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恋は七転び八起き (96)
2015.12.13 Sun
『央ちゃん、電話のこと、槇村さんに聞いといたほうがいいなじゃないの?』
『ちょっ、何こっち来てんだよっ、あっち行け、ボケっ!』
『ななみん、央のことからかうの、いい加減やめなよ』
静かだと思っていた電話の向こうが、また騒がしくなる。
先ほどと違って、はっきりと聞こえた声のうち、央以外の1人は聞いたことのある圭人のもので、その声が、央が追っ払おうとしている誰かを窘めているから、先ほどから央にちょっかいを掛けていたのは、圭人でなくもう1人の誰か――――七海だろう。
「央? どうした? 電話が何?」
『なっ、何でもないっ』
『ホントに聞かなくていいの~? 央ちゃん、後でめっちゃ悩んで、超ウザいんだから、聞いといたほうがいいって』
『うるさいっ』
槇村と話しているのか、七海と話しているのか、央はどちらの話にも返事をしたり突っ込んだりして、大忙しだ。
央が槇村に何か聞きたいことがあるのは確かなようだが、恐らく側に圭人や七海がいるから、恥ずかしくて話し出せないのだろう。高校生だと、そういうことは分からないのかぁ…とも思ったが、先ほど来の七海の話し振りからして、分かっていてやっている感が、すごくする…。
『ま、また今度聞くねっ?』
「お…おぅ」
『あの、急に電話して、ゴメン、ホントっ』
「いや、いいけど…………そんなに気にしないで、また電話しろよ」
『ッ…………んっ、ぅんっ!』
必死な央の返事と、それをからかう七海の声と、いい加減にしろという圭人の声を残して、電話は切れた。恐らくこの後、央は散々七海に冷やかされるのだろう。
槇村は、高校生といえば、通勤電車の中で見掛けるくらいしか接点はなく、電車が混んでいても高校生は元気だが、さすがにここまでは騒がないから、3人のやり取りは何だか新鮮だ。
こんなことを考えるなんて、年を取った証拠だろうか。高校の教師をしている板屋越は、こんな連中と毎日付き合っているのだから、大したものだ。いつもかったるそうな雰囲気を醸し出しているくせに、学校ではハツラツとしているのだろうか。まったく想像が付かない。
それにしても、央が純平に2人のことを話したとなると、いよいよ槇村は板屋越だけでなく、逢坂にも話したほうがいい雰囲気になって来た。
この1週間、純平は目に見えて凹んでいて、槇村に一切絡まないのはもちろんのこと、いつものようなくだらないギャグを言うこともなければ、笑顔すら殆ど見せなかったのだ。それはもう、逢坂でさえフォローできないくらいに。それが、央が元気になったとなれば、確実に復活するだろう。それはもう、誰もフォローできないくらいに。
それを見た逢坂が、何も気付かないはずがない。
とはいえ、休みである今日に、まさかこんなことを話すために2人を呼び出すのも何だし、電話とかも気持ち悪い。やはり明日会社に行ってからにしよう。
槇村は再びゲーム機を手に取った。
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『ちょっ、何こっち来てんだよっ、あっち行け、ボケっ!』
『ななみん、央のことからかうの、いい加減やめなよ』
静かだと思っていた電話の向こうが、また騒がしくなる。
先ほどと違って、はっきりと聞こえた声のうち、央以外の1人は聞いたことのある圭人のもので、その声が、央が追っ払おうとしている誰かを窘めているから、先ほどから央にちょっかいを掛けていたのは、圭人でなくもう1人の誰か――――七海だろう。
「央? どうした? 電話が何?」
『なっ、何でもないっ』
『ホントに聞かなくていいの~? 央ちゃん、後でめっちゃ悩んで、超ウザいんだから、聞いといたほうがいいって』
『うるさいっ』
槇村と話しているのか、七海と話しているのか、央はどちらの話にも返事をしたり突っ込んだりして、大忙しだ。
央が槇村に何か聞きたいことがあるのは確かなようだが、恐らく側に圭人や七海がいるから、恥ずかしくて話し出せないのだろう。高校生だと、そういうことは分からないのかぁ…とも思ったが、先ほど来の七海の話し振りからして、分かっていてやっている感が、すごくする…。
『ま、また今度聞くねっ?』
「お…おぅ」
『あの、急に電話して、ゴメン、ホントっ』
「いや、いいけど…………そんなに気にしないで、また電話しろよ」
『ッ…………んっ、ぅんっ!』
必死な央の返事と、それをからかう七海の声と、いい加減にしろという圭人の声を残して、電話は切れた。恐らくこの後、央は散々七海に冷やかされるのだろう。
槇村は、高校生といえば、通勤電車の中で見掛けるくらいしか接点はなく、電車が混んでいても高校生は元気だが、さすがにここまでは騒がないから、3人のやり取りは何だか新鮮だ。
こんなことを考えるなんて、年を取った証拠だろうか。高校の教師をしている板屋越は、こんな連中と毎日付き合っているのだから、大したものだ。いつもかったるそうな雰囲気を醸し出しているくせに、学校ではハツラツとしているのだろうか。まったく想像が付かない。
それにしても、央が純平に2人のことを話したとなると、いよいよ槇村は板屋越だけでなく、逢坂にも話したほうがいい雰囲気になって来た。
この1週間、純平は目に見えて凹んでいて、槇村に一切絡まないのはもちろんのこと、いつものようなくだらないギャグを言うこともなければ、笑顔すら殆ど見せなかったのだ。それはもう、逢坂でさえフォローできないくらいに。それが、央が元気になったとなれば、確実に復活するだろう。それはもう、誰もフォローできないくらいに。
それを見た逢坂が、何も気付かないはずがない。
とはいえ、休みである今日に、まさかこんなことを話すために2人を呼び出すのも何だし、電話とかも気持ち悪い。やはり明日会社に行ってからにしよう。
槇村は再びゲーム機を手に取った。
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