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恋の女神は微笑まない (247)
2015.01.19 Mon
何とか着替えを終えた千尋は、まだ顔も洗っていないことを思い出し、洗面所に向かう。
女の子みたいに化粧をする必要はないけれど、客商売だし、顔くらい洗っていかないと。
「うわ…」
洗面所に行って、顔を洗う前に鏡を覗き込んだら、思った以上に顔色が悪くてビックリした。寝不足なのもあるだろうけれど、ちょっと目が死んでいる。
…いや、気のせいだ。顔を洗っていないせいだ。
目を覚ますために、わざと冷たい水で顔を洗ったら、その冷たさに、背中がゾワッとした。
まさかの悪寒か?
「うぅ…寒い…」
あぁ、エアコンを点けていないから。
部屋の中の空気が冷たいせいだ。熱のせいじゃない。千尋は風邪なんか引いていない。
千尋は、風邪じゃない風邪じゃない、と呪文のように唱えながら、玄関へと向かった。
とにかく早く仕事に行かなければ……そう思ったのに、靴を片方履いたところで、千尋は自分がまったくの手ぶらだということに気が付いた。
スマホを忘れたとか、財布を忘れたとか、どれか1つだったら、1日くらいなくてもどうとでもなるが、まったく何にもないのはマズイ。電車にだって乗れやしない。
仕方なく千尋は靴を脱いで、寝室へと戻った(片足跳びで行こうとも思ったけれど、体力を消耗しそうなのでやめた)。スマホならベッドの上だ。
どうせ戻ったからには、スマホだけでなく、ちゃんと荷物をすべて持っていこう、と千尋はカバンを手に取る。
また戻るはめになっては堪らないので、財布だとかIC乗車券だとかがちゃんと入っているか、確認する。あ、スマホの充電切れそう。充電器も持っていかないと。
別に千尋は、1秒たりともスマホが手放せないほどのヘビーユーザーではないけれど、わざわざ取りに戻ったスマホが途中で電池切れになったのでは癪に障るので。
玄関とリビング・寝室を何度か往復して、千尋はようやく支度を整えると、座って靴を履き始めた。立って履こうとするとふら付くのだ。おかしいな、どこに行った、俺のバランス感覚。
「…よしっ」
千尋は気合を入れて立ち上がると、ドアを開けた――――と同時にチャイムが鳴り、開けたドアの向こうから「うわっ」という声がして、千尋が反射的にドアを閉めようとしたが、それより先、外から伸びてきた手がドアを掴んで、それを阻止した。
大和が来る前に仕事に行こうとしていたのに、モタモタしているうちに、大和がやって来てしまった。一体どれだけの時間、モタモタしていたのだ、千尋は。仕事に遅刻してしまう。
「ちーちゃん、ちょっ…何で閉めるの? 開けてよ…!」
チャイムを鳴らしたのと同じタイミングで、いきなりドアが開いたことにも驚いたようだが、そのまま招き入れてくれるのではなく、何も言わずにドアを閉められそうになって、大和は大変慌てている。
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女の子みたいに化粧をする必要はないけれど、客商売だし、顔くらい洗っていかないと。
「うわ…」
洗面所に行って、顔を洗う前に鏡を覗き込んだら、思った以上に顔色が悪くてビックリした。寝不足なのもあるだろうけれど、ちょっと目が死んでいる。
…いや、気のせいだ。顔を洗っていないせいだ。
目を覚ますために、わざと冷たい水で顔を洗ったら、その冷たさに、背中がゾワッとした。
まさかの悪寒か?
「うぅ…寒い…」
あぁ、エアコンを点けていないから。
部屋の中の空気が冷たいせいだ。熱のせいじゃない。千尋は風邪なんか引いていない。
千尋は、風邪じゃない風邪じゃない、と呪文のように唱えながら、玄関へと向かった。
とにかく早く仕事に行かなければ……そう思ったのに、靴を片方履いたところで、千尋は自分がまったくの手ぶらだということに気が付いた。
スマホを忘れたとか、財布を忘れたとか、どれか1つだったら、1日くらいなくてもどうとでもなるが、まったく何にもないのはマズイ。電車にだって乗れやしない。
仕方なく千尋は靴を脱いで、寝室へと戻った(片足跳びで行こうとも思ったけれど、体力を消耗しそうなのでやめた)。スマホならベッドの上だ。
どうせ戻ったからには、スマホだけでなく、ちゃんと荷物をすべて持っていこう、と千尋はカバンを手に取る。
また戻るはめになっては堪らないので、財布だとかIC乗車券だとかがちゃんと入っているか、確認する。あ、スマホの充電切れそう。充電器も持っていかないと。
別に千尋は、1秒たりともスマホが手放せないほどのヘビーユーザーではないけれど、わざわざ取りに戻ったスマホが途中で電池切れになったのでは癪に障るので。
玄関とリビング・寝室を何度か往復して、千尋はようやく支度を整えると、座って靴を履き始めた。立って履こうとするとふら付くのだ。おかしいな、どこに行った、俺のバランス感覚。
「…よしっ」
千尋は気合を入れて立ち上がると、ドアを開けた――――と同時にチャイムが鳴り、開けたドアの向こうから「うわっ」という声がして、千尋が反射的にドアを閉めようとしたが、それより先、外から伸びてきた手がドアを掴んで、それを阻止した。
大和が来る前に仕事に行こうとしていたのに、モタモタしているうちに、大和がやって来てしまった。一体どれだけの時間、モタモタしていたのだ、千尋は。仕事に遅刻してしまう。
「ちーちゃん、ちょっ…何で閉めるの? 開けてよ…!」
チャイムを鳴らしたのと同じタイミングで、いきなりドアが開いたことにも驚いたようだが、そのまま招き入れてくれるのではなく、何も言わずにドアを閉められそうになって、大和は大変慌てている。
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