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恋の女神は微笑まない (178)
2014.11.09 Sun
しかも、大和が謝ろうとしていたことは、『週刊誌に載ってしまい、千尋に迷惑を掛けてしまったこと』だったけれど、千尋が本当に怒っていたのはそんなことでなく、『男なのに女に間違われたこと』だった。
この時点ですでに、2人の感覚には相違があった。
大和は、千尋の気持ちを分かってやることも出来ないまま、謝ろうとしていたのだ。
謝罪の気持ちを口にするのは簡単だ。
いや、時と場合によっては、それがすごく難しいこともあるけれど、今回は(大和にすべての責任があるわけではないとしても)、大和と千尋のどちらが悪いかと言えば、まさしく大和だったから、素直になれないということだってなかった。
けれど、本当に千尋のことを傷付け、苛立たせ、怒らせたことに対して、どう謝ったらいいのか分からず、連絡を取らない日々がズルズルと続いてしまったのだ。…時間が経てば経つほど、気まずくなるというのに。
そして結局、何も出来ないままツアーはスタートし、最終日を迎えた――――そこに千尋はいたのだ。
これから先、がんばれば会えないことはないかもしれない…くらいの希望は持っていたけれど、まさかこんなに突然、それもコンサート会場で出くわすことになろうとは、思ってもみなかった。
おかげ一瞬頭の中が白くなったけれど、ミスする前に、トロッコがどんどん進んで行って、大和をステージに戻してくれたので、何事もなかったように、コンサートを続けることが出来た。
その後も、歌ったり踊ったりしているときは、もちろんそれに集中しているんだけれど、つい千尋のことを思い出して……アンコール前の最後の挨拶のとき、とうとうその思いを口にしていた。
本当は、直接千尋に会うとか、電話をするとか、そういう方法を取らなければダメだということは、分かっていたんだけれど。
コンサートの場を、自分のために、自分の恋のために使ってしまうなんて、絶対に許されることではないのは分かっていたんだけれど、言わずにはいられなかった。
ファンの子たちに向けたメッセージのように締め括ったけれど、結局は、すべて千尋に伝えたかったことだ。
…なのに社長は、怒られるようなことはしていない、なんて言うし。
いつ謝るの? なんて聞いてくるし。
こんなことをして、たとえ社長が怒らなくても、千尋は死ぬほどムカついているかもしれないのに。
「謝ったら、結果教えてね」
社長はすっごくいい笑顔でそう言って、大和を部屋から下がらせた。
結果を教えろだなんて――――社長のことだから、冗談なんかでなく、本気なのだろう。
もしかしたらこれが、いわゆる『処分』なんだろうか。謝りたいと言ったくせに、何もしないままなのは許さない。だから、謝って、その結果を報告しろ、と。
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この時点ですでに、2人の感覚には相違があった。
大和は、千尋の気持ちを分かってやることも出来ないまま、謝ろうとしていたのだ。
謝罪の気持ちを口にするのは簡単だ。
いや、時と場合によっては、それがすごく難しいこともあるけれど、今回は(大和にすべての責任があるわけではないとしても)、大和と千尋のどちらが悪いかと言えば、まさしく大和だったから、素直になれないということだってなかった。
けれど、本当に千尋のことを傷付け、苛立たせ、怒らせたことに対して、どう謝ったらいいのか分からず、連絡を取らない日々がズルズルと続いてしまったのだ。…時間が経てば経つほど、気まずくなるというのに。
そして結局、何も出来ないままツアーはスタートし、最終日を迎えた――――そこに千尋はいたのだ。
これから先、がんばれば会えないことはないかもしれない…くらいの希望は持っていたけれど、まさかこんなに突然、それもコンサート会場で出くわすことになろうとは、思ってもみなかった。
おかげ一瞬頭の中が白くなったけれど、ミスする前に、トロッコがどんどん進んで行って、大和をステージに戻してくれたので、何事もなかったように、コンサートを続けることが出来た。
その後も、歌ったり踊ったりしているときは、もちろんそれに集中しているんだけれど、つい千尋のことを思い出して……アンコール前の最後の挨拶のとき、とうとうその思いを口にしていた。
本当は、直接千尋に会うとか、電話をするとか、そういう方法を取らなければダメだということは、分かっていたんだけれど。
コンサートの場を、自分のために、自分の恋のために使ってしまうなんて、絶対に許されることではないのは分かっていたんだけれど、言わずにはいられなかった。
ファンの子たちに向けたメッセージのように締め括ったけれど、結局は、すべて千尋に伝えたかったことだ。
…なのに社長は、怒られるようなことはしていない、なんて言うし。
いつ謝るの? なんて聞いてくるし。
こんなことをして、たとえ社長が怒らなくても、千尋は死ぬほどムカついているかもしれないのに。
「謝ったら、結果教えてね」
社長はすっごくいい笑顔でそう言って、大和を部屋から下がらせた。
結果を教えろだなんて――――社長のことだから、冗談なんかでなく、本気なのだろう。
もしかしたらこれが、いわゆる『処分』なんだろうか。謝りたいと言ったくせに、何もしないままなのは許さない。だから、謝って、その結果を報告しろ、と。
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