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彼の愛情表現は分かりづらい (16)
2016.07.06 Wed
「これ、こんなにあっさり、お姫様抱っこしないほうがよかったんじゃない?」
グラスを持った手の人差し指だけ立てて、千尋はテレビ画面を差した。
やはり恋人が他の女の子をお姫様抱っこしているシーンなんて、たとえそれが仕事だと分かっていても、あまり見たいものではない、というのは、千尋も同じだったようだ。
昔付き合った女の子で、お姫様抱っこや恋愛ドラマで定番のキスシーンまで、恋人らしく振る舞う演技があるものについて、結構ガンガン責め立ててくる子がいたけれど、そのときは、嫌なら見ないでよ…と思ったものだが、千尋の場合、自分では特に見たいと思っていたわけではないものを見て、こんなシーンを目の当たりにするはめになったのだから、何か言いたくなっても仕方がない。
「いや、あの、これはね、」
「やっぱり、もうちょっと大変そうな感じでやったほうがよかったんじゃないの? テレビ的に。1回失敗するとかさ。ちょっとあっさり持ち上げすぎだよ」
「はい?」
いや、ちょっと待って、何その感想。
大和が思っていたのと、何か違う気がする…。
「重たくて持ち上がんなかった、ていうほうが、テレビ的にはおもしろいんじゃないの? それか、誰かやっても持ち上がんなかったの、大和くんがやったら持ち上がった、て演出か。違う?」
「え…、えーっと…」
何そのプロデューサー目線。
いや、まぁ確かに、『体重が重たいから、お姫様抱っこされたことがない』という前振りがあったわけだし、何人かやってみて、結果として誰も出来なかったか、最後の1人が成功した、というほうがよかったのかもしれない――――でも。
「あの、その、ちーちゃん的には、俺がこの子をお姫様抱っこするのは、よかったわけ?」
「このメンツ……て言っても知らない人もいるけど、殆ど芸人さんなんでしょ? だったらやっぱ、大和くんがお姫様抱っこするべきなんじゃない? 大和くんが失敗して、他の芸人さんが成功したんじゃ、カッコ付かないじゃん。そのほうがヤダ。さっきのあんな筋肉に負けないでよ!」
「筋肉に、て…」
恐らく先ほど上半身裸になった芸人さんのことを言っているのだろうけれど、なるほど、そういう考え方もあるのか。
こういうシーンを見て感じることは、嫉妬心ばかりではないのだと、大和は初めて気が付いた。
「でもまぁ、お姫様抱っこって、いや、そりゃ体重が軽いほうがやりやすいけど、コツがあるから、多少重くたって出来なくはないし」
「多少じゃないでしょ、この子。見るからに重そうじゃん」
「まぁそうなんだけど…」
本人がそれを売りにしているから、テレビ上、体重が重たいことを指摘しても笑って済まされるだろうけど、それにしても、千尋の言い草ときたら…。
いや、本人を前にしない、テレビを見ている人の感想なんて、みんなこんなものなのかもしれないが。
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グラスを持った手の人差し指だけ立てて、千尋はテレビ画面を差した。
やはり恋人が他の女の子をお姫様抱っこしているシーンなんて、たとえそれが仕事だと分かっていても、あまり見たいものではない、というのは、千尋も同じだったようだ。
昔付き合った女の子で、お姫様抱っこや恋愛ドラマで定番のキスシーンまで、恋人らしく振る舞う演技があるものについて、結構ガンガン責め立ててくる子がいたけれど、そのときは、嫌なら見ないでよ…と思ったものだが、千尋の場合、自分では特に見たいと思っていたわけではないものを見て、こんなシーンを目の当たりにするはめになったのだから、何か言いたくなっても仕方がない。
「いや、あの、これはね、」
「やっぱり、もうちょっと大変そうな感じでやったほうがよかったんじゃないの? テレビ的に。1回失敗するとかさ。ちょっとあっさり持ち上げすぎだよ」
「はい?」
いや、ちょっと待って、何その感想。
大和が思っていたのと、何か違う気がする…。
「重たくて持ち上がんなかった、ていうほうが、テレビ的にはおもしろいんじゃないの? それか、誰かやっても持ち上がんなかったの、大和くんがやったら持ち上がった、て演出か。違う?」
「え…、えーっと…」
何そのプロデューサー目線。
いや、まぁ確かに、『体重が重たいから、お姫様抱っこされたことがない』という前振りがあったわけだし、何人かやってみて、結果として誰も出来なかったか、最後の1人が成功した、というほうがよかったのかもしれない――――でも。
「あの、その、ちーちゃん的には、俺がこの子をお姫様抱っこするのは、よかったわけ?」
「このメンツ……て言っても知らない人もいるけど、殆ど芸人さんなんでしょ? だったらやっぱ、大和くんがお姫様抱っこするべきなんじゃない? 大和くんが失敗して、他の芸人さんが成功したんじゃ、カッコ付かないじゃん。そのほうがヤダ。さっきのあんな筋肉に負けないでよ!」
「筋肉に、て…」
恐らく先ほど上半身裸になった芸人さんのことを言っているのだろうけれど、なるほど、そういう考え方もあるのか。
こういうシーンを見て感じることは、嫉妬心ばかりではないのだと、大和は初めて気が付いた。
「でもまぁ、お姫様抱っこって、いや、そりゃ体重が軽いほうがやりやすいけど、コツがあるから、多少重くたって出来なくはないし」
「多少じゃないでしょ、この子。見るからに重そうじゃん」
「まぁそうなんだけど…」
本人がそれを売りにしているから、テレビ上、体重が重たいことを指摘しても笑って済まされるだろうけど、それにしても、千尋の言い草ときたら…。
いや、本人を前にしない、テレビを見ている人の感想なんて、みんなこんなものなのかもしれないが。
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