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彼の愛情表現は分かりづらい (7)
2016.06.20 Mon
「てか、ハルちゃんだからいい、ていう理由も…」
遥希からメールも電話も来なくなったら、絶対に寂しくて堪らないくせに、ときどき千尋はこんなふうに遥希に対して『ツン』な態度を取るのだ。
「ん~…、大和くんがそこまで言うなら、見てやるか。しょうがねぇなぁ、ハルちゃんは」
別に大和は、どうしてもメールをチェックしろ、とまでは言っていないし、遥希も全然しょうがなくないのだが、千尋はとんでもなく上から目線でそう言って、フラフラと立ち上がった。
その覚束なくなり始めている足取りに、大和はやはりどうしても不安を覚える。
「ん~…、っとに、ハルちゃんてばバカなんだからー」
スマホ片手に戻って来た千尋は、当然のようにそれに返信することなく投げ出して、新たに注がれたシャンパンに口を付ける。
どんなメールが来たのかは知らないが、千尋の遥希に対する感想は相変わらずだ。
「…ん、と」
グラスは手放さずに、千尋がテレビのリモコンを手に取る。
食事のときはテレビを消して、みたいな食育思考でなく、ただ単にテレビに興味がないだけなのだが、大和が一緒にいるときに、千尋の家でテレビが点いていたことは殆どないから意外だ。
大和がぼんやりと視線をテレビに向けていたら、ザッピングしているだけと思っていた千尋の手が止まる。画面に映っていたのは、大和だ。
「え?」
大和が驚いたように声を上げたのは、そのチャンネルで決定したらしく、千尋がリモコンを置いたことではなく、その後にクルリと大和のほうを振り返ったせいだ。
「え、何?」
「ハルちゃんが、見ろって」
「え? ハルちゃん?」
大和は何も聞いていないのに、先に千尋が答えた。聞きたそうな顔、していただろうか。でも、千尋が大和の表情を窺っていたようにも見えなかったけれど。
遥希からメールが来たことと、言葉の足りない千尋の断片的なセリフを繋げて考えると、どうやら遥希が、大和の出ている番組を見ろと千尋にメールして来たようだ。
これで先ほど千尋の『ハルちゃんてばバカなんだからー』というセリフも合点が行った。千尋は、遥希の熱意に対して、こういう物言いをする男だ。
「バカだよねー」
「いや、俺としては同意しづらいけど…」
バカだとは思わないが、すごい熱意だとは思う。
琉が出ている番組はもれなく録画し、それだけでは飽き足らず、CMだって確実に押さえる遥希は、紛れもない琉ファンだが、千尋が大和と付き合うようになってから、頼まれてもいないのに、大和だけが出ている番組もチェックして、千尋に知らせて来るのだから。
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遥希からメールも電話も来なくなったら、絶対に寂しくて堪らないくせに、ときどき千尋はこんなふうに遥希に対して『ツン』な態度を取るのだ。
「ん~…、大和くんがそこまで言うなら、見てやるか。しょうがねぇなぁ、ハルちゃんは」
別に大和は、どうしてもメールをチェックしろ、とまでは言っていないし、遥希も全然しょうがなくないのだが、千尋はとんでもなく上から目線でそう言って、フラフラと立ち上がった。
その覚束なくなり始めている足取りに、大和はやはりどうしても不安を覚える。
「ん~…、っとに、ハルちゃんてばバカなんだからー」
スマホ片手に戻って来た千尋は、当然のようにそれに返信することなく投げ出して、新たに注がれたシャンパンに口を付ける。
どんなメールが来たのかは知らないが、千尋の遥希に対する感想は相変わらずだ。
「…ん、と」
グラスは手放さずに、千尋がテレビのリモコンを手に取る。
食事のときはテレビを消して、みたいな食育思考でなく、ただ単にテレビに興味がないだけなのだが、大和が一緒にいるときに、千尋の家でテレビが点いていたことは殆どないから意外だ。
大和がぼんやりと視線をテレビに向けていたら、ザッピングしているだけと思っていた千尋の手が止まる。画面に映っていたのは、大和だ。
「え?」
大和が驚いたように声を上げたのは、そのチャンネルで決定したらしく、千尋がリモコンを置いたことではなく、その後にクルリと大和のほうを振り返ったせいだ。
「え、何?」
「ハルちゃんが、見ろって」
「え? ハルちゃん?」
大和は何も聞いていないのに、先に千尋が答えた。聞きたそうな顔、していただろうか。でも、千尋が大和の表情を窺っていたようにも見えなかったけれど。
遥希からメールが来たことと、言葉の足りない千尋の断片的なセリフを繋げて考えると、どうやら遥希が、大和の出ている番組を見ろと千尋にメールして来たようだ。
これで先ほど千尋の『ハルちゃんてばバカなんだからー』というセリフも合点が行った。千尋は、遥希の熱意に対して、こういう物言いをする男だ。
「バカだよねー」
「いや、俺としては同意しづらいけど…」
バカだとは思わないが、すごい熱意だとは思う。
琉が出ている番組はもれなく録画し、それだけでは飽き足らず、CMだって確実に押さえる遥希は、紛れもない琉ファンだが、千尋が大和と付き合うようになってから、頼まれてもいないのに、大和だけが出ている番組もチェックして、千尋に知らせて来るのだから。
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