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恋の女神は微笑まない (133)
2014.09.23 Tue
何となく嫌な予感を覚えつつ、千尋はまずメールを開いた。
そこに表示されていた予想どおりの名前にイラッとしつつ、ついでに電話の着信履歴も確認してみれば、これまた同じ名前のオンパレードで、余計に苛つく。
そこでちょうどエレヴェータが1階に到着したので、それをいいことに、千尋はメールの受信も電話の着信も見なかったことにして、スマホをカバンの中に戻した。歩きスマホはよろしくない。
夕方になっても、外の空気は暑苦しくて、千尋は眉を寄せる。まぁ、今まで襟足にも掛かって鬱陶しかった髪を切ったので、多少は楽になったけれど。
こんな日は、さっさと家に帰って、クーラーのガンガンに効いた部屋で、ビールでも飲むに限る。
「…チッ」
せっかく千尋が、帰ってからのことを思って、少し気をよくし始めたというのに、カバンの中のスマホの振動を感じてしまった。消音にするだけでなく、バイブ機能も切っておけばよかった。
仕方なくカバンからスマホを取り出すと、液晶画面には案の定、南條の名前。
さすがにこれ以上無視し続けると、南條の頭髪が本気で心配になってくるから、出てやることにするか。
「もしも…」
『ああぁぁっやっと出たっ! 何回電話したと思ってんだよっ』
「数えてねぇよ」
挨拶もそこそこに、一方的に捲し立てて来た南條に、千尋は冷たく言い返す。
美容室ではカバンを預けていたのだ。着信など、気付くはずもない。
『つか、ちょっと話があるんだけど、いいか?』
「ヤダ」
『えっ』
「イ・ヤ・ダ。お前の話なんか聞きたくない」
『は? え? ちょっ…』
一応、南條を気遣って、電話に出ることは出たものの、それ以上は優しくしてやるつもりもなく、千尋はにべもなく電話を切った。
南條からの話なんて、きっとロクなことがない。
これからご飯でも食べよう、俺がご馳走してあげるから、とかだったら、もう少しくらいは電話を切らずにいたかもしれないけれど、そんなことはまずないだろうし。
週刊誌でムカついた分が、髪を切ったことで少し緩和されたものの、まだまだ機嫌は十分に悪いから、よっぽどのおもてなしでも受けない限り、南條の話なんか聞いてやる気になどならないのだ。
ひとまず履歴から南條の着信をすべて削除すると、南條からの電話を気にしなくて済むように、バイブ機能も切ってから、千尋はスマホをカバンの中に戻した。
今は、暑さをはじめ、色々なことでイライラしているのだから、もうこれ以上、苛立たせてくれるなよ。
すげなく電話を切られ、困ったように眉を下げているであろう南條の情けない姿を想像し、千尋は少し笑ってから、今度こそ家に帰るべく、歩き始めた。
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そこに表示されていた予想どおりの名前にイラッとしつつ、ついでに電話の着信履歴も確認してみれば、これまた同じ名前のオンパレードで、余計に苛つく。
そこでちょうどエレヴェータが1階に到着したので、それをいいことに、千尋はメールの受信も電話の着信も見なかったことにして、スマホをカバンの中に戻した。歩きスマホはよろしくない。
夕方になっても、外の空気は暑苦しくて、千尋は眉を寄せる。まぁ、今まで襟足にも掛かって鬱陶しかった髪を切ったので、多少は楽になったけれど。
こんな日は、さっさと家に帰って、クーラーのガンガンに効いた部屋で、ビールでも飲むに限る。
「…チッ」
せっかく千尋が、帰ってからのことを思って、少し気をよくし始めたというのに、カバンの中のスマホの振動を感じてしまった。消音にするだけでなく、バイブ機能も切っておけばよかった。
仕方なくカバンからスマホを取り出すと、液晶画面には案の定、南條の名前。
さすがにこれ以上無視し続けると、南條の頭髪が本気で心配になってくるから、出てやることにするか。
「もしも…」
『ああぁぁっやっと出たっ! 何回電話したと思ってんだよっ』
「数えてねぇよ」
挨拶もそこそこに、一方的に捲し立てて来た南條に、千尋は冷たく言い返す。
美容室ではカバンを預けていたのだ。着信など、気付くはずもない。
『つか、ちょっと話があるんだけど、いいか?』
「ヤダ」
『えっ』
「イ・ヤ・ダ。お前の話なんか聞きたくない」
『は? え? ちょっ…』
一応、南條を気遣って、電話に出ることは出たものの、それ以上は優しくしてやるつもりもなく、千尋はにべもなく電話を切った。
南條からの話なんて、きっとロクなことがない。
これからご飯でも食べよう、俺がご馳走してあげるから、とかだったら、もう少しくらいは電話を切らずにいたかもしれないけれど、そんなことはまずないだろうし。
週刊誌でムカついた分が、髪を切ったことで少し緩和されたものの、まだまだ機嫌は十分に悪いから、よっぽどのおもてなしでも受けない限り、南條の話なんか聞いてやる気になどならないのだ。
ひとまず履歴から南條の着信をすべて削除すると、南條からの電話を気にしなくて済むように、バイブ機能も切ってから、千尋はスマホをカバンの中に戻した。
今は、暑さをはじめ、色々なことでイライラしているのだから、もうこれ以上、苛立たせてくれるなよ。
すげなく電話を切られ、困ったように眉を下げているであろう南條の情けない姿を想像し、千尋は少し笑ってから、今度こそ家に帰るべく、歩き始めた。
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