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二月 原点はチョコレートじゃない (5)
2009.02.14 Sat
今日がバレンタインデーだということは、男である以上、祐介だって知っているし、気にもしていた。
そして義理とはいえ、バイト先の女性の先輩がチョコをくれるであろうことも予想していた。もちろんそれは、祐介だけでなく、他の男性陣全員にだ。
義理チョコをへたに断るのも不自然だし、受け取るのが礼儀だろうと思ったが、貰った後で祐介は、和衣にどう説明しようかと、ふと我に返った。
ヤキモチ妬きな恋人は、たとえ義理でも、女性から貰ったチョコを見て、快くは思わないだろう。
かといって、貰ったものを返すとか、ましてや捨てるなんてまねが出来るはずもなくて、結局祐介は、それをカバンにしまって帰宅した。
祐介の同室者は、後期のテストが終わった後、春休みに入った途端に帰郷した。地元で車の免許を取るのが目的らしい。
1人の部屋、机に向かって腕組みをしながら、祐介はカバンから取り出したチョコの包みを眺めながら、ボンヤリと和衣への言い訳を考えていた。
きっと黙っていて、後でバレたほうが、傷は深そうだ。
というか、黙っていることを後ろめたいと感じている時点で、やっぱり隠しておいたらいけない気がする。
あ、でもバレないうちに食べるってのも、1つの手かも…………いやいや、でも結局それって隠しておくのと一緒だし、…………てか、たかが義理チョコ1個で、何こんなに悩んでんだ!?
「祐介ー!」
「うわぁっ!?」
1人で鬱々と考え込んでいた祐介は、ノックの音に気が付かなかった。
いや、気が付いたとしても、ノックとほぼ同時に部屋に上がり込んできた和衣には、返事も間に合わなかっただろう。
和衣は、驚きのあまり椅子から落っこちそうになっていた祐介に抱き付いた。
「えへへ。はい、チョコ」
「…………え、」
突然目の前に差し出されたかわいい包み。
祐介は何度か瞬きをしてから、和衣に視線を移した。
「え?」
「バレンタインのチョコ。祐介に上げる」
「え、あ…ありがと…」
呆然としたまま、祐介はそれを受け取った。
義理チョコを貰って、どうしようかとばかり考えていて、まさか和衣がくれるとまでは思っていなかったから、驚きを隠せない。
というか。
(俺、和衣にチョコ用意してない…!!)
だって生まれてこの方、チョコを貰うことはあっても、上げたことなんかないから、今日だってそんな発想、まったくなかった。
自分の考えの貧困さに、嫌気が差す。
「あ…あの、和衣、俺…」
「あっ、チョコ!」
「あ、うん、その俺…」
「祐介も用意しててくれたんだ!」
「えっ!?」
いや、何も用意してなかったから、謝ろうとしてたんだけど……と、祐介が言い訳するよりも先、嬉しそうな声で手を伸ばした和衣が取ったのは、机の上に置きっ放しになっていた、例の義理チョコ。
「あ、いや、それは…」
「嬉しー! ありがとう、祐介!」
「え、あ、うん…」
いや、本当はそうではなかったんだけれど、でも喜んでいる和衣の気持ちに水を差すのも何だし、えっと、そういうことにしてしまってもいいのかな…?
「祐介、大好き!」
「え、うん、俺も…」
本当に嬉しそうに抱き付いてくる和衣に、祐介は、来年こそちゃんと自分でチョコを用意しようと、心に決めた。
そして義理とはいえ、バイト先の女性の先輩がチョコをくれるであろうことも予想していた。もちろんそれは、祐介だけでなく、他の男性陣全員にだ。
義理チョコをへたに断るのも不自然だし、受け取るのが礼儀だろうと思ったが、貰った後で祐介は、和衣にどう説明しようかと、ふと我に返った。
ヤキモチ妬きな恋人は、たとえ義理でも、女性から貰ったチョコを見て、快くは思わないだろう。
かといって、貰ったものを返すとか、ましてや捨てるなんてまねが出来るはずもなくて、結局祐介は、それをカバンにしまって帰宅した。
祐介の同室者は、後期のテストが終わった後、春休みに入った途端に帰郷した。地元で車の免許を取るのが目的らしい。
1人の部屋、机に向かって腕組みをしながら、祐介はカバンから取り出したチョコの包みを眺めながら、ボンヤリと和衣への言い訳を考えていた。
きっと黙っていて、後でバレたほうが、傷は深そうだ。
というか、黙っていることを後ろめたいと感じている時点で、やっぱり隠しておいたらいけない気がする。
あ、でもバレないうちに食べるってのも、1つの手かも…………いやいや、でも結局それって隠しておくのと一緒だし、…………てか、たかが義理チョコ1個で、何こんなに悩んでんだ!?
「祐介ー!」
「うわぁっ!?」
1人で鬱々と考え込んでいた祐介は、ノックの音に気が付かなかった。
いや、気が付いたとしても、ノックとほぼ同時に部屋に上がり込んできた和衣には、返事も間に合わなかっただろう。
和衣は、驚きのあまり椅子から落っこちそうになっていた祐介に抱き付いた。
「えへへ。はい、チョコ」
「…………え、」
突然目の前に差し出されたかわいい包み。
祐介は何度か瞬きをしてから、和衣に視線を移した。
「え?」
「バレンタインのチョコ。祐介に上げる」
「え、あ…ありがと…」
呆然としたまま、祐介はそれを受け取った。
義理チョコを貰って、どうしようかとばかり考えていて、まさか和衣がくれるとまでは思っていなかったから、驚きを隠せない。
というか。
(俺、和衣にチョコ用意してない…!!)
だって生まれてこの方、チョコを貰うことはあっても、上げたことなんかないから、今日だってそんな発想、まったくなかった。
自分の考えの貧困さに、嫌気が差す。
「あ…あの、和衣、俺…」
「あっ、チョコ!」
「あ、うん、その俺…」
「祐介も用意しててくれたんだ!」
「えっ!?」
いや、何も用意してなかったから、謝ろうとしてたんだけど……と、祐介が言い訳するよりも先、嬉しそうな声で手を伸ばした和衣が取ったのは、机の上に置きっ放しになっていた、例の義理チョコ。
「あ、いや、それは…」
「嬉しー! ありがとう、祐介!」
「え、あ、うん…」
いや、本当はそうではなかったんだけれど、でも喜んでいる和衣の気持ちに水を差すのも何だし、えっと、そういうことにしてしまってもいいのかな…?
「祐介、大好き!」
「え、うん、俺も…」
本当に嬉しそうに抱き付いてくる和衣に、祐介は、来年こそちゃんと自分でチョコを用意しようと、心に決めた。
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柚子季杏 ⇒ ゆっちww
恋する男はみんなカワイー!!
ゆっちったらもう~( ´艸`)ムププ♪
開けて「義理」とか書いてあるタイプのじゃありませんように!←
カズちゃんが喜んでるから、ま、いいんだよww
もう2月も終りですか?
次の月で最後?
終わっちゃうの寂しいなぁ~゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
ゆっちったらもう~( ´艸`)ムププ♪
開けて「義理」とか書いてあるタイプのじゃありませんように!←
カズちゃんが喜んでるから、ま、いいんだよww
もう2月も終りですか?
次の月で最後?
終わっちゃうの寂しいなぁ~゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
ゆっちさんは、一番の常識人なんでね。
バレンタインにチョコを贈らなきゃ! なんて、思いもよらなかったみたいです(笑)
> 開けて「義理」とか書いてあるタイプのじゃありませんように!←
私もそれを考えっちゃったんですが、カズちゃんを悲しませたくないんで、ちゃんとしたヤツだったてことで(^_^;)
明日から3月です~。
とうとうお話が、実際の季節を追い抜いてしまう…。
コメントありがとうございました!
バレンタインにチョコを贈らなきゃ! なんて、思いもよらなかったみたいです(笑)
> 開けて「義理」とか書いてあるタイプのじゃありませんように!←
私もそれを考えっちゃったんですが、カズちゃんを悲しませたくないんで、ちゃんとしたヤツだったてことで(^_^;)
明日から3月です~。
とうとうお話が、実際の季節を追い抜いてしまう…。
コメントありがとうございました!