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6月 離れて歩くずぶ濡れ相合傘。 (10)
2009.04.04 Sat
――――今までずっと天気よかったのに!
確かに数日前までは、長期予報は的中していた。
雨の殆ど降らない空梅雨。
けれど、いつの間にか週間予報には傘のマークが並んでいるし、悔しいことにその予報も当たっている。
バイトを終えた翔真は、徐々に強まる雨足に、思わず舌打ちをした。
寮まではまだ距離があるし……こっからだと、彼女の家のほうが近い…。
(でも急に行くと嫌がるんだよなぁ、部屋汚いとか言って)
翔真としては、別にそういうのはあまり気にしないんだけど。
というか、"汚い"て打ち明けている時点で、今さらという気がするし、本当の理由が別にあるんだとしたら…とか考えたくないから、余計なことは言わないが。
一応、電話してみようか……翔真は、バッグの中から携帯電話を取り出そうと、なるべく雨の当たらない、店の軒下に入って傘を閉じた。
(――――あれ…?)
道路の向こう、シャッターの下りているビルの軒先に駆け込む人影。
傘は持っていないようで、ようやく雨の当たらない場所に落ち着いて、濡れた体を拭っている。
「真大…?」
別に何のつもりもないのに、翔真はバッグの中の携帯電話を握ったまま、次の動作に移れずにいた。
傘はないようで、真大は、止みそうもない空を困ったように見上げている。
どうして、そんなことをしたのかは、翔真自身もよく分からない。
後になって聞かれても、気付けば足が動いていた、としか言ってみようがない。
手にしていた携帯電話を再びバッグの中に戻すと、傘を開いて1歩踏み出した。
道路を横断して、近付いていく。
真大はまだ気付いていない。
「――――何してんの、お前」
スッと、差し出す傘。
突然の翔真の声に、弾かれたように真大が顔を上げる。
「ッ…山口、」
「呼び捨てかよ、ムカつくなぁ」
けれど翔真は、真大のほうに差し出した傘を、引っ込めはしなかった。
どうしてだろう、翔真はひどく自分を嫌っている相手に、傘を差し出している。
「アンタこそっ…、何してんだよ」
明らかに動揺しているくせに、それを悟られまいと、真大はジッと翔真の目を見て、低い声を出した。
「バイト帰り」
「そうじゃなくて、」
どうして傘なんて。
翔真の意図が読めない。
変な勘繰りかもしれないが、そう思うだけのことをしてきている自覚だけなら、真大にもある。
「傘ないんだろ? 入ってけば?」
「ヤダよ! 何でアンタの傘になんかっ」
「どうせ寮に戻るんだろ?」
噛み付くような真大の言葉も、まるで気にしていないように、翔真は冷静に受け答える。
カッとなって1人で熱くなっている自分がバカみたいで、真大は気持ちを落ち着けるように1度大きく息をついた。
確かに数日前までは、長期予報は的中していた。
雨の殆ど降らない空梅雨。
けれど、いつの間にか週間予報には傘のマークが並んでいるし、悔しいことにその予報も当たっている。
バイトを終えた翔真は、徐々に強まる雨足に、思わず舌打ちをした。
寮まではまだ距離があるし……こっからだと、彼女の家のほうが近い…。
(でも急に行くと嫌がるんだよなぁ、部屋汚いとか言って)
翔真としては、別にそういうのはあまり気にしないんだけど。
というか、"汚い"て打ち明けている時点で、今さらという気がするし、本当の理由が別にあるんだとしたら…とか考えたくないから、余計なことは言わないが。
一応、電話してみようか……翔真は、バッグの中から携帯電話を取り出そうと、なるべく雨の当たらない、店の軒下に入って傘を閉じた。
(――――あれ…?)
道路の向こう、シャッターの下りているビルの軒先に駆け込む人影。
傘は持っていないようで、ようやく雨の当たらない場所に落ち着いて、濡れた体を拭っている。
「真大…?」
別に何のつもりもないのに、翔真はバッグの中の携帯電話を握ったまま、次の動作に移れずにいた。
傘はないようで、真大は、止みそうもない空を困ったように見上げている。
どうして、そんなことをしたのかは、翔真自身もよく分からない。
後になって聞かれても、気付けば足が動いていた、としか言ってみようがない。
手にしていた携帯電話を再びバッグの中に戻すと、傘を開いて1歩踏み出した。
道路を横断して、近付いていく。
真大はまだ気付いていない。
「――――何してんの、お前」
スッと、差し出す傘。
突然の翔真の声に、弾かれたように真大が顔を上げる。
「ッ…山口、」
「呼び捨てかよ、ムカつくなぁ」
けれど翔真は、真大のほうに差し出した傘を、引っ込めはしなかった。
どうしてだろう、翔真はひどく自分を嫌っている相手に、傘を差し出している。
「アンタこそっ…、何してんだよ」
明らかに動揺しているくせに、それを悟られまいと、真大はジッと翔真の目を見て、低い声を出した。
「バイト帰り」
「そうじゃなくて、」
どうして傘なんて。
翔真の意図が読めない。
変な勘繰りかもしれないが、そう思うだけのことをしてきている自覚だけなら、真大にもある。
「傘ないんだろ? 入ってけば?」
「ヤダよ! 何でアンタの傘になんかっ」
「どうせ寮に戻るんだろ?」
噛み付くような真大の言葉も、まるで気にしていないように、翔真は冷静に受け答える。
カッとなって1人で熱くなっている自分がバカみたいで、真大は気持ちを落ち着けるように1度大きく息をついた。
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COMMENT-FORM
伽羅 ⇒ おぉ!!
サルとイヌが雨の中で!!←(失礼)
もぉね、タイトルがすぐに思い浮べよね!!(笑)
犬猿の仲も理由さえ解れば、少しは違うのに・・・
寮まで何か会話するのかな? ( ̄ー ̄)ニヤリッ
もぉね、タイトルがすぐに思い浮べよね!!(笑)
犬猿の仲も理由さえ解れば、少しは違うのに・・・
寮まで何か会話するのかな? ( ̄ー ̄)ニヤリッ
- |2009.04.04
- |Sat
- |08:53
- |URL
- |EDIT|
りり ⇒ 展開が!
一方的に嫌われてるのに、傘を差しだした翔ちゃん偉い!
これで何か分かるのかな。
真大ちゃんの誤解(?)解けるのかな。
真大ちゃんが何だか痛々しくて。
嫌な態度をとり続けるのも、自分も辛いんじゃないかと。
早く仲良くなるといいなと思います。
だって相合い傘だし!
これで何か分かるのかな。
真大ちゃんの誤解(?)解けるのかな。
真大ちゃんが何だか痛々しくて。
嫌な態度をとり続けるのも、自分も辛いんじゃないかと。
早く仲良くなるといいなと思います。
だって相合い傘だし!
如月久美子 ⇒ >伽羅さん
前話で6月終わりと思いきや、今回メインの翔ちゃん登場です。
> 犬猿の仲も理由さえ解れば、少しは違うのに・・・
そうなんですよね。
今のところ、真大タンが一方的に大嫌い! てだけなんで…。
> 寮まで何か会話するのかな? ( ̄ー ̄)ニヤリッ
この道のりの間で、何かが変われば、ですが(苦笑)
コメントありがとうございました!
> 犬猿の仲も理由さえ解れば、少しは違うのに・・・
そうなんですよね。
今のところ、真大タンが一方的に大嫌い! てだけなんで…。
> 寮まで何か会話するのかな? ( ̄ー ̄)ニヤリッ
この道のりの間で、何かが変われば、ですが(苦笑)
コメントありがとうございました!
如月久美子 ⇒ >りりさん
> 一方的に嫌われてるのに、傘を差しだした翔ちゃん偉い!
翔ちゃん、やっぱり大人ですよ。
真大タンが傘に入ったのは、完全に悔し紛れですが(苦笑)
> 嫌な態度をとり続けるのも、自分も辛いんじゃないかと。
そうですよね。
人を嫌いでいるのも、好きになるのと同じくらいにパワーがいることだと思います。
嫌なら無視すればいいのに、そうも出来ない真大タン。
意外と不器用な子かもしれません。
コメントありがとうございました!
翔ちゃん、やっぱり大人ですよ。
真大タンが傘に入ったのは、完全に悔し紛れですが(苦笑)
> 嫌な態度をとり続けるのも、自分も辛いんじゃないかと。
そうですよね。
人を嫌いでいるのも、好きになるのと同じくらいにパワーがいることだと思います。
嫌なら無視すればいいのに、そうも出来ない真大タン。
意外と不器用な子かもしれません。
コメントありがとうございました!