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恋の女神は微笑まない (283)
2015.03.02 Mon
「ちーちゃん」
心の中で1人ノリ突っ込みをしていたら、大和に名前を呼ばれた。
大和は、変わらない優しい口調で千尋を呼んだだけだったけれど、千尋には分かる、目を開けろと言いたいんだろう。千尋は察しがいいし、空気も読めるのだ。どこかの誰かさんと違って。
けれど、それと同じくらい素直ではない性格なので、パッと目を開けた後、すぐにまた目を閉じた。
一応、言うことは聞いた。いや、言われる前に察して行動した。これで十分だろう。千尋はそう思った、けれど、やはりそうはいかなかった。
「ちーちゃん、目」
大和が喋ると、唇に吐息が掛かる――――そんな距離なのだ。
大和が目を開けているかどうかは分からないけれど(この状態で、千尋は2回も目を開けたが、2回とも一瞬だったので)、千尋に目を開けるように言っているのだから、大和だって閉じてはいないだろう。
この距離感でよく目を開けていられるなぁ…とも思うし、熱くなっている千尋の顔が、きっと赤いこともばれているのだろう、とも思う。
「目、開けて?」
「いっ…今開けたしっ」
「一瞬で閉じたでしょ。ちゃんと開けて? ちーちゃんと目見て話したい」
話すときは、相手の目を見て。
小学校のときだったかに、教わった気はする。それは千尋もよく分かっているし、いくら千尋が素直でないとはいえ、そうした世の慣習を真っ向から否定する気もない。
けれど、この距離で目を開けるとか、絶対にあり得ない。
「ッ…大和くんが、手…離してくれたら、開けるっ…」
千尋は精一杯の譲歩で、そう言った。
目を見て話すのはいいとして、いつまでもこの体勢でいなければならないことはない。大体ここは玄関先だ。だったら普通に部屋に上がって、ゆっくり話をすればいい。
「大和くんッ…!」
「ん? ちーちゃん?」
――――もう、無理。
ダウンジャケットを着てるし大丈夫、なんて思ったけれど、千尋はずっと大和にしっかり抱き締められていたのだし、千尋も思い切り抱き付いていたのだ。あの、素晴らしい胸筋に。
そして今は、大和のこのドアップだ。あとちょっとでも動けばキスできるくらいの距離に、大和の顔がある。大和の手が千尋の頬に触れている。唇に、吐息が掛かっている。
大和が来てから、いろいろとテンパっていたせいで気付いていなかったけれど、何という状況だ。
もう、心臓が持たない…。
「うぅ~ん…」
「えっ!? ちーちゃん!?」
大和に名前を呼ばれて、返事をしなければと思いつつも、千尋の意識はそのまま遠退いていった。
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心の中で1人ノリ突っ込みをしていたら、大和に名前を呼ばれた。
大和は、変わらない優しい口調で千尋を呼んだだけだったけれど、千尋には分かる、目を開けろと言いたいんだろう。千尋は察しがいいし、空気も読めるのだ。どこかの誰かさんと違って。
けれど、それと同じくらい素直ではない性格なので、パッと目を開けた後、すぐにまた目を閉じた。
一応、言うことは聞いた。いや、言われる前に察して行動した。これで十分だろう。千尋はそう思った、けれど、やはりそうはいかなかった。
「ちーちゃん、目」
大和が喋ると、唇に吐息が掛かる――――そんな距離なのだ。
大和が目を開けているかどうかは分からないけれど(この状態で、千尋は2回も目を開けたが、2回とも一瞬だったので)、千尋に目を開けるように言っているのだから、大和だって閉じてはいないだろう。
この距離感でよく目を開けていられるなぁ…とも思うし、熱くなっている千尋の顔が、きっと赤いこともばれているのだろう、とも思う。
「目、開けて?」
「いっ…今開けたしっ」
「一瞬で閉じたでしょ。ちゃんと開けて? ちーちゃんと目見て話したい」
話すときは、相手の目を見て。
小学校のときだったかに、教わった気はする。それは千尋もよく分かっているし、いくら千尋が素直でないとはいえ、そうした世の慣習を真っ向から否定する気もない。
けれど、この距離で目を開けるとか、絶対にあり得ない。
「ッ…大和くんが、手…離してくれたら、開けるっ…」
千尋は精一杯の譲歩で、そう言った。
目を見て話すのはいいとして、いつまでもこの体勢でいなければならないことはない。大体ここは玄関先だ。だったら普通に部屋に上がって、ゆっくり話をすればいい。
「大和くんッ…!」
「ん? ちーちゃん?」
――――もう、無理。
ダウンジャケットを着てるし大丈夫、なんて思ったけれど、千尋はずっと大和にしっかり抱き締められていたのだし、千尋も思い切り抱き付いていたのだ。あの、素晴らしい胸筋に。
そして今は、大和のこのドアップだ。あとちょっとでも動けばキスできるくらいの距離に、大和の顔がある。大和の手が千尋の頬に触れている。唇に、吐息が掛かっている。
大和が来てから、いろいろとテンパっていたせいで気付いていなかったけれど、何という状況だ。
もう、心臓が持たない…。
「うぅ~ん…」
「えっ!? ちーちゃん!?」
大和に名前を呼ばれて、返事をしなければと思いつつも、千尋の意識はそのまま遠退いていった。
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