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四月 きっとなにかがはじまる (1)
2008.11.28 Fri
いくら2流、3流だとしても、大学にさえ受かってしまえば、こっちのものだ。とりあえずは、人生の猶予期間ってことで、4年間は自由の身である。
そしてこの春、めでたくも同じ大学に合格したのは、小学校からの腐れ縁、秋月亮(アキヅキ リョウ)・九条和衣(クジョウ カズイ)・山口翔真(ヤマグチ ショウマ)の3人。
小中学校は校区が同じだから仕方ないにしても、高校まで一緒だって知ったときには、さすがに笑った。でもそれにしたって、大学まで同じだなんて、腐れ縁もここまで来ると笑うに笑えない。
「しょうがないじゃん、結局頭のレベルが同じなんだから」
ファーストフード店の窓際の席。
バニラシェイクを飲みながらそう言ったのは、和衣。
隣の翔真も無言で『ウンウン』と頷いているが、向かい側の亮だけは、まだ現実を直視できないような顔でチーズバーガーに齧(かぶ)り付いた。
「そんなに嫌なら、別んとこ行きゃー良かったのに」
「ショウちゃん、それを言ったら、ここしか受かんなかった亮がかわいそうだよ」
「あぁー……じゃあ、俺たちが受かった別の大学に入学すれば良かったかなぁ?」
「うるせぇよ!」
亮抜きに勝手なことを言っている隣の2人に、とりあえず突っ込んでおく。
そうは言っても、別に今さら浪人までして他の大学を受け直すつもりもないし、2人に、一緒は嫌だから他の大学に入学してくれなんて言うつもりもない。
高校生活最後の春休みを、相も変らぬ3人で過ごしている時点で、何となく離れられないような運命を感じてみたり。
「―――あ、あの子、かわいい」
亮のトレイからポテトを1本失敬した翔真が、窓ガラスの向こうを指差した。
「どれどれ?」
すぐに興味を示す亮と和衣。
「あの、ニットのロングカーデの子」
「白の?」
「そうそう」
言われて視線を向ければ、ガラスの向こう、ミディアムウルフの黒髪の子が携帯電話を掛けている。
前髪は少し長めで、羽織っている白いニットのロングカーディガンの袖も長めで、指先がちょこんと覗いていて、確かにかわいい。
「待ち合わせかな」
携帯電話を耳に押し当てたまま、彼女の表情はみるみる曇っていく。何か会話している様子もないまま電話を切っているところを見ると、相手はどうやら電話に出なかったようだ。
「彼氏がデートの待ち合わせに遅刻、ってとこか」
3人が、ガラス越しの彼女の状況を好き勝手に言っていると、カバンに携帯電話をしまった彼女のもとに、いかにも遊んでいるふうな若い男の2人連れが近付いていった。
「ナンパか?」
挟むように両脇に立った男たちは、笑いながら、何やら彼女に話しかけている。ただでさえ曇っていた彼女の表情が、ますます険しくなる。
「ナンパされて付いていくに1票」
「断わって逃げるに1票」
「ちょうどいいタイミングで彼氏が助けに来るに1票」
まさかガラス越しのファーストフード店の店内で、そんなことを話されているとは思ってもみないだろう、彼女は不機嫌そうな顔のまま、男たちに何か言い返している。
しかしそんなことお構いなしといった感じで、1人が彼女の肩を抱いた。
「おぉ!? やっぱ付いてくか!?」
勝手に盛り上がる3人。
しかしその直後に彼女が取った行動は、亮たち3人も、声を掛けた2人連れもまったく予想だにしていないものだった。
そしてこの春、めでたくも同じ大学に合格したのは、小学校からの腐れ縁、秋月亮(アキヅキ リョウ)・九条和衣(クジョウ カズイ)・山口翔真(ヤマグチ ショウマ)の3人。
小中学校は校区が同じだから仕方ないにしても、高校まで一緒だって知ったときには、さすがに笑った。でもそれにしたって、大学まで同じだなんて、腐れ縁もここまで来ると笑うに笑えない。
「しょうがないじゃん、結局頭のレベルが同じなんだから」
ファーストフード店の窓際の席。
バニラシェイクを飲みながらそう言ったのは、和衣。
隣の翔真も無言で『ウンウン』と頷いているが、向かい側の亮だけは、まだ現実を直視できないような顔でチーズバーガーに齧(かぶ)り付いた。
「そんなに嫌なら、別んとこ行きゃー良かったのに」
「ショウちゃん、それを言ったら、ここしか受かんなかった亮がかわいそうだよ」
「あぁー……じゃあ、俺たちが受かった別の大学に入学すれば良かったかなぁ?」
「うるせぇよ!」
亮抜きに勝手なことを言っている隣の2人に、とりあえず突っ込んでおく。
そうは言っても、別に今さら浪人までして他の大学を受け直すつもりもないし、2人に、一緒は嫌だから他の大学に入学してくれなんて言うつもりもない。
高校生活最後の春休みを、相も変らぬ3人で過ごしている時点で、何となく離れられないような運命を感じてみたり。
「―――あ、あの子、かわいい」
亮のトレイからポテトを1本失敬した翔真が、窓ガラスの向こうを指差した。
「どれどれ?」
すぐに興味を示す亮と和衣。
「あの、ニットのロングカーデの子」
「白の?」
「そうそう」
言われて視線を向ければ、ガラスの向こう、ミディアムウルフの黒髪の子が携帯電話を掛けている。
前髪は少し長めで、羽織っている白いニットのロングカーディガンの袖も長めで、指先がちょこんと覗いていて、確かにかわいい。
「待ち合わせかな」
携帯電話を耳に押し当てたまま、彼女の表情はみるみる曇っていく。何か会話している様子もないまま電話を切っているところを見ると、相手はどうやら電話に出なかったようだ。
「彼氏がデートの待ち合わせに遅刻、ってとこか」
3人が、ガラス越しの彼女の状況を好き勝手に言っていると、カバンに携帯電話をしまった彼女のもとに、いかにも遊んでいるふうな若い男の2人連れが近付いていった。
「ナンパか?」
挟むように両脇に立った男たちは、笑いながら、何やら彼女に話しかけている。ただでさえ曇っていた彼女の表情が、ますます険しくなる。
「ナンパされて付いていくに1票」
「断わって逃げるに1票」
「ちょうどいいタイミングで彼氏が助けに来るに1票」
まさかガラス越しのファーストフード店の店内で、そんなことを話されているとは思ってもみないだろう、彼女は不機嫌そうな顔のまま、男たちに何か言い返している。
しかしそんなことお構いなしといった感じで、1人が彼女の肩を抱いた。
「おぉ!? やっぱ付いてくか!?」
勝手に盛り上がる3人。
しかしその直後に彼女が取った行動は、亮たち3人も、声を掛けた2人連れもまったく予想だにしていないものだった。
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COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ 新連載!
幼馴染モノですか?!
それだけで悶えるのですが・・・そこに新たな登場人物が加わるのかな?
楽しみです~~♪
12ヶ月ってことは、12章からなるお話?
わ~~い、毎朝の楽しみ増えました(*´∀`*)
これからの展開に期待大!
それだけで悶えるのですが・・・そこに新たな登場人物が加わるのかな?
楽しみです~~♪
12ヶ月ってことは、12章からなるお話?
わ~~い、毎朝の楽しみ増えました(*´∀`*)
これからの展開に期待大!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
もうすぐ12月だってのに、4月のお話。
笑ってください。
今回は、登場人物大量です~~。
みなさんに覚えてもらえるのか、心配です…(-"-)
コメントありがとうございました!
笑ってください。
今回は、登場人物大量です~~。
みなさんに覚えてもらえるのか、心配です…(-"-)
コメントありがとうございました!
りり ⇒ わ~~~い新連載だーー!!
わ~。12ヶ月っていうのがとっても素敵な趣向ですね。
何か若い男の子達の品定め的な感じがありそうで可愛いです。
この女の子の対応が気になる(笑
登場人物いっぱいは楽しそうです。
わrたしはいつももの凄くすこししか出せないんですけど…
(かき分ける力がない凹
楽しみに読ませていただきます!!
何か若い男の子達の品定め的な感じがありそうで可愛いです。
この女の子の対応が気になる(笑
登場人物いっぱいは楽しそうです。
わrたしはいつももの凄くすこししか出せないんですけど…
(かき分ける力がない凹
楽しみに読ませていただきます!!
如月久美子 ⇒ >りりさん
全何話になるか分かりませんが、この冬いっぱいを掛けて、12か月、春夏秋冬が過ぎ去っていくと思われます…!!
登場人物いっぱいなのは、書くのが楽しい反面、みなさんに覚えてもらえるやら、心配もありますが……どうかかわいがってあげてください。
コメントありがとうございました!
登場人物いっぱいなのは、書くのが楽しい反面、みなさんに覚えてもらえるやら、心配もありますが……どうかかわいがってあげてください。
コメントありがとうございました!