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君は愛しいヘムロック (前編)
2008.02.12 Tue
「やっぱ、手作りっしょ?」
唐突に拓海にそう言われたとき、悠也は八尾から借りたDVDに夢中になっていて、言葉を聞きそびれてしまった。
「は? 何か言った?」
視線は画面に向けたまま、悠也は問い返す。
拓海はそれにもへこたれず、もう1度、「手作りがいいよね?」と言った。
「手作りー?」
気持ちは完全にDVDだ。
声を掛けられて、気が散ってしょうがない。
「そう、手作りだよね、やっぱv」
グイ、と、悠也の視界に拓海が割り込んでくる。
「…………拓海、邪魔……」
「手作り、手作り!」
「……何が?」
この会話に参加しないことには、いつまで経っても埒が明かないと判断した悠也は、仕方なくDVDを一時停止させ、拓海のほうを向き直った。
「僕に分かるように、ちゃんと説明しなさい、拓海くん」
「だーかーらー、手作りだってば!」
「何が」
「チョコ」
「チョコ? …………それは、お猪口のほうの"チョコ"、ではなくて」
「ではなくて」
となると、悠也に思い付く"チョコ"といえば、チョコレートのほうのチョコしかない。
「…………で、チョコがどうしたって?」
「だから、手作り!!」
先ほどから懸命に、"手作り"と"チョコ"というキーワードを訴えてくる拓海だが、悠也はまだピンと来ていない様子で、小首を傾げている。
「だからぁ、手作りチョコ!」
「……手作りチョコ~?」
思い切り不審そうに、悠也は眉を顰めた。
「そう、手作りチョコ。ちょうだい?」
「……えーっと、拓海くん。君の言っていることを纏めると、俺が手作りのチョコを作って、君にプレゼントしろ、と」
「そうです」
「イヤ」
満面の笑みで頷く拓海に、悠也の冷たい一言。
「えぇ~~~!!?? 何でぇ!? 何でぇ!?」
案の定、拓海は大きな声で喚き出した。
「うるせぇよ! 声デカイっつーの。大体何で俺がお前に、わざわざチョコ作ってプレゼントしなきゃなんねぇんだよ」
「だってバレンタインじゃん!」
「知らねぇよ! そういうのは女にねだれって! いくらでもくれる女いるだろ?」
「いるけどさぁ!」
悠也の嫌味を込めたセリフを、聞き流すでもなくあっさりと肯定して、拓海は更に捲くし立てる。
「違くて! そういうんじゃねぇの! 俺は悠ちゃんから欲しいの!」
「何で! 俺は男だ!」
「知ってるよ! 知ってるけどー。ちょうだい、ちょうだい!」
「面倒臭ぇ…」
「そんな! オーマイガ!! 悠ちゃんの愛の籠もったチョコ!」
大げさなほど頭を抱えて床に突っ伏す拓海に、悠也は面倒臭くなって溜め息をついた。
それより早くDVDの続きが見たい。
「大体さぁ……こんな時期に男がチョコ買いに行くなんて、それだけで恥ずかしいんですけど…」
バレンタイン向けのチョコを売っている店は、どこだって女の子たちで溢れ返っている。そこで男がチョコを持ってレジに並ぶなんて……考えただけでも末恐ろしい。
しかも拓海は手作りチョコを望んでいるわけで。
「―――無理!! 無理無理無理! ぜーったい無理!!」
「なぁんで!!」
「じゃあ、拓海がちょうだいよ! 手作りチョコ!」
別にどれほどチョコが食べたいわけでもないし、バレンタインのチョコにこだわるわけではないけれど、男の自分が男にチョコを上げるのだから、その逆があったって、別におかしくはない。
「…………俺が、悠ちゃんに上げるの? チョコを」
「手作りね」
「えっ!?」
「そりゃそうでしょ? だってお前が先に言い出したんじゃん。手作りがいいって」
あんぐり口を開けたまま固まっている拓海を無視して、悠也はDVDを再開させる。
隣で拓海が、「う゛ー」とか「あ゛ー」とか、変な声を出しているが、気にしないことにする。
「じゃあ一緒に作る!?」
拓海なりの、最大限の譲歩、妥協案だったらしい。
拓海はまた、無理やり画面と悠也の間に割り込んできて、女の子が見たら失神ものの眩しい笑顔で、悠也にそう提案してきた。
「何で俺がお前と一緒にチョコ作んなきゃなんねぇんだよ! つーか、テレビ見えな、ちょっ……拓海!」
「だって欲しいんだもーん」
ユサユサ、悠也の体を揺すって、甘えてくる。
「ウザい…」
悠也は拓海を無視して、無理やりDVDの続きを観賞した。
バレンタインということで。1組目はこのカップルです。後編に続きます。
唐突に拓海にそう言われたとき、悠也は八尾から借りたDVDに夢中になっていて、言葉を聞きそびれてしまった。
「は? 何か言った?」
視線は画面に向けたまま、悠也は問い返す。
拓海はそれにもへこたれず、もう1度、「手作りがいいよね?」と言った。
「手作りー?」
気持ちは完全にDVDだ。
声を掛けられて、気が散ってしょうがない。
「そう、手作りだよね、やっぱv」
グイ、と、悠也の視界に拓海が割り込んでくる。
「…………拓海、邪魔……」
「手作り、手作り!」
「……何が?」
この会話に参加しないことには、いつまで経っても埒が明かないと判断した悠也は、仕方なくDVDを一時停止させ、拓海のほうを向き直った。
「僕に分かるように、ちゃんと説明しなさい、拓海くん」
「だーかーらー、手作りだってば!」
「何が」
「チョコ」
「チョコ? …………それは、お猪口のほうの"チョコ"、ではなくて」
「ではなくて」
となると、悠也に思い付く"チョコ"といえば、チョコレートのほうのチョコしかない。
「…………で、チョコがどうしたって?」
「だから、手作り!!」
先ほどから懸命に、"手作り"と"チョコ"というキーワードを訴えてくる拓海だが、悠也はまだピンと来ていない様子で、小首を傾げている。
「だからぁ、手作りチョコ!」
「……手作りチョコ~?」
思い切り不審そうに、悠也は眉を顰めた。
「そう、手作りチョコ。ちょうだい?」
「……えーっと、拓海くん。君の言っていることを纏めると、俺が手作りのチョコを作って、君にプレゼントしろ、と」
「そうです」
「イヤ」
満面の笑みで頷く拓海に、悠也の冷たい一言。
「えぇ~~~!!?? 何でぇ!? 何でぇ!?」
案の定、拓海は大きな声で喚き出した。
「うるせぇよ! 声デカイっつーの。大体何で俺がお前に、わざわざチョコ作ってプレゼントしなきゃなんねぇんだよ」
「だってバレンタインじゃん!」
「知らねぇよ! そういうのは女にねだれって! いくらでもくれる女いるだろ?」
「いるけどさぁ!」
悠也の嫌味を込めたセリフを、聞き流すでもなくあっさりと肯定して、拓海は更に捲くし立てる。
「違くて! そういうんじゃねぇの! 俺は悠ちゃんから欲しいの!」
「何で! 俺は男だ!」
「知ってるよ! 知ってるけどー。ちょうだい、ちょうだい!」
「面倒臭ぇ…」
「そんな! オーマイガ!! 悠ちゃんの愛の籠もったチョコ!」
大げさなほど頭を抱えて床に突っ伏す拓海に、悠也は面倒臭くなって溜め息をついた。
それより早くDVDの続きが見たい。
「大体さぁ……こんな時期に男がチョコ買いに行くなんて、それだけで恥ずかしいんですけど…」
バレンタイン向けのチョコを売っている店は、どこだって女の子たちで溢れ返っている。そこで男がチョコを持ってレジに並ぶなんて……考えただけでも末恐ろしい。
しかも拓海は手作りチョコを望んでいるわけで。
「―――無理!! 無理無理無理! ぜーったい無理!!」
「なぁんで!!」
「じゃあ、拓海がちょうだいよ! 手作りチョコ!」
別にどれほどチョコが食べたいわけでもないし、バレンタインのチョコにこだわるわけではないけれど、男の自分が男にチョコを上げるのだから、その逆があったって、別におかしくはない。
「…………俺が、悠ちゃんに上げるの? チョコを」
「手作りね」
「えっ!?」
「そりゃそうでしょ? だってお前が先に言い出したんじゃん。手作りがいいって」
あんぐり口を開けたまま固まっている拓海を無視して、悠也はDVDを再開させる。
隣で拓海が、「う゛ー」とか「あ゛ー」とか、変な声を出しているが、気にしないことにする。
「じゃあ一緒に作る!?」
拓海なりの、最大限の譲歩、妥協案だったらしい。
拓海はまた、無理やり画面と悠也の間に割り込んできて、女の子が見たら失神ものの眩しい笑顔で、悠也にそう提案してきた。
「何で俺がお前と一緒にチョコ作んなきゃなんねぇんだよ! つーか、テレビ見えな、ちょっ……拓海!」
「だって欲しいんだもーん」
ユサユサ、悠也の体を揺すって、甘えてくる。
「ウザい…」
悠也は拓海を無視して、無理やりDVDの続きを観賞した。
バレンタインということで。1組目はこのカップルです。後編に続きます。
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