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恋は七転び八起き (1)
2015.09.01 Tue
槇村・央・圭人
少年のような心を持っている、とはよく言われる。悪く言えば、子どもっぽいということなのかもしれない。
もう34歳になろうかというのに、ゲームに夢中になって睡眠時間を削ってしまうところとか、ちょっとおもしろいことがあると、すぐにはしゃいでしまうところとか。
同僚であり、幼馴染みである逢坂(おうさか)には、よく『しっかりしろ』とど突かれるが、こればかりは、34年の間に形成されてきた性格ゆえ、どうすることも出来ないと槇村(まきむら)自身は思っている。
とはいえ、社会の常識ならそれなりに持ち合わせているつもりだ――――少なくとも、17歳の高校生から愛の告白をされて、下心丸出しで手を出さない程度には。
「あのなぁ、央(ひろ)…」
槇村は頭を抱えて、目の前で真剣な表情をしている央と、その少し後ろで、特に何の感情もなさそうにスマホを弄くっている圭人(けいと)を見た。
話は数分前に遡る。
仕事を終えて家路に就いた槇村は、自分のマンションの前に見えた2人の人影が央と圭人だと気付いた瞬間、回れ右をして駅までダッシュで戻ろうとしたのだが、現役高校生の足に敵うはずもなく、すぐに2人に捕獲されたのだ。
槇村は何とかして逃げ出そうともしたが、あまり騒いで近所の人の目に触れ、変な噂を立てられても困るので、ひとまずは大人しくした。こちらが騒げば、相手も騒ぐ。大人しくすれば、大人しくなるのだ。
『こんな時間にどうした、こんなとこで』
こんな時間とはいっても、まだ7時を過ぎたところで、高校生が出歩いていても警察に声を掛けられるような時間でもなかったが、ここが2人の帰り道とはかけ離れた場所であることを思えば、そう言わざるを得なかった。
いや、別に槇村は本気で、央がこんなところで何をしていたかを聞きたかったわけではない。というか、むしろ聞きたくはなかった。しかし、それ以外の掛ける言葉がなかったのだ。
『槇村(まきむら)くんに告ろうと思って、待ってた!』
問われた央は、何とも晴れやかな表情で、待ってましたとばかりにそう答えた。それは、槇村の予想どおりの答えだった。予想どおり過ぎて突っ込むのを忘れた槇村に、央はキッと表情を引き締め、
『槇村くん、好きです。付き合ってくださいっ!』
と愛の告白をしてきたのだ。
槇村は溜め息とともに空を見遣った。月がキレイだ。
17歳の高校生、それも男子にここまで熱烈な告白をされて、槇村が慌てるでもなく、突っ込むでもなく、呆れを含みつつも落ち着いていられるのは、ひとえに、この告白が8回目のことだからである。
さすがに初めて告白されたときは、正気か!? と慌てふためいたものだが、顔を合わせるたびに、好きだ、付き合ってくれ、恋人にしてくれ、と言われていたら、そこまでの驚きはなくなる。
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