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恋は七転び八起き (56)
2015.10.30 Fri
「ず…ズボン…」
「え? ――――ッ…!」
言われて視線を落としても、央の制服のズボンは普通で、脱がされそうになった形跡もない。どういうことなのかと尋ねようとしたところで、槇村はハッと息を飲んだ。ズボンの後ろが、白い粘液でべっとりと汚れている――――精液だ。
最後にあの男が央にさらに密着したのは、精液を掛けるためだったのだろうか。大勢の乗客がいる電車の中で自分の性器を出し、精液を人に掛けるなんて、正気の沙汰とは思えない。
槇村は咄嗟にスーツの上着を脱ぐと、央のズボンの後ろを隠すように上着をその腰に巻き付けた。
「…央、歩けるか? あそこにトイレあるだろ? そこで落としてやるから、そこまで行こう? な?」
「ん、んっ…」
央が頷いたのを見て、槇村は肩を貸してやりながら、央をホームのトイレまで連れて行く。途中、ホームを行き交う人々の不躾な視線に気付いたが、どうせ、具合の悪い相手を介抱しているくらいにしか見えないだろう。
有り難いことに、多目的トイレが空いていたので、央とともにそこに入った。
「今、落としてやるから……央、後ろ向けるか?」
「うぅ…」
自分の荷物と一緒に、ちゃんと教科書を持ち帰っているのかと言いたくなるような軽い央のカバンを台に上げ、槇村はトイレットペーパーを手に取った。
その様子をぼんやりと見つめていた央は、宥めるように槇村の手が頭を撫でた途端、堰を切ったようにボロボロと泣き出した。張り詰めていた糸が切れたのだろう。恐ろしい目に遭いながら、助けを求める相手もおらず、1人で耐え忍んでいたのだから当然だ。
「俺、俺っ…、うわぁ~んっ…」
泣きじゃくる央を、槇村は自然と抱き締めていた。言い訳をするわけではないが、この状況では、央のことを好きも嫌いもないだろう。放っておけるわけがない。
「触られっ……お尻、とかっ、怖かっ…」
「…うん、怖かったな。もう大丈夫だから」
槇村のことを好きだと言っていた央は、少なからず男性を性的な目で見ることはあっただろうが、このような形で自分が男から性欲の対象とされるとは、ゆめゆめ思ってもいなかったに違いない。
央のことを傷付けた槇村が言えた立場ではないが、央の心にこんなにも大きな傷を残したあの男のことが許せなかった。
「ヒック…」
しばらく泣いて、ようやく央が少し落ち着いて来たので、槇村は央のズボンに付いた精液を落とすべく、再びトイレットペーパーを手にしたが、時間が経って乾いた精液は、もうそれでは落とせそうになかった。仕方なく槇村は自分のハンカチを濡らして、央のズボンを拭った。
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「え? ――――ッ…!」
言われて視線を落としても、央の制服のズボンは普通で、脱がされそうになった形跡もない。どういうことなのかと尋ねようとしたところで、槇村はハッと息を飲んだ。ズボンの後ろが、白い粘液でべっとりと汚れている――――精液だ。
最後にあの男が央にさらに密着したのは、精液を掛けるためだったのだろうか。大勢の乗客がいる電車の中で自分の性器を出し、精液を人に掛けるなんて、正気の沙汰とは思えない。
槇村は咄嗟にスーツの上着を脱ぐと、央のズボンの後ろを隠すように上着をその腰に巻き付けた。
「…央、歩けるか? あそこにトイレあるだろ? そこで落としてやるから、そこまで行こう? な?」
「ん、んっ…」
央が頷いたのを見て、槇村は肩を貸してやりながら、央をホームのトイレまで連れて行く。途中、ホームを行き交う人々の不躾な視線に気付いたが、どうせ、具合の悪い相手を介抱しているくらいにしか見えないだろう。
有り難いことに、多目的トイレが空いていたので、央とともにそこに入った。
「今、落としてやるから……央、後ろ向けるか?」
「うぅ…」
自分の荷物と一緒に、ちゃんと教科書を持ち帰っているのかと言いたくなるような軽い央のカバンを台に上げ、槇村はトイレットペーパーを手に取った。
その様子をぼんやりと見つめていた央は、宥めるように槇村の手が頭を撫でた途端、堰を切ったようにボロボロと泣き出した。張り詰めていた糸が切れたのだろう。恐ろしい目に遭いながら、助けを求める相手もおらず、1人で耐え忍んでいたのだから当然だ。
「俺、俺っ…、うわぁ~んっ…」
泣きじゃくる央を、槇村は自然と抱き締めていた。言い訳をするわけではないが、この状況では、央のことを好きも嫌いもないだろう。放っておけるわけがない。
「触られっ……お尻、とかっ、怖かっ…」
「…うん、怖かったな。もう大丈夫だから」
槇村のことを好きだと言っていた央は、少なからず男性を性的な目で見ることはあっただろうが、このような形で自分が男から性欲の対象とされるとは、ゆめゆめ思ってもいなかったに違いない。
央のことを傷付けた槇村が言えた立場ではないが、央の心にこんなにも大きな傷を残したあの男のことが許せなかった。
「ヒック…」
しばらく泣いて、ようやく央が少し落ち着いて来たので、槇村は央のズボンに付いた精液を落とすべく、再びトイレットペーパーを手にしたが、時間が経って乾いた精液は、もうそれでは落とせそうになかった。仕方なく槇村は自分のハンカチを濡らして、央のズボンを拭った。
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