恋三昧

【18禁】 BL小説取り扱い中。苦手なかた、「BL」という言葉に聞き覚えのないかた、18歳未満のかたはご遠慮ください。

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愛すことよりずっとカンタン (突き放してしまえば楽なのに)


 もしかしたら、離れられなくなったのは、俺のほうなのかもしれない。








 …………あぁ、神様。








愛 す こ と よ り ず っ と カ ン タ ン

 ( 突 き 放 し て し ま え ば 楽 な の に )









 シンからその想いを告げられたとき、ただ漠然と、(あぁ、やっぱり…)と思った。
 不思議と、驚きも嫌悪感もなかった。

 長い付き合い。
 彼が俺のことをどんなふうに見ているのかは、何となく分かっていたから。
 それでも敢えてそのことに触れずに来たのは、やはりシンとのこの関係、この距離を失いたくなかったからだと思う。

 けれどその微妙すぎる距離感も、そうすれば今までのようにはいられないことを知っていながら、シンは俺に自分の思いを告げてきた。
 俺に、好きだと言った。
 友達とか、そういうことでなくて、と付け加えた。要するに、LIKEではなく、LOVEなのだと。

 シンが、どんな気持ちで俺に告白したのかは分からない。俺から、どんな言葉が欲しかったのか。
 俺に彼女がいることは、だって知っていたはずだから。
 それでも。男同士という、ただでさえ危うい想いであるにもかかわらず、それでもシンは俺に、想いを告げてきたのだ。

『俺、彼女いるけど、それで良ければ』

 我ながら、何てひどい言葉だと思った。
 何て残酷。

 彼女がいるから、付き合えない。
 シンのことを、そういうふうには見れない。

 いくらでも断る口実はあったのに。

 けれど、ずるくて弱い俺は、シンとの距離が離れるのを怖がって、そんな言葉を吐き出した。








*****


 仕事が終わって、飯を食って、そのままホテルに直行。
 即物的。
 でもそれでいい。
 俺とシンの関係は、それでいい。

「…ん、分かったって。今度、付き合ってやるから」

 汗ばんだ体を離して、息を整えて。
 シャワーでも浴びるか? なんて話してたら、俺の携帯電話が音を立てた。
 出るのも面倒臭くてほっとこうと思ったら、電話にまめなシンが出たほうがいいとか言い出すから、渋々携帯電話に手を伸ばしたら、彼女。
 先日、仕事のせいでドタキャンしたデートの埋め合わせをしろと言うのだ。彼女の言い分も分かるから、一応OKして、電話を切る。今は忙しいから、いつになるか分かんないけど。
 あ、でも、シンとセックスする時間はあるのか。

 携帯電話をカバンのほうへ放ると、シンがモゾモゾ動いて体を寄せて来るから、俺はその筋肉質な体を抱き寄せた。
 小さいけど、決して華奢ではない。肩幅はあるし、胸板とかも結構厚いし。女の子の、彼女の体とは、全然違う。
 でも、抱き心地は悪くない。

「……彼女と、出掛けんの?」

 腕の中のシンが問い掛けて来た。
 さっきの電話の内容を聞いてのことだろう。別に聞かれて困るもんでもないから、いいんだけど。

「あぁ、今度な」
「ラブラブじゃん」

 今、シンはどんな顔してんだろ。
 好きだと想いを告げた相手と体を重ねた後、俺と彼女の電話を聞いて、そしてそんなセリフを吐くなんて。

「んー? もうそんな雰囲気じゃないけど。腐れ縁っていうか…………別にそれほど深い愛情があるってわけじゃないんだけど、」

 いったん、言葉を切る。
 シンの柔らかな金髪を混ぜるように撫でて。

「でも、離れられんないの。これってやっぱ、好きってことなんだろうなぁ」

 たぶん、そういうことなんだと思う。

 離れられないんだ。
 シンの気持ちを、痛いほど感じているのに。

 …………ひどい男、本当に。

「なぁタケル」
「ん?」
「もっかいしよ?」

 シンは俺の腕を解くと、俺の体をベッドに押し倒した。何かのスイッチが入ったのか、妙にやらしい顔をしながら、シンは俺の腹を跨ぐ。
 思わず口の端が上がってしまった。

「シンが上になってくれんの?」

 シンの腰を支えながら、その滑らかな肌を撫でると、甘い吐息が漏れる。

「ん…いいよ……」

 煽るような仕草で、腰を押し付けてくるシンに、溺れた。

 きっと、好きなんだ。
 体だけの関係だとしても、ひどい男だと思われたとしても、いつか愛想を尽かされてしまうとしても。
 手放すのが怖い。離れてしまうのが怖い。

 最後までひどい男を演じ続けなければならない。
 好きだと告げれば、きっとどこまでも堕ちていくから。





 楽になる術は知っているのに―――――突き放すことも、繋ぎとめることも出来ない。









← 叶わないと知っている (だから、だからきっと)
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柚子季杏 ⇒ うっわ・・・そか・・・

対になっていたんですねぇ(*´・ω・`*)
攻めたん側からの独白・・・これまた切ない。
ん~ん~ん~~(;つД`)
もう、堕ちてしまえばイイよ!(ダメ?
あぁ~~切ない。。。
2人それぞれのお話読んでしまった分、何だかくるものがありますねぇ・・・。

  • |2008.10.01
  • |Wed
  • |07:34
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如月久美子 ⇒ >柚子季さん

 実は対だったんです、はい。
 攻めタンだけ悪者にしないための救済話ともとれますが…。

 2人にハピエンが待ってるといいんですけどね。
 自分で書いてて、切なくなってる2日間でした(苦笑)

 コメントありがとうございました!

  • |2008.10.01
  • |Wed
  • |08:13
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りり ⇒ >切ないよ~

うわ~~~~~ん(号泣

堕ちていくことを恐れてぎりぎりの距離を…
もうこれは…
うわ~~~~~~ん(泣きすぎ

友情と恋慕、というのがうちでも次作のテーマで、対になったこのお話に通じるものがあります。
切ない…。

  • |2008.10.01
  • |Wed
  • |08:47
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如月久美子 ⇒ >りりさん

 実はお互い、それぞれの思いがあって、次に進めないという。
 2人がくっ付くのが幸せなのか、堕ちずに離れるのが幸せなのか……思わず考えちゃいます。

 しかも、え~ん、りりさんを泣かせてしまったっ…!!

 でもでも、りりさんの次回作のテーマを聞いて、ちょっとワクワクです!

 コメントありがとうございました!

  • |2008.10.02
  • |Thu
  • |07:27
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