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彼の愛情表現は分かりづらい (6)
2016.06.18 Sat
「もぉ~! あ~もうっ」
ボロボロに崩れた豆腐を、箸で掻き集めるようにして、ようやく皿に入れた千尋は、1人で怒っている。大和は笑いたいのを我慢しながら、そのかわいい様子を眺めていた。
「ちーちゃんのケータイじゃない? 鳴ってるの」
どこかから聞こえて来たメロディは、聞いただけですぐ着信音と分かるそれだったけれど、千尋は無反応で、しかし大和のものでないのは確かだったから声を掛けてみたのに、千尋はキョトンとしている。
「え、違う?」
「メール。来た」
大和が首を傾げたら、千尋がシャンパンを飲みながら答えた。自分のスマホがメールを受信したと言いたいのだろう。しかし千尋は、スマホを取りに行くまったく気配を見せず、シャンパングラスを空にした。
「はいっ」
「ちょっ…速いってば」
大和のほうに空のグラスを差し出すのは、要は大和にシャンパンを注げ、ということなのだろうが、いや、注ぐぐらいいくらでもやるけれど、だからペースが速いってば!
「いいの? 見なくて」
千尋のグラスにシャンパンを注ぎながら、大和が聞いてみる。
基本的に、メールもメッセージアプリも、来たら見ることは見るけれど、返信が必要な内容でなかったら見るだけで終わり、というのが千尋のスタンスだ。何の受信もないのは寂しくて耐えられないけれど、返信するのは面倒くさい、というとんでもない性格の持ち主であることは、大和ももう十分に知っている。
しかし今は、そのメールを見ることすらしていないわけで…。
大和がいるから、気を遣ってスマホを弄らないようにしている、とか、そんなしおらしい考えからでないことは、大和にも分かる。ただ単に、面倒くさいだけだ。
「いい、いい。どうせハルちゃんだから」
「何で断言できんの」
大和とて、恋人がスマホに夢中になっているよりは、自分との食事を楽しんでくれているほうが嬉しいけれど、仕事柄…というか、職業病というか、仕事の連絡を見逃したらマズイという気持ちが働いてしまうのだ。
「だって、俺にメール寄越すの、ハルちゃんくらいだもん」
他はみんなメッセージアプリでやり取りしているから、別に専用の着信音を設けているわけでもないのに、着信音を聞いただけで、遥希のメールだと分かるのだと千尋は続ける。
なるほど。そういえば、恋人である琉も、そんなこと言っていたっけ。
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ボロボロに崩れた豆腐を、箸で掻き集めるようにして、ようやく皿に入れた千尋は、1人で怒っている。大和は笑いたいのを我慢しながら、そのかわいい様子を眺めていた。
「ちーちゃんのケータイじゃない? 鳴ってるの」
どこかから聞こえて来たメロディは、聞いただけですぐ着信音と分かるそれだったけれど、千尋は無反応で、しかし大和のものでないのは確かだったから声を掛けてみたのに、千尋はキョトンとしている。
「え、違う?」
「メール。来た」
大和が首を傾げたら、千尋がシャンパンを飲みながら答えた。自分のスマホがメールを受信したと言いたいのだろう。しかし千尋は、スマホを取りに行くまったく気配を見せず、シャンパングラスを空にした。
「はいっ」
「ちょっ…速いってば」
大和のほうに空のグラスを差し出すのは、要は大和にシャンパンを注げ、ということなのだろうが、いや、注ぐぐらいいくらでもやるけれど、だからペースが速いってば!
「いいの? 見なくて」
千尋のグラスにシャンパンを注ぎながら、大和が聞いてみる。
基本的に、メールもメッセージアプリも、来たら見ることは見るけれど、返信が必要な内容でなかったら見るだけで終わり、というのが千尋のスタンスだ。何の受信もないのは寂しくて耐えられないけれど、返信するのは面倒くさい、というとんでもない性格の持ち主であることは、大和ももう十分に知っている。
しかし今は、そのメールを見ることすらしていないわけで…。
大和がいるから、気を遣ってスマホを弄らないようにしている、とか、そんなしおらしい考えからでないことは、大和にも分かる。ただ単に、面倒くさいだけだ。
「いい、いい。どうせハルちゃんだから」
「何で断言できんの」
大和とて、恋人がスマホに夢中になっているよりは、自分との食事を楽しんでくれているほうが嬉しいけれど、仕事柄…というか、職業病というか、仕事の連絡を見逃したらマズイという気持ちが働いてしまうのだ。
「だって、俺にメール寄越すの、ハルちゃんくらいだもん」
他はみんなメッセージアプリでやり取りしているから、別に専用の着信音を設けているわけでもないのに、着信音を聞いただけで、遥希のメールだと分かるのだと千尋は続ける。
なるほど。そういえば、恋人である琉も、そんなこと言っていたっけ。
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