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どうせ伝わらないのなら、言葉なんていらない (11)
2015.04.18 Sat
「実際、どこで見たわけ?」
「えっと…」
テーブルの片付けを再開した千尋にその場所を伝えると、再び千尋の手が止まった、しかしそれはほんの一瞬のことで、千尋は今度は散らばったペンを集めている。
もちろん大和はそれを見逃さなかったけれど、ひとまずは口を出すのをやめた。これで拗れれば、千尋からはもう2度と、何も聞き出せなくなってしまう。
「…大和くんたち、そんなトコ行くんだ?」
「移動でたまたま通り掛かっただけ。あの辺、ウチの事務所のショップもあるし、さすがに車からは降りらんないよね」
「まぁそうだろうね」
千尋は纏めた紙とペンをテーブルの端に置いた。…本格的に片付けるつもりはないらしい。
大和が何となく視線を向けると、それは服のデザイン画で、そういえば千尋は自分でデザインした服を店に置いているのだということを思い出した。
「で、そこでハルちゃん見たんだ?」
「んー…、ハルちゃんに見えたんだけど…」
「水落のヤツ、ハルちゃんのことが好きすぎて、幻覚でも見たんじゃね?」
「いや、俺も見てるから。それに南條も」
琉だけだったら幻覚説もあり得るけれど、何しろ最初に遥希を見つけたのは、他ならぬ大和なのだ。少なくとも、幻覚ではない。
しかも、もし琉が遥希の幻を見るなら、女の子と歩いているような幻覚は見ないだろう。幻覚でそんなのを見て、1人であそこまで凹んでいたら、重症すぎる。
「ホントに見間違いだったかもしんないけど、ハルちゃん、何か隠してるみたいな感じだ…て、それで琉が凹んでんの」
「隠してる、ね」
「………………ちーちゃん、何か知ってる?」
大和はとうとう切り出した。
琉が昨日遥希に聞こうとして聞けなかったことを、千尋に尋ねるというのが大和の使命なのだ。
本当にまったく何も千尋が知らないのなら、それはそれでいいけれど、もし少しでも何か知っているのなら、教えてもらいたい。
「……大和くん、」
千尋は大和の隣に座って、もぞもぞと抱き付いて来た。
あぁかわいい…とか思っている場合ではないけれど、やっぱりかわいい。
「世の中には知らなくていいこともあるし、人にはみんな、知られたくないことがあるんだよ」
「え…」
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「えっと…」
テーブルの片付けを再開した千尋にその場所を伝えると、再び千尋の手が止まった、しかしそれはほんの一瞬のことで、千尋は今度は散らばったペンを集めている。
もちろん大和はそれを見逃さなかったけれど、ひとまずは口を出すのをやめた。これで拗れれば、千尋からはもう2度と、何も聞き出せなくなってしまう。
「…大和くんたち、そんなトコ行くんだ?」
「移動でたまたま通り掛かっただけ。あの辺、ウチの事務所のショップもあるし、さすがに車からは降りらんないよね」
「まぁそうだろうね」
千尋は纏めた紙とペンをテーブルの端に置いた。…本格的に片付けるつもりはないらしい。
大和が何となく視線を向けると、それは服のデザイン画で、そういえば千尋は自分でデザインした服を店に置いているのだということを思い出した。
「で、そこでハルちゃん見たんだ?」
「んー…、ハルちゃんに見えたんだけど…」
「水落のヤツ、ハルちゃんのことが好きすぎて、幻覚でも見たんじゃね?」
「いや、俺も見てるから。それに南條も」
琉だけだったら幻覚説もあり得るけれど、何しろ最初に遥希を見つけたのは、他ならぬ大和なのだ。少なくとも、幻覚ではない。
しかも、もし琉が遥希の幻を見るなら、女の子と歩いているような幻覚は見ないだろう。幻覚でそんなのを見て、1人であそこまで凹んでいたら、重症すぎる。
「ホントに見間違いだったかもしんないけど、ハルちゃん、何か隠してるみたいな感じだ…て、それで琉が凹んでんの」
「隠してる、ね」
「………………ちーちゃん、何か知ってる?」
大和はとうとう切り出した。
琉が昨日遥希に聞こうとして聞けなかったことを、千尋に尋ねるというのが大和の使命なのだ。
本当にまったく何も千尋が知らないのなら、それはそれでいいけれど、もし少しでも何か知っているのなら、教えてもらいたい。
「……大和くん、」
千尋は大和の隣に座って、もぞもぞと抱き付いて来た。
あぁかわいい…とか思っている場合ではないけれど、やっぱりかわいい。
「世の中には知らなくていいこともあるし、人にはみんな、知られたくないことがあるんだよ」
「え…」
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