞いたような気も…(苦笑)
悩め悩め若者よ!!( ´艸`)ムププ♪
でも…そっかぁ~。
マヒロたん、完全無視を決め込んじゃったのか~。
何の感情も向けられないって、ある意味負の感情を向けられるよりも寂しいですよねぇ(;´Д`)
マヒロたんも、翔ちゃんがそんな奴じゃないって分かってると思うんだけどなぁ。
亮ちゃんてばそんなモテモテ君だったんですね!
そういえば当初そんな設定を聞いたような気も…(苦笑)
りり ⇒ 真大ちゃん
今どんな気持ちでいるんだろう。寂しいんじゃないのかな。何か、可哀想…。
失恋もだけど、少しだけうち解け始めた翔ちゃんのこと、誤解したままで辛い気持ちでいるんじゃないかな。
何にも悪くないのに無視されてる翔ちゃんも、気の毒だし。
可哀想とか心配とか、何だかモヤモヤしているけど、やっぱりそれは恋に近いと思う。
(どうでもいいけど「こい」て打つと濃い、てでてくるのが何か哀しい…
亮くんがかっこよくなったのは、本気の恋をしたからでしょうか。
失恋もだけど、少しだけうち解け始めた翔ちゃんのこと、誤解したままで辛い気持ちでいるんじゃないかな。
何にも悪くないのに無視されてる翔ちゃんも、気の毒だし。
可哀想とか心配とか、何だかモヤモヤしているけど、やっぱりそれは恋に近いと思う。
(どうでもいいけど「こい」て打つと濃い、てでてくるのが何か哀しい…
亮くんがかっこよくなったのは、本気の恋をしたからでしょうか。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> マヒロたん、完全無視を決め込んじゃったのか~。
真大タンとしても、あれだけ怒り散らしてしまって、何て声を掛けていいのか分からなくなってるところもあるんでしょうね。
でもホント、何の感情も向けられてないって言うのは、さみしいですよね。
こっちはこんなに気にしてるのに、好きでも嫌いでもない、何でもないというのは。
> 亮ちゃんてばそんなモテモテ君だったんですね!
> そういえば当初そんな設定を聞いたような気も…(苦笑)
亮タンと翔ちゃんは、たぶん中学くらいから、今までずっとモテ期が続いてると思います(爆)
カズちゃんの場合、年上の女の人から人気ありそう…(笑)
コメントありがとうございました!
真大タンとしても、あれだけ怒り散らしてしまって、何て声を掛けていいのか分からなくなってるところもあるんでしょうね。
でもホント、何の感情も向けられてないって言うのは、さみしいですよね。
こっちはこんなに気にしてるのに、好きでも嫌いでもない、何でもないというのは。
> 亮ちゃんてばそんなモテモテ君だったんですね!
> そういえば当初そんな設定を聞いたような気も…(苦笑)
亮タンと翔ちゃんは、たぶん中学くらいから、今までずっとモテ期が続いてると思います(爆)
カズちゃんの場合、年上の女の人から人気ありそう…(笑)
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
真大タンも、今はどうしていいか分からない感じになってるのかなぁ、と。
あんなに激しく怒鳴ってしまったけれど、今さら翔ちゃんに何て声掛けていいか分かんない、て感じで。
翔ちゃんも、好きも嫌いもなく無視されてるほうが、ずっと寂しいでしょうけどね。
> (どうでもいいけど「こい」て打つと濃い、てでてくるのが何か哀しい…
わはは。
私もよくなります。
で、変換違いに気付くより先にエンターキーを押しちゃって、戻って直すのがまた哀しいです…。
コメントありがとうございました!
あんなに激しく怒鳴ってしまったけれど、今さら翔ちゃんに何て声掛けていいか分かんない、て感じで。
翔ちゃんも、好きも嫌いもなく無視されてるほうが、ずっと寂しいでしょうけどね。
> (どうでもいいけど「こい」て打つと濃い、てでてくるのが何か哀しい…
わはは。
私もよくなります。
で、変換違いに気付くより先にエンターキーを押しちゃって、戻って直すのがまた哀しいです…。
コメントありがとうございました!