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7月 なぜだか夢で会いました。 (2)
2009.04.10 Fri
「あー……やっぱ郁んち行こう…」
「ダメだって。どうせ蒼は郁んち行ったって、勉強そっちのけでエッチなことするんだろ?」
「違うって! ちゃんと勉強するよ! エッチなことはその後ね☆」
「いや、そこは言わなくていいから」
先にぼけたのは翔真だけれど、そんな生真面目な突っ込みをされると、逆に返す言葉がない。
蒼一郎と郁雅が付き合っているのは、蒼一郎がうっかり口を滑らせたせいで、知っている。
1つ下の郁雅が大学に入る前からの関係だというから、もう1年以上なわけで、そうなればピュアなだけのお付き合いではないのだろう。別に詳しくは聞きたくないが。
「郁んちさー、生意気にもクーラーがあるんだよねー」
「うわっ、生意気!」
寮で暮らす翔真たちは、クーラーもない2人1部屋で、いまいち効果の期待できない扇風機がフル稼働させながら汗を流しているというのに、アパートで1人暮らしをしている郁雅の部屋にはクーラーが付いているという。
別に彼が悪いわけではないが、思わず妬みの言葉が口を突く。
「だから俺、郁んち行って勉強する」
「俺も行く!」
蒼一郎の言葉に、扇風機の前に転がっていた翔真が、ガバッと起き上った。
「ショウちゃんはダメ」
「何で!? 俺も郁んちで勉強する! クーラーの効いた部屋で勉強する!」
「ショウちゃんには扇風機あるじゃん」
「わーん、蒼一郎のバカー。俺が寝たふりしてる間に、エッチなことしてもいいから! 見て見ぬふりするから!」
ね、お願い! て翔真が頼み込んでも、蒼一郎は結局OKしてくれなかった。
暑さに耐え兼ねた翔真がギャーギャー喚き散らす横で、蒼一郎はさっさと郁雅に連絡をして、出掛ける支度をしていく。
「――――あ、そうだ、ショウちゃん、お願いがあるんだけど」
「…何?」
バタバタと暴れたせいで余計に暑くなったのか、翔真は扇風機の首を下向きにして、ぐったりと横たわっていた。
「俺が郁んちに行くこと、真大に黙っててくんない?」
「え?」
蒼一郎の口から出たその名前に、翔真は驚いて目を開けた。
「俺が郁と出掛けたとか言うとさぁ、真大、何か怒るんだよねー」
そう言って蒼一郎は、困ったように肩を竦めてみせた。
翔真は、床に転がったまま、ジッと蒼一郎を見た。首を振る扇風機の風が、汗ばんだ翔真の体を撫でていく。
蒼一郎は本気で分かっていないのだろうか。
真大が何か怒る、の"何か"の意味を。
「だからさぁ、もし真大がここに来て、俺がどこ行ったか聞いたら、分かんないって言っといて? お願い」
「あー…うん、いいけど。でもアイツ、俺になんか聞かないだろ、どうせ」
「え、でも何か誤解が解けたって言ってなかった? この間。仲直りしたんじゃないの?」
「…ぁ、うん」
あの雨の日、何を思ったか、雨宿りをしていた真大を傘に入れて帰った翔真は、真大の誤解を解くことで、ほんの少しだけ心を歩み合せたのだ。
だがもちろん、真大はまだ翔真の言葉を全面的に信用したわけではないようだし、翔真としても、好きだった彼女を信じていたい真大の気持ちも分かるから、このまま自分のことを恨んでいても構わないといったのだ。
ズルイ言い方かもしれないけれど、どちらを信じるかは真大が決めることだから。
それに翔真は、誤解が解けたことを手放しには喜べなかった。
知ってしまった真大の気持ち。
単に憧れや友情で、真大が蒼一郎に懐いているわけではないこと。
蒼一郎は本気で気付いていないのか、分かっていて知らないふりをしているのか、真大が自分に向ける気持ちを、友情で片付けようとしている。
蒼一郎には郁雅がいるのだから、真大から愛情を向けられても困るのは分かるが、2人の事情を知っている翔真としては、どちらかの味方をするというのは心苦しかった。
「じゃ、行ってくるねー」
「あ、うん…」
にこやかに出掛けて行く蒼一郎を、翔真は複雑な気持ちで見送った。
「ダメだって。どうせ蒼は郁んち行ったって、勉強そっちのけでエッチなことするんだろ?」
「違うって! ちゃんと勉強するよ! エッチなことはその後ね☆」
「いや、そこは言わなくていいから」
先にぼけたのは翔真だけれど、そんな生真面目な突っ込みをされると、逆に返す言葉がない。
蒼一郎と郁雅が付き合っているのは、蒼一郎がうっかり口を滑らせたせいで、知っている。
1つ下の郁雅が大学に入る前からの関係だというから、もう1年以上なわけで、そうなればピュアなだけのお付き合いではないのだろう。別に詳しくは聞きたくないが。
「郁んちさー、生意気にもクーラーがあるんだよねー」
「うわっ、生意気!」
寮で暮らす翔真たちは、クーラーもない2人1部屋で、いまいち効果の期待できない扇風機がフル稼働させながら汗を流しているというのに、アパートで1人暮らしをしている郁雅の部屋にはクーラーが付いているという。
別に彼が悪いわけではないが、思わず妬みの言葉が口を突く。
「だから俺、郁んち行って勉強する」
「俺も行く!」
蒼一郎の言葉に、扇風機の前に転がっていた翔真が、ガバッと起き上った。
「ショウちゃんはダメ」
「何で!? 俺も郁んちで勉強する! クーラーの効いた部屋で勉強する!」
「ショウちゃんには扇風機あるじゃん」
「わーん、蒼一郎のバカー。俺が寝たふりしてる間に、エッチなことしてもいいから! 見て見ぬふりするから!」
ね、お願い! て翔真が頼み込んでも、蒼一郎は結局OKしてくれなかった。
暑さに耐え兼ねた翔真がギャーギャー喚き散らす横で、蒼一郎はさっさと郁雅に連絡をして、出掛ける支度をしていく。
「――――あ、そうだ、ショウちゃん、お願いがあるんだけど」
「…何?」
バタバタと暴れたせいで余計に暑くなったのか、翔真は扇風機の首を下向きにして、ぐったりと横たわっていた。
「俺が郁んちに行くこと、真大に黙っててくんない?」
「え?」
蒼一郎の口から出たその名前に、翔真は驚いて目を開けた。
「俺が郁と出掛けたとか言うとさぁ、真大、何か怒るんだよねー」
そう言って蒼一郎は、困ったように肩を竦めてみせた。
翔真は、床に転がったまま、ジッと蒼一郎を見た。首を振る扇風機の風が、汗ばんだ翔真の体を撫でていく。
蒼一郎は本気で分かっていないのだろうか。
真大が何か怒る、の"何か"の意味を。
「だからさぁ、もし真大がここに来て、俺がどこ行ったか聞いたら、分かんないって言っといて? お願い」
「あー…うん、いいけど。でもアイツ、俺になんか聞かないだろ、どうせ」
「え、でも何か誤解が解けたって言ってなかった? この間。仲直りしたんじゃないの?」
「…ぁ、うん」
あの雨の日、何を思ったか、雨宿りをしていた真大を傘に入れて帰った翔真は、真大の誤解を解くことで、ほんの少しだけ心を歩み合せたのだ。
だがもちろん、真大はまだ翔真の言葉を全面的に信用したわけではないようだし、翔真としても、好きだった彼女を信じていたい真大の気持ちも分かるから、このまま自分のことを恨んでいても構わないといったのだ。
ズルイ言い方かもしれないけれど、どちらを信じるかは真大が決めることだから。
それに翔真は、誤解が解けたことを手放しには喜べなかった。
知ってしまった真大の気持ち。
単に憧れや友情で、真大が蒼一郎に懐いているわけではないこと。
蒼一郎は本気で気付いていないのか、分かっていて知らないふりをしているのか、真大が自分に向ける気持ちを、友情で片付けようとしている。
蒼一郎には郁雅がいるのだから、真大から愛情を向けられても困るのは分かるが、2人の事情を知っている翔真としては、どちらかの味方をするというのは心苦しかった。
「じゃ、行ってくるねー」
「あ、うん…」
にこやかに出掛けて行く蒼一郎を、翔真は複雑な気持ちで見送った。
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ 翔さん・・・
柚子季杏 ⇒ 暑さで
翔ちゃんが可愛くなってるww
駄々捏ねる翔ちゃん見れて、何かラッキー( ´艸`)ムププ♪
蒼くんは本当に気付いてないのかしら~?
んーーーそんな風に隠してたら、真実が分かった時、余計にマヒロちゃん傷付きそうだなぁ。
郁ちゃんはどうなのかなぁ?
人の気持ちに聡い翔ちゃん、複雑な立場ですね(´∀`;)
駄々捏ねる翔ちゃん見れて、何かラッキー( ´艸`)ムププ♪
蒼くんは本当に気付いてないのかしら~?
んーーーそんな風に隠してたら、真実が分かった時、余計にマヒロちゃん傷付きそうだなぁ。
郁ちゃんはどうなのかなぁ?
人の気持ちに聡い翔ちゃん、複雑な立場ですね(´∀`;)
りり ⇒ 蒼ちゃんは天然なので
もしかして真大ちゃんの好き、に気付いていないのでしょうか??
知って手知らない振りをしてるのだと思ってました…。
うわー、翔ちゃん何て立場に。
真大ちゃん、蒼ちゃん郁ちゃんのこと知ったら、またがーんてなるんだろうな…。
ううう。報われない恋ばかりしてるような真大ちゃんが可哀想になってきました。
知って手知らない振りをしてるのだと思ってました…。
うわー、翔ちゃん何て立場に。
真大ちゃん、蒼ちゃん郁ちゃんのこと知ったら、またがーんてなるんだろうな…。
ううう。報われない恋ばかりしてるような真大ちゃんが可哀想になってきました。
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
また、翔ちゃんが聡い子だから、余計つらい感じです。
こんなとき、本当は蒼ちゃんがビシッとしなきゃなんですけどねぇ…(^_^;)
コメントありがとうございました!
こんなとき、本当は蒼ちゃんがビシッとしなきゃなんですけどねぇ…(^_^;)
コメントありがとうございました!
- |2009.04.10
- |Fri
- |21:38
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
> 翔ちゃんが可愛くなってるww
普段は大人びてますが、翔ちゃんもまだ大学2年生なんでね。
たまには年相応な感じで。
> 人の気持ちに聡い翔ちゃん、複雑な立場ですね(´∀`;)
気付いてしまうから余計につらくなってしまうんですよね。
蒼ちゃん、しっかりしなよ……て、書いてて何度思ったことか。
この頼りなさが、郁ちゃんにはたまんないんでしょうか??
コメントありがとうございました!
普段は大人びてますが、翔ちゃんもまだ大学2年生なんでね。
たまには年相応な感じで。
> 人の気持ちに聡い翔ちゃん、複雑な立場ですね(´∀`;)
気付いてしまうから余計につらくなってしまうんですよね。
蒼ちゃん、しっかりしなよ……て、書いてて何度思ったことか。
この頼りなさが、郁ちゃんにはたまんないんでしょうか??
コメントありがとうございました!
- |2009.04.10
- |Fri
- |21:40
- |URL
- |EDIT|
如月久美子 ⇒ Re: 蒼ちゃんは天然なので
> もしかして真大ちゃんの好き、に気付いていないのでしょうか??
> 知って手知らない振りをしてるのだと思ってました…。
真大タンも結構あからさまなんでね。
蒼ちゃん、気付いてないふりなら、大した演技です。
> ううう。報われない恋ばかりしてるような真大ちゃんが可哀想になってきました。
素直じゃないし、嫌な感じの役回りばかりさせていますが、真大タン、意外とかわいそうな子なんです。
彼が報われる日はまだまだ先になりそうですが…(^_^;)
お付き合いくださいね。
コメントありがとうございました!
> 知って手知らない振りをしてるのだと思ってました…。
真大タンも結構あからさまなんでね。
蒼ちゃん、気付いてないふりなら、大した演技です。
> ううう。報われない恋ばかりしてるような真大ちゃんが可哀想になってきました。
素直じゃないし、嫌な感じの役回りばかりさせていますが、真大タン、意外とかわいそうな子なんです。
彼が報われる日はまだまだ先になりそうですが…(^_^;)
お付き合いくださいね。
コメントありがとうございました!
- |2009.04.10
- |Fri
- |21:45
- |URL
- |EDIT|