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恋の女神は微笑まない (275)
2015.02.16 Mon
「えっと、あの、ゴメン……なさい…。その…、何て言うかなぁ…」
千尋が聞きたいことはまさに『何で来たの?』なのだが、うまい言い回しがちょっと思い浮かばない。
「いや…だって今日、クリスマスイブじゃん? それに俺ら、もう会わない的なことになったでしょ? だから、何でなのかな、て。まぁいろいろ想像は出来るけど、その、いろいろ想像するのをいつも間違えちゃうから、ちゃんと聞いとこうと思っただけで…………あの、怒った?」
何とか千尋がうまく弁明しようと試みるものの、その間、大和が何も言わないから、やっぱり言葉のチョイスを間違えているようだ。
「怒ってないよ。勘違いしちゃうし…とか、そんなにいろいろ考えてくれてたんだな、て思って。俺なんて、何にも考えないでちーちゃんちに来ちゃったのに」
「何も考えないで? 意味もなく来たってこと?」
「いや…、意味がないわけじゃなくて。ちーちゃんに会いたいって思ったら、留守かもしれないとか、誰か来てるかもしんないとか、そんなこと考えない出来ちゃったってこと」
「会いたかった、の? 俺に?」
「そうだよ。会いたくなかったら来ないよ」
千尋は意外に思ったから聞き返したのに、大和はさも当然だというふうに答えた。
確かに、ただでさえもう会わないと別れたのだから、会いたい気持ちがなければ、わざわざ足を運びはしないだろう。けれど、裏を返せば、そうまでしてでも千尋に会いたかったというわけで。
「何で、」
「え?」
「何でそんな……会いたかったの? 俺に」
なぜ来たのかといえば、千尋に会いたかったからで、けれどそれならば、なぜそんなに千尋に会いたかったのか――――いや、それが分からないほど千尋は鈍感ではないけれど。
でも、ここまで来たら、恥も外聞もなく聞いてやる。
「そりゃ会いたいよ。ちーちゃんのこと、好きだから」
千尋の愚かしい質問に呆れることなくそう言って、大和は1歩踏み出した。その分だけ千尋は後退ったから、2人の距離は縮まらなかったけれど、大和の後ろでドアが閉まった。
あぁ、何だか寒いと思っていたら、ドアが閉まっていなかったからか。
そんなこと言っている場合ではないのに、何だろう、人間て切羽詰ると、そんなどうでもいいことばかり考えてしまうものなのだと、千尋は身を以て知った。
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千尋が聞きたいことはまさに『何で来たの?』なのだが、うまい言い回しがちょっと思い浮かばない。
「いや…だって今日、クリスマスイブじゃん? それに俺ら、もう会わない的なことになったでしょ? だから、何でなのかな、て。まぁいろいろ想像は出来るけど、その、いろいろ想像するのをいつも間違えちゃうから、ちゃんと聞いとこうと思っただけで…………あの、怒った?」
何とか千尋がうまく弁明しようと試みるものの、その間、大和が何も言わないから、やっぱり言葉のチョイスを間違えているようだ。
「怒ってないよ。勘違いしちゃうし…とか、そんなにいろいろ考えてくれてたんだな、て思って。俺なんて、何にも考えないでちーちゃんちに来ちゃったのに」
「何も考えないで? 意味もなく来たってこと?」
「いや…、意味がないわけじゃなくて。ちーちゃんに会いたいって思ったら、留守かもしれないとか、誰か来てるかもしんないとか、そんなこと考えない出来ちゃったってこと」
「会いたかった、の? 俺に?」
「そうだよ。会いたくなかったら来ないよ」
千尋は意外に思ったから聞き返したのに、大和はさも当然だというふうに答えた。
確かに、ただでさえもう会わないと別れたのだから、会いたい気持ちがなければ、わざわざ足を運びはしないだろう。けれど、裏を返せば、そうまでしてでも千尋に会いたかったというわけで。
「何で、」
「え?」
「何でそんな……会いたかったの? 俺に」
なぜ来たのかといえば、千尋に会いたかったからで、けれどそれならば、なぜそんなに千尋に会いたかったのか――――いや、それが分からないほど千尋は鈍感ではないけれど。
でも、ここまで来たら、恥も外聞もなく聞いてやる。
「そりゃ会いたいよ。ちーちゃんのこと、好きだから」
千尋の愚かしい質問に呆れることなくそう言って、大和は1歩踏み出した。その分だけ千尋は後退ったから、2人の距離は縮まらなかったけれど、大和の後ろでドアが閉まった。
あぁ、何だか寒いと思っていたら、ドアが閉まっていなかったからか。
そんなこと言っている場合ではないのに、何だろう、人間て切羽詰ると、そんなどうでもいいことばかり考えてしまうものなのだと、千尋は身を以て知った。
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