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恋の女神は微笑まない (279)
2015.02.26 Thu
週明けのはずが、週の真ん中を過ぎてしまった…。すみません。
時間切れだと大和は告げた。
それがどういう意味なのか、千尋には分からなかった。千尋が答えを出すのが遅すぎたということなのか。時間切れだとどうなるの? クイズ番組なら、それで1回お手つきだ。
なら今は? 答えが出なかったから、これで終わりなのだろうか。
そうだ、正解数が少ない者は、次のステージには進めないのだ。
「…ダメ」
大和は1年前と違って、顔を赤くした千尋の様子を窺おうと、体を離そうとはしなかったけれど、逆に千尋も自分から離れることはしなかった。むしろ大和の背中に腕を回した。逃がすまいと、腕に力を込めた。
さっきは自分から逃げようとしたくせに、勝手なのは、千尋のほうだった。
けれど、千尋が腕を離したら、大和はこのまま帰ってしまって、もう会えなくなる。
大和とは、もう2度と会わない別れを何度もしたから、もしかしたらここで大和が帰っても、またどこかで会えるかもしれないけれど、きっともう会えない。
だから、千尋は腕を離したくなかった。
そもそも、タイムアウトだと言いながら、千尋を抱き締めた大和が悪い。
責任転嫁するつもりはないが、だって大和が千尋を抱き締めないでさっさと帰っていたら、そしたら千尋は、死ぬほど悲しい気持ちになるけれど、この腕のぬくもりを忘れたままでいられた。
最後の最後にこんなふうにされたら、今度は千尋のほうが、ずっと大和のことを忘れられなくなってしまうではないか。
「ダメ、大和くん」
千尋は大和の胸に、ギュウと顔を押し付けた。
よかった、大和がダウンジャンケットを着ていてくれたおかげで、抱き付いても大和の体のラインが分からない。これで胸の筋肉とかを感じ取ったら、そんな場合ではないけれど、興奮してしまう。
「…何が、『ダメ』なの? その『ダメ』は、何のダメ?」
千尋が腕の力を緩めないからか、それともまだ抱き締めていたいと思ってくれているからなのか、大和は少しも体を離さずに尋ねて来る。
それにしても、この状況で、何がダメなのか分からないのか、と言ってやりたい。
いや、けれど先ほど千尋も、自分たちはいつも、相手の考えていることを勝手に想像して、勘違いするからと、聞かなくても分かるだろうということを改めて聞いたんだっけ。
大和も、そういうつもりなんだろうか。それとも、本当に分からないのかな。
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時間切れだと大和は告げた。
それがどういう意味なのか、千尋には分からなかった。千尋が答えを出すのが遅すぎたということなのか。時間切れだとどうなるの? クイズ番組なら、それで1回お手つきだ。
なら今は? 答えが出なかったから、これで終わりなのだろうか。
そうだ、正解数が少ない者は、次のステージには進めないのだ。
「…ダメ」
大和は1年前と違って、顔を赤くした千尋の様子を窺おうと、体を離そうとはしなかったけれど、逆に千尋も自分から離れることはしなかった。むしろ大和の背中に腕を回した。逃がすまいと、腕に力を込めた。
さっきは自分から逃げようとしたくせに、勝手なのは、千尋のほうだった。
けれど、千尋が腕を離したら、大和はこのまま帰ってしまって、もう会えなくなる。
大和とは、もう2度と会わない別れを何度もしたから、もしかしたらここで大和が帰っても、またどこかで会えるかもしれないけれど、きっともう会えない。
だから、千尋は腕を離したくなかった。
そもそも、タイムアウトだと言いながら、千尋を抱き締めた大和が悪い。
責任転嫁するつもりはないが、だって大和が千尋を抱き締めないでさっさと帰っていたら、そしたら千尋は、死ぬほど悲しい気持ちになるけれど、この腕のぬくもりを忘れたままでいられた。
最後の最後にこんなふうにされたら、今度は千尋のほうが、ずっと大和のことを忘れられなくなってしまうではないか。
「ダメ、大和くん」
千尋は大和の胸に、ギュウと顔を押し付けた。
よかった、大和がダウンジャンケットを着ていてくれたおかげで、抱き付いても大和の体のラインが分からない。これで胸の筋肉とかを感じ取ったら、そんな場合ではないけれど、興奮してしまう。
「…何が、『ダメ』なの? その『ダメ』は、何のダメ?」
千尋が腕の力を緩めないからか、それともまだ抱き締めていたいと思ってくれているからなのか、大和は少しも体を離さずに尋ねて来る。
それにしても、この状況で、何がダメなのか分からないのか、と言ってやりたい。
いや、けれど先ほど千尋も、自分たちはいつも、相手の考えていることを勝手に想像して、勘違いするからと、聞かなくても分かるだろうということを改めて聞いたんだっけ。
大和も、そういうつもりなんだろうか。それとも、本当に分からないのかな。
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