スポンサーサイト
--.--.-- --
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
カテゴリー:スポンサー広告
信頼関係
2008.10.10 Fri
安いビジネスホテルのツインルーム。
健はベッドの上でただ、静かに吐き出されるその紫煙を眺めていた。
「ん? 煙い?」
灰皿代わりの空き缶に灰を落とした誠次は、その視線に気が付いてふと尋ねた。
「平気」
「そう? またタバコのにおいが付いちゃまずいかと思ったんだけど」
誠次は口の端を歪めた。
「ハルキだってタバコ吸うし、平気だもん。そんなこと言うくらいだったら、わざとらしく吸わないでよ。それとも……俺に困った顔、させたかった?」
「させたかった」
笑顔でそう返すと、タバコを消した誠次が近付いてきて、健にキスをした。
「タバコ味のキス」
「まずい」
健は眉間にシワを寄せ、ダルイ体を起こした。
「誠次、今何時?」
「もうすぐ11時」
「ゲッ、ハルキ、11時ぐらいに帰ってくるっつってたんだ! ヤッベー、もう帰ってきてるかなぁ」
使っていないほうのベッドに投げ出されていた携帯電話に伸ばした手を、誠次に掴まれる。ひどく真剣な表情に、健はそれを振り払うタイミングをなくした。
「今夜は帰さない」
「……えっ…?」
「―――なーんちゃって。ドキッとした?」
ニヤリと笑って、誠次は健の手を放した。
「そういうの、克己に言ったら? アイツ好きそうじゃん、そういうの」
多少の嫌味も込めて、健は誠次の恋人、克己を引き合いに出した。
「そうなんだよねぇ~、克己ってば、あぁ見えてロマンチストだからさぁ~」
「何のろけてんの?」
「だって俺、克己のこと大好きだしさぁ~」
「それがさっきまで他の男抱いてたヤツのセリフかよ」
「信頼されてんだよ、これでも」
「あっそ」
呆れながら健は、脱ぎ散らかしてあったシャツに手を掛けた。
「ホントに帰んの?」
「帰るよ? ハルキも帰ってきてるだろうし」
「尽くすねぇ~、健ちゃんも」
「ちょっ…」
ジーンズを穿こうとしたところで、誠次に背後から抱き締められた。
「さっきもあーんなにヤッたってのに、お家でまたハルキにかわいがってもらうの?」
「ヤんないよ! 誠次みたいな絶倫野郎じゃないからね、ハルキは……アッ…」
誠次の手がシャツの中に侵入してきて、健の感じる場所を撫でていく。
「ちょっと、誠次…―――んっ…」
うなじ、というよりはもう少し背中のほう、きっとシャツを着てしまえば見えないような位置に、小さな痛みを感じる。
「誠次!」
誠次の腕を無理やりほどいて、健は着ていたシャツを脱ぐ。すぐにデスク前の大きな鏡に背中を映すと、そこにはしっかりと誠次の残した赤い痕が。
「何すんだよー! これじゃ帰れないじゃんか!」
「何で? いいじゃん、今日はハルキとヤんないんでしょ? バレないじゃん」
「そういう問題じゃ…」
健は溜め息まじりに眉を下げた。
「何でこんなことしたんだよー」
「さっきも言ったでしょ? 健に困った顔させたいって」
あまりにも誠次が邪気のなさそうな笑顔で言うものだから、健ももう怒りを通り越して呆れに変わってしまっていた。健は脱いだシャツをもう1度ベッドに放ると、携帯電話を手にした。
「もしもし、ハルキ? もう仕事終わった? 俺のほうさぁ、何かちょっとトラブっちゃって、今日中帰れそうにないんだよね。ゴメン。うん、じゃあまた今度ね、バイバーイ」
電話を切ると、健はチラリと誠次を見た。
「健ちゃん、演技がうまくなったねぇー」
「誠次ほどじゃないけどね」
健はベッドに身を投げた。
「それって褒めてくれてんの?」
「克己がかわいそうだって言ってんの」
健がスペースを空けると、誠次が隣に滑り込んできた。
「ハルキはかわいそうじゃないわけ?」
「だって俺、ハルキに信用されてるし」
ニッコリと笑う健の笑顔はまさに天使の微笑みそのもの。ハルキもこれに騙されてるってわけか。
「―――ってか、もうバレてるかもだけどね」
ギクリとするようなことを、健は平気な顔して言ってのける。
「それだけ信頼されてるってわけですか」
「そういうこと」
誠次の逞しい腕が健を組み敷き、その唇を塞いだ。
分かっているのに分からない振りをして。
微妙なバランスを保つ紙一重の信頼関係。
「んっ…」
交わす口付けは次第に深くなって、
「……せいじっ…」
今はただ、気付かない振りして、互いのぬくもりを感じてる。
健はベッドの上でただ、静かに吐き出されるその紫煙を眺めていた。
「ん? 煙い?」
灰皿代わりの空き缶に灰を落とした誠次は、その視線に気が付いてふと尋ねた。
「平気」
「そう? またタバコのにおいが付いちゃまずいかと思ったんだけど」
誠次は口の端を歪めた。
「ハルキだってタバコ吸うし、平気だもん。そんなこと言うくらいだったら、わざとらしく吸わないでよ。それとも……俺に困った顔、させたかった?」
「させたかった」
笑顔でそう返すと、タバコを消した誠次が近付いてきて、健にキスをした。
「タバコ味のキス」
「まずい」
健は眉間にシワを寄せ、ダルイ体を起こした。
「誠次、今何時?」
「もうすぐ11時」
「ゲッ、ハルキ、11時ぐらいに帰ってくるっつってたんだ! ヤッベー、もう帰ってきてるかなぁ」
使っていないほうのベッドに投げ出されていた携帯電話に伸ばした手を、誠次に掴まれる。ひどく真剣な表情に、健はそれを振り払うタイミングをなくした。
「今夜は帰さない」
「……えっ…?」
「―――なーんちゃって。ドキッとした?」
ニヤリと笑って、誠次は健の手を放した。
「そういうの、克己に言ったら? アイツ好きそうじゃん、そういうの」
多少の嫌味も込めて、健は誠次の恋人、克己を引き合いに出した。
「そうなんだよねぇ~、克己ってば、あぁ見えてロマンチストだからさぁ~」
「何のろけてんの?」
「だって俺、克己のこと大好きだしさぁ~」
「それがさっきまで他の男抱いてたヤツのセリフかよ」
「信頼されてんだよ、これでも」
「あっそ」
呆れながら健は、脱ぎ散らかしてあったシャツに手を掛けた。
「ホントに帰んの?」
「帰るよ? ハルキも帰ってきてるだろうし」
「尽くすねぇ~、健ちゃんも」
「ちょっ…」
ジーンズを穿こうとしたところで、誠次に背後から抱き締められた。
「さっきもあーんなにヤッたってのに、お家でまたハルキにかわいがってもらうの?」
「ヤんないよ! 誠次みたいな絶倫野郎じゃないからね、ハルキは……アッ…」
誠次の手がシャツの中に侵入してきて、健の感じる場所を撫でていく。
「ちょっと、誠次…―――んっ…」
うなじ、というよりはもう少し背中のほう、きっとシャツを着てしまえば見えないような位置に、小さな痛みを感じる。
「誠次!」
誠次の腕を無理やりほどいて、健は着ていたシャツを脱ぐ。すぐにデスク前の大きな鏡に背中を映すと、そこにはしっかりと誠次の残した赤い痕が。
「何すんだよー! これじゃ帰れないじゃんか!」
「何で? いいじゃん、今日はハルキとヤんないんでしょ? バレないじゃん」
「そういう問題じゃ…」
健は溜め息まじりに眉を下げた。
「何でこんなことしたんだよー」
「さっきも言ったでしょ? 健に困った顔させたいって」
あまりにも誠次が邪気のなさそうな笑顔で言うものだから、健ももう怒りを通り越して呆れに変わってしまっていた。健は脱いだシャツをもう1度ベッドに放ると、携帯電話を手にした。
「もしもし、ハルキ? もう仕事終わった? 俺のほうさぁ、何かちょっとトラブっちゃって、今日中帰れそうにないんだよね。ゴメン。うん、じゃあまた今度ね、バイバーイ」
電話を切ると、健はチラリと誠次を見た。
「健ちゃん、演技がうまくなったねぇー」
「誠次ほどじゃないけどね」
健はベッドに身を投げた。
「それって褒めてくれてんの?」
「克己がかわいそうだって言ってんの」
健がスペースを空けると、誠次が隣に滑り込んできた。
「ハルキはかわいそうじゃないわけ?」
「だって俺、ハルキに信用されてるし」
ニッコリと笑う健の笑顔はまさに天使の微笑みそのもの。ハルキもこれに騙されてるってわけか。
「―――ってか、もうバレてるかもだけどね」
ギクリとするようなことを、健は平気な顔して言ってのける。
「それだけ信頼されてるってわけですか」
「そういうこと」
誠次の逞しい腕が健を組み敷き、その唇を塞いだ。
分かっているのに分からない振りをして。
微妙なバランスを保つ紙一重の信頼関係。
「んっ…」
交わす口付けは次第に深くなって、
「……せいじっ…」
今はただ、気付かない振りして、互いのぬくもりを感じてる。
- 関連記事
-
- 世界の果てまで行こう R15 (2008/10/11)
- 信頼関係 (2008/10/10)
- 今日は雨の日 (2008/10/09)
- BL小説ランキング参加中です。クリックいただけたら嬉しいです。
- コメントや拍手、ありがとうございます。拍手の公開コメントへのお返事はこちらから。それ以外は、コメントをいただいた記事に返信いたします。
- お題配布サイト「明日」はひっそりまったり更新中です。毎日更新しない日誌「遊び心がない」もよろしくね。
コメントの投稿はこちらから ♥
COMMENT-FORM
柚子季杏 ⇒ んあぁ~~
駆け引き、いいっすねぇ♪
お互いに、いるのに・・・ね(´∀`;)
隠れた(隠された)感情・・・ん~~さすが如月さん。
柚子季、このセイジくん、結構好みかもですww
2人はどこに行き着くんでしょうねぇ~?
気になっちゃう!
お互いに、いるのに・・・ね(´∀`;)
隠れた(隠された)感情・・・ん~~さすが如月さん。
柚子季、このセイジくん、結構好みかもですww
2人はどこに行き着くんでしょうねぇ~?
気になっちゃう!
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
あぁ~ちゃんと駆け引きになってますかね!?
大人の駆け引きとか、そんなの私には無理……とか思いつつがんばってみたんで、ちゃんと書けてるかどうか…。
誠次さんは本当に悪い大人ですよ(苦笑)
コメントありがとうございました!
大人の駆け引きとか、そんなの私には無理……とか思いつつがんばってみたんで、ちゃんと書けてるかどうか…。
誠次さんは本当に悪い大人ですよ(苦笑)
コメントありがとうございました!
りり ⇒ こんにちは
如月久美子 ⇒ >りりさん
うぅ…ちゃんと駆け引きになってますかね!?
お互い思う人がありながらの、駆け引き。
微妙なバランスですよね。
コメントありがとうございます!
お互い思う人がありながらの、駆け引き。
微妙なバランスですよね。
コメントありがとうございます!