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恋の女神は微笑まない (160)
2014.10.21 Tue
「今から出たら、昼前に着くよ。6時からでしょ、コンサート始まんの。それまで何してる気?」
「グッズ買う」
「グッ…」
「早くしないと売り切れちゃうかもしんないし」
当たり前のような顔をして答える遥希に、千尋は言葉を詰まらせた。
確かにコンサートグッズは、早めに行かないと売り切れることもあって、遥希と同じような気持ちで、早くに家を出る子は他にもたくさんいることは知っている。
千尋も、そのファン心理を、共感できなくても理解は出来る。
しかし遥希は、琉の恋人なのだ。
こんな早い時間に行って買わなくても、いやむしろ、遥希がわざわざ自分で購入しなくても、琉がいくらでも融通してくれるのではないだろうか。
「え…、ハルちゃん、グッズ買うの…?」
「買うよ。当たり前じゃん」
「そ…そっか…」
当たり前なのか…、そうか…。
琉と付き合ってから、今回初めて関係者席を用意してもらった遥希にしてみれば、会場で自分で買う以外に、グッズを入手する方法など、想像もしていないのだろう。
「じゃあ、ハルちゃん、先に行ってグッズ買ってなよ。俺、6時になったら行くから」
「えぇ~何でぇ? 一緒に行かないのぉっ?」
「だって俺、別にグッズとか欲しくないし」
「そんなぁ…。グッズ買わなくてもいいから、一緒に行こうよぉ」
「いや、それ、俺に何のメリットがあんの?」
どちらかというと千尋は、行列に並ぶとか、何時間待ちとか、そういうのが好きではないほうなのに。
自分のことなら、それでも多少は我慢できるけれど、遥希が欲しいものを買うために、どうして千尋がそれに付き合ってやらなければならないのだ。
「め…メリットはないかもだけど、デメリットもないでしょっ?」
「面倒くさい」
「ご飯奢ったげるから!」
「最初からそのつもりだし」
「に~…」
一緒にコンサートに行ってやるだけでも、有り難いと思ってもらいたいものだ。
シュンとする遥希を無視して、千尋はまだ片付けていないふとんへと戻る。
大学生の一人暮らしである遥希の部屋は、キッチンの他は一間で、千尋が泊まりに来たときは、ローテーブルを端に寄せてふとんを敷いているのだ。
「ちーちゃぁ~ん…」
「何。心配しなくても、ちゃんとコンサートには行くから」
「ホントぉ…?」
「俺、今までにハルちゃんに嘘言ったことある? ないでしょ?」
「え? あ、えっと…?」
「ないでしょ?」
「う…うん」
いや…、今まで千尋は、遥希に対して、何度となく嘘をついて来ている気がするのだが…。
そういう意味では、今の千尋の発言も嘘のようなものだが、しかし、有無を言わせない千尋の口調に、遥希はつい頷いてしまった。
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「グッズ買う」
「グッ…」
「早くしないと売り切れちゃうかもしんないし」
当たり前のような顔をして答える遥希に、千尋は言葉を詰まらせた。
確かにコンサートグッズは、早めに行かないと売り切れることもあって、遥希と同じような気持ちで、早くに家を出る子は他にもたくさんいることは知っている。
千尋も、そのファン心理を、共感できなくても理解は出来る。
しかし遥希は、琉の恋人なのだ。
こんな早い時間に行って買わなくても、いやむしろ、遥希がわざわざ自分で購入しなくても、琉がいくらでも融通してくれるのではないだろうか。
「え…、ハルちゃん、グッズ買うの…?」
「買うよ。当たり前じゃん」
「そ…そっか…」
当たり前なのか…、そうか…。
琉と付き合ってから、今回初めて関係者席を用意してもらった遥希にしてみれば、会場で自分で買う以外に、グッズを入手する方法など、想像もしていないのだろう。
「じゃあ、ハルちゃん、先に行ってグッズ買ってなよ。俺、6時になったら行くから」
「えぇ~何でぇ? 一緒に行かないのぉっ?」
「だって俺、別にグッズとか欲しくないし」
「そんなぁ…。グッズ買わなくてもいいから、一緒に行こうよぉ」
「いや、それ、俺に何のメリットがあんの?」
どちらかというと千尋は、行列に並ぶとか、何時間待ちとか、そういうのが好きではないほうなのに。
自分のことなら、それでも多少は我慢できるけれど、遥希が欲しいものを買うために、どうして千尋がそれに付き合ってやらなければならないのだ。
「め…メリットはないかもだけど、デメリットもないでしょっ?」
「面倒くさい」
「ご飯奢ったげるから!」
「最初からそのつもりだし」
「に~…」
一緒にコンサートに行ってやるだけでも、有り難いと思ってもらいたいものだ。
シュンとする遥希を無視して、千尋はまだ片付けていないふとんへと戻る。
大学生の一人暮らしである遥希の部屋は、キッチンの他は一間で、千尋が泊まりに来たときは、ローテーブルを端に寄せてふとんを敷いているのだ。
「ちーちゃぁ~ん…」
「何。心配しなくても、ちゃんとコンサートには行くから」
「ホントぉ…?」
「俺、今までにハルちゃんに嘘言ったことある? ないでしょ?」
「え? あ、えっと…?」
「ないでしょ?」
「う…うん」
いや…、今まで千尋は、遥希に対して、何度となく嘘をついて来ている気がするのだが…。
そういう意味では、今の千尋の発言も嘘のようなものだが、しかし、有無を言わせない千尋の口調に、遥希はつい頷いてしまった。
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