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恋の女神は微笑まない (73)
2014.07.17 Thu
「…村瀬くん、あんまりしつこくすると、せっかくの顧客を逃がしちゃうんじゃない?」
「ぅ? ………………」
懸命に、大和が何を買ったのか探ろうとしていた千尋は、店長さんの一言に、大人しく引き下がった。
今日までの短い関わりの中で、千尋て社会人としてちゃんとやっていけているのだろうか、と思ったことは実は何度かあったのだけれど、一応まぁ、仕事場で上司の言うことには従っているようだ(それ以前に、いかがなものかと思う行動もあったけれど)。
「お疲れ様でしたぁ」
若干ふて腐れ気味に挨拶をして、千尋は大和を置いて、さっさと出入り口へと向かってしまう。
苦笑いしている店長さんにつられて、大和も少し笑って頭を下げ、千尋の後を追った。
「で? どこ行くの?」
「ご飯にする? ちーちゃん、何食べたい?」
「大和くんが誘ったんだから、大和くんが決めて」
店を出て、車まで向かう途中。
日が沈み、暗くなった街は、会社帰りの人たちで、溢れ始めている。
何となく千尋が素っ気ないのは、やはり先ほどの店でのやり取りが原因だろうか。
「リクエストがないなら、俺が勝手に決めちゃうよ?」
「勝手にすれば」
「え…、ちょ、怒ってる? 俺が何買ったか、教えないから?」
店の中にいたときよりも、明らかに機嫌の悪くなっている千尋に、大和は焦り出す。
あのときは店長さんがいる手前、大人しく引き下がったが、本来の千尋だったら、満足の行くまで自分の主張を通すだろうから、そういう意味では、今、非常におもしろくない気持ちでいるのかもしれない。
「怒ってないし。俺のデザインした服、買ってくれたんでしょ?」
「え、あ、えと…」
「は? 違うの? だとしたら、殴る」
「殴んないで! 買ったから!」
千尋のデザインした服を買ったのは事実だが、自分で着るためでなく、千尋に着せたいと思って買ってしまったこともあって、思わず口籠ったら、千尋が物騒なことを口走った。
誤解から殴られてしまうなんて、とんでもないことだ(いや、そうでなくても、殴るとか…!)。
「…そう。着てみて、よかったら…………また買ってね」
えへ、と照れたように笑う千尋は、間違いなくかわいい。
ほんの一瞬前まで、不機嫌そうに『殴る』とか言っていたのと同じ人だとは思えない。
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「ぅ? ………………」
懸命に、大和が何を買ったのか探ろうとしていた千尋は、店長さんの一言に、大人しく引き下がった。
今日までの短い関わりの中で、千尋て社会人としてちゃんとやっていけているのだろうか、と思ったことは実は何度かあったのだけれど、一応まぁ、仕事場で上司の言うことには従っているようだ(それ以前に、いかがなものかと思う行動もあったけれど)。
「お疲れ様でしたぁ」
若干ふて腐れ気味に挨拶をして、千尋は大和を置いて、さっさと出入り口へと向かってしまう。
苦笑いしている店長さんにつられて、大和も少し笑って頭を下げ、千尋の後を追った。
「で? どこ行くの?」
「ご飯にする? ちーちゃん、何食べたい?」
「大和くんが誘ったんだから、大和くんが決めて」
店を出て、車まで向かう途中。
日が沈み、暗くなった街は、会社帰りの人たちで、溢れ始めている。
何となく千尋が素っ気ないのは、やはり先ほどの店でのやり取りが原因だろうか。
「リクエストがないなら、俺が勝手に決めちゃうよ?」
「勝手にすれば」
「え…、ちょ、怒ってる? 俺が何買ったか、教えないから?」
店の中にいたときよりも、明らかに機嫌の悪くなっている千尋に、大和は焦り出す。
あのときは店長さんがいる手前、大人しく引き下がったが、本来の千尋だったら、満足の行くまで自分の主張を通すだろうから、そういう意味では、今、非常におもしろくない気持ちでいるのかもしれない。
「怒ってないし。俺のデザインした服、買ってくれたんでしょ?」
「え、あ、えと…」
「は? 違うの? だとしたら、殴る」
「殴んないで! 買ったから!」
千尋のデザインした服を買ったのは事実だが、自分で着るためでなく、千尋に着せたいと思って買ってしまったこともあって、思わず口籠ったら、千尋が物騒なことを口走った。
誤解から殴られてしまうなんて、とんでもないことだ(いや、そうでなくても、殴るとか…!)。
「…そう。着てみて、よかったら…………また買ってね」
えへ、と照れたように笑う千尋は、間違いなくかわいい。
ほんの一瞬前まで、不機嫌そうに『殴る』とか言っていたのと同じ人だとは思えない。
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