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恋の女神は微笑まない (168)
2014.10.30 Thu
いっそ、関係者席の前を通るとき、千尋たちとは反対側を向いていてくれたらいいのに。
いや、そうすべきだろう。千尋が来ることを知っているなら、自分が気まずい思いをしないためにも、大和はこちらを見ないようにしなければならない。
大人の事情的に、全然まったく見ないわけにはいかないというのであれば、先ほど琉がしたように、何よりも遥希を見つめながらも反対側も疎かにしなかった、あれの逆バージョンをやるとか、そのくらいのテクニックは見せてもらいたい。
(でも、俺が来るの、実は知らなかったら…?)
遥希が来ることは、絶対に琉から聞いているだろうが、一緒に来るのが千尋だと知っているとは限らない。琉と遥希の事情から、千尋だと想像は出来ても、飽くまでもそれは想像の域を出ないわけで。
もしそうなら、大和は何も知らずに、こちらを見ながらトロッコで通過していくかもしれない。
だとしたら、たとえ不自然でも、たとえ遥希が大和に見つけられても、千尋はやっぱり下を向くなりして、ばれないように顔を隠しておく必要があるのでは…。
(――――て、何で俺がこんなに気にしなくちゃなんないんだよっ!)
別に千尋は、今日このコンサートに来ることを拒まれたわけではない。というか、そんなに行きたかったわけでもないのに、遥希にせがまれて、わざわざ来てやったのだ。
それなのに、どうして大和が気まずくならないよう、気を遣わなければならないんだ。
千尋は何も悪くいないし、気まずくなる必要もないんだから、普通に、いや堂々とコンサートを見ていればいいだけの話だ。
大体、大和が前を通り過ぎたからといって、たとえこちら側を向いていたとしたって、千尋に気付くとは限らないではないか。
千尋がわざわざ顔を隠さなくても、大和はこれだけの観客の中から千尋を見つけ出せないかもしれないし、千尋を見ても、髪を切ったから分からないかもしれないし。
(あわわわわわわ)
そうやって千尋が、都合のいい展開に結論を持って行っていたら、もうそこまで大和が来ていた。
いや、慌ててどうする。
逃げも隠れもする必要などない。千尋はただ、より近くにやって来たアイドルに、喜び、歓声を上げていればいいだけだ――――そう、それだけ。
「、」
これだけの観客が、ドームを埋め尽くしている中で。
みんな自分を見てもらいたくて、手を振ってもらいたくて、笑い掛けてもらいたくて必死にアピールするけれど、そんな何万分の一かの確率、叶うことなんてまずあり得なくて。
――――なのに。
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いや、そうすべきだろう。千尋が来ることを知っているなら、自分が気まずい思いをしないためにも、大和はこちらを見ないようにしなければならない。
大人の事情的に、全然まったく見ないわけにはいかないというのであれば、先ほど琉がしたように、何よりも遥希を見つめながらも反対側も疎かにしなかった、あれの逆バージョンをやるとか、そのくらいのテクニックは見せてもらいたい。
(でも、俺が来るの、実は知らなかったら…?)
遥希が来ることは、絶対に琉から聞いているだろうが、一緒に来るのが千尋だと知っているとは限らない。琉と遥希の事情から、千尋だと想像は出来ても、飽くまでもそれは想像の域を出ないわけで。
もしそうなら、大和は何も知らずに、こちらを見ながらトロッコで通過していくかもしれない。
だとしたら、たとえ不自然でも、たとえ遥希が大和に見つけられても、千尋はやっぱり下を向くなりして、ばれないように顔を隠しておく必要があるのでは…。
(――――て、何で俺がこんなに気にしなくちゃなんないんだよっ!)
別に千尋は、今日このコンサートに来ることを拒まれたわけではない。というか、そんなに行きたかったわけでもないのに、遥希にせがまれて、わざわざ来てやったのだ。
それなのに、どうして大和が気まずくならないよう、気を遣わなければならないんだ。
千尋は何も悪くいないし、気まずくなる必要もないんだから、普通に、いや堂々とコンサートを見ていればいいだけの話だ。
大体、大和が前を通り過ぎたからといって、たとえこちら側を向いていたとしたって、千尋に気付くとは限らないではないか。
千尋がわざわざ顔を隠さなくても、大和はこれだけの観客の中から千尋を見つけ出せないかもしれないし、千尋を見ても、髪を切ったから分からないかもしれないし。
(あわわわわわわ)
そうやって千尋が、都合のいい展開に結論を持って行っていたら、もうそこまで大和が来ていた。
いや、慌ててどうする。
逃げも隠れもする必要などない。千尋はただ、より近くにやって来たアイドルに、喜び、歓声を上げていればいいだけだ――――そう、それだけ。
「、」
これだけの観客が、ドームを埋め尽くしている中で。
みんな自分を見てもらいたくて、手を振ってもらいたくて、笑い掛けてもらいたくて必死にアピールするけれど、そんな何万分の一かの確率、叶うことなんてまずあり得なくて。
――――なのに。
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