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愛すことよりずっとカンタン (突き放してしまえば楽なのに)
2008.10.01 Wed
もしかしたら、離れられなくなったのは、俺のほうなのかもしれない。
…………あぁ、神様。
愛 す こ と よ り ず っ と カ ン タ ン
( 突 き 放 し て し ま え ば 楽 な の に )
シンからその想いを告げられたとき、ただ漠然と、(あぁ、やっぱり…)と思った。
不思議と、驚きも嫌悪感もなかった。
長い付き合い。
彼が俺のことをどんなふうに見ているのかは、何となく分かっていたから。
それでも敢えてそのことに触れずに来たのは、やはりシンとのこの関係、この距離を失いたくなかったからだと思う。
けれどその微妙すぎる距離感も、そうすれば今までのようにはいられないことを知っていながら、シンは俺に自分の思いを告げてきた。
俺に、好きだと言った。
友達とか、そういうことでなくて、と付け加えた。要するに、LIKEではなく、LOVEなのだと。
シンが、どんな気持ちで俺に告白したのかは分からない。俺から、どんな言葉が欲しかったのか。
俺に彼女がいることは、だって知っていたはずだから。
それでも。男同士という、ただでさえ危うい想いであるにもかかわらず、それでもシンは俺に、想いを告げてきたのだ。
『俺、彼女いるけど、それで良ければ』
我ながら、何てひどい言葉だと思った。
何て残酷。
彼女がいるから、付き合えない。
シンのことを、そういうふうには見れない。
いくらでも断る口実はあったのに。
けれど、ずるくて弱い俺は、シンとの距離が離れるのを怖がって、そんな言葉を吐き出した。
*****
仕事が終わって、飯を食って、そのままホテルに直行。
即物的。
でもそれでいい。
俺とシンの関係は、それでいい。
「…ん、分かったって。今度、付き合ってやるから」
汗ばんだ体を離して、息を整えて。
シャワーでも浴びるか? なんて話してたら、俺の携帯電話が音を立てた。
出るのも面倒臭くてほっとこうと思ったら、電話にまめなシンが出たほうがいいとか言い出すから、渋々携帯電話に手を伸ばしたら、彼女。
先日、仕事のせいでドタキャンしたデートの埋め合わせをしろと言うのだ。彼女の言い分も分かるから、一応OKして、電話を切る。今は忙しいから、いつになるか分かんないけど。
あ、でも、シンとセックスする時間はあるのか。
携帯電話をカバンのほうへ放ると、シンがモゾモゾ動いて体を寄せて来るから、俺はその筋肉質な体を抱き寄せた。
小さいけど、決して華奢ではない。肩幅はあるし、胸板とかも結構厚いし。女の子の、彼女の体とは、全然違う。
でも、抱き心地は悪くない。
「……彼女と、出掛けんの?」
腕の中のシンが問い掛けて来た。
さっきの電話の内容を聞いてのことだろう。別に聞かれて困るもんでもないから、いいんだけど。
「あぁ、今度な」
「ラブラブじゃん」
今、シンはどんな顔してんだろ。
好きだと想いを告げた相手と体を重ねた後、俺と彼女の電話を聞いて、そしてそんなセリフを吐くなんて。
「んー? もうそんな雰囲気じゃないけど。腐れ縁っていうか…………別にそれほど深い愛情があるってわけじゃないんだけど、」
いったん、言葉を切る。
シンの柔らかな金髪を混ぜるように撫でて。
「でも、離れられんないの。これってやっぱ、好きってことなんだろうなぁ」
たぶん、そういうことなんだと思う。
離れられないんだ。
シンの気持ちを、痛いほど感じているのに。
…………ひどい男、本当に。
「なぁタケル」
「ん?」
「もっかいしよ?」
シンは俺の腕を解くと、俺の体をベッドに押し倒した。何かのスイッチが入ったのか、妙にやらしい顔をしながら、シンは俺の腹を跨ぐ。
思わず口の端が上がってしまった。
「シンが上になってくれんの?」
シンの腰を支えながら、その滑らかな肌を撫でると、甘い吐息が漏れる。
「ん…いいよ……」
煽るような仕草で、腰を押し付けてくるシンに、溺れた。
きっと、好きなんだ。
体だけの関係だとしても、ひどい男だと思われたとしても、いつか愛想を尽かされてしまうとしても。
手放すのが怖い。離れてしまうのが怖い。
最後までひどい男を演じ続けなければならない。
好きだと告げれば、きっとどこまでも堕ちていくから。
楽になる術は知っているのに―――――突き放すことも、繋ぎとめることも出来ない。
← 叶わないと知っている (だから、だからきっと)
…………あぁ、神様。
愛 す こ と よ り ず っ と カ ン タ ン
( 突 き 放 し て し ま え ば 楽 な の に )
シンからその想いを告げられたとき、ただ漠然と、(あぁ、やっぱり…)と思った。
不思議と、驚きも嫌悪感もなかった。
長い付き合い。
彼が俺のことをどんなふうに見ているのかは、何となく分かっていたから。
それでも敢えてそのことに触れずに来たのは、やはりシンとのこの関係、この距離を失いたくなかったからだと思う。
けれどその微妙すぎる距離感も、そうすれば今までのようにはいられないことを知っていながら、シンは俺に自分の思いを告げてきた。
俺に、好きだと言った。
友達とか、そういうことでなくて、と付け加えた。要するに、LIKEではなく、LOVEなのだと。
シンが、どんな気持ちで俺に告白したのかは分からない。俺から、どんな言葉が欲しかったのか。
俺に彼女がいることは、だって知っていたはずだから。
それでも。男同士という、ただでさえ危うい想いであるにもかかわらず、それでもシンは俺に、想いを告げてきたのだ。
『俺、彼女いるけど、それで良ければ』
我ながら、何てひどい言葉だと思った。
何て残酷。
彼女がいるから、付き合えない。
シンのことを、そういうふうには見れない。
いくらでも断る口実はあったのに。
けれど、ずるくて弱い俺は、シンとの距離が離れるのを怖がって、そんな言葉を吐き出した。
*****
仕事が終わって、飯を食って、そのままホテルに直行。
即物的。
でもそれでいい。
俺とシンの関係は、それでいい。
「…ん、分かったって。今度、付き合ってやるから」
汗ばんだ体を離して、息を整えて。
シャワーでも浴びるか? なんて話してたら、俺の携帯電話が音を立てた。
出るのも面倒臭くてほっとこうと思ったら、電話にまめなシンが出たほうがいいとか言い出すから、渋々携帯電話に手を伸ばしたら、彼女。
先日、仕事のせいでドタキャンしたデートの埋め合わせをしろと言うのだ。彼女の言い分も分かるから、一応OKして、電話を切る。今は忙しいから、いつになるか分かんないけど。
あ、でも、シンとセックスする時間はあるのか。
携帯電話をカバンのほうへ放ると、シンがモゾモゾ動いて体を寄せて来るから、俺はその筋肉質な体を抱き寄せた。
小さいけど、決して華奢ではない。肩幅はあるし、胸板とかも結構厚いし。女の子の、彼女の体とは、全然違う。
でも、抱き心地は悪くない。
「……彼女と、出掛けんの?」
腕の中のシンが問い掛けて来た。
さっきの電話の内容を聞いてのことだろう。別に聞かれて困るもんでもないから、いいんだけど。
「あぁ、今度な」
「ラブラブじゃん」
今、シンはどんな顔してんだろ。
好きだと想いを告げた相手と体を重ねた後、俺と彼女の電話を聞いて、そしてそんなセリフを吐くなんて。
「んー? もうそんな雰囲気じゃないけど。腐れ縁っていうか…………別にそれほど深い愛情があるってわけじゃないんだけど、」
いったん、言葉を切る。
シンの柔らかな金髪を混ぜるように撫でて。
「でも、離れられんないの。これってやっぱ、好きってことなんだろうなぁ」
たぶん、そういうことなんだと思う。
離れられないんだ。
シンの気持ちを、痛いほど感じているのに。
…………ひどい男、本当に。
「なぁタケル」
「ん?」
「もっかいしよ?」
シンは俺の腕を解くと、俺の体をベッドに押し倒した。何かのスイッチが入ったのか、妙にやらしい顔をしながら、シンは俺の腹を跨ぐ。
思わず口の端が上がってしまった。
「シンが上になってくれんの?」
シンの腰を支えながら、その滑らかな肌を撫でると、甘い吐息が漏れる。
「ん…いいよ……」
煽るような仕草で、腰を押し付けてくるシンに、溺れた。
きっと、好きなんだ。
体だけの関係だとしても、ひどい男だと思われたとしても、いつか愛想を尽かされてしまうとしても。
手放すのが怖い。離れてしまうのが怖い。
最後までひどい男を演じ続けなければならない。
好きだと告げれば、きっとどこまでも堕ちていくから。
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柚子季杏 ⇒ うっわ・・・そか・・・
対になっていたんですねぇ(*´・ω・`*)
攻めたん側からの独白・・・これまた切ない。
ん~ん~ん~~(;つД`)
もう、堕ちてしまえばイイよ!(ダメ?
あぁ~~切ない。。。
2人それぞれのお話読んでしまった分、何だかくるものがありますねぇ・・・。
攻めたん側からの独白・・・これまた切ない。
ん~ん~ん~~(;つД`)
もう、堕ちてしまえばイイよ!(ダメ?
あぁ~~切ない。。。
2人それぞれのお話読んでしまった分、何だかくるものがありますねぇ・・・。
如月久美子 ⇒ >柚子季さん
実は対だったんです、はい。
攻めタンだけ悪者にしないための救済話ともとれますが…。
2人にハピエンが待ってるといいんですけどね。
自分で書いてて、切なくなってる2日間でした(苦笑)
コメントありがとうございました!
攻めタンだけ悪者にしないための救済話ともとれますが…。
2人にハピエンが待ってるといいんですけどね。
自分で書いてて、切なくなってる2日間でした(苦笑)
コメントありがとうございました!
りり ⇒ >切ないよ~
うわ~~~~~ん(号泣
堕ちていくことを恐れてぎりぎりの距離を…
もうこれは…
うわ~~~~~~ん(泣きすぎ
友情と恋慕、というのがうちでも次作のテーマで、対になったこのお話に通じるものがあります。
切ない…。
堕ちていくことを恐れてぎりぎりの距離を…
もうこれは…
うわ~~~~~~ん(泣きすぎ
友情と恋慕、というのがうちでも次作のテーマで、対になったこのお話に通じるものがあります。
切ない…。
如月久美子 ⇒ >りりさん
実はお互い、それぞれの思いがあって、次に進めないという。
2人がくっ付くのが幸せなのか、堕ちずに離れるのが幸せなのか……思わず考えちゃいます。
しかも、え~ん、りりさんを泣かせてしまったっ…!!
でもでも、りりさんの次回作のテーマを聞いて、ちょっとワクワクです!
コメントありがとうございました!
2人がくっ付くのが幸せなのか、堕ちずに離れるのが幸せなのか……思わず考えちゃいます。
しかも、え~ん、りりさんを泣かせてしまったっ…!!
でもでも、りりさんの次回作のテーマを聞いて、ちょっとワクワクです!
コメントありがとうございました!